Gスピリッツ選集 第一巻 昭和・新日本篇

#待っていたダイジェスト


Gスピリッツ選集 第一巻 昭和・新日本篇 / Gスピリッツ編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

G SPIRITS BOOK vol.19として発売されたのは、テーマ別再編集版書籍
Gスピリッツに関しては創刊号から現在に至るまで、関連書籍を含めて全て所持
しているのだが、判型の大きさと、バックナンバー“物量”の膨大さのおかげで
オリジナルを読み返すのがやや困難。なので、こういうダイジェスト版が出るの
は本当に大歓迎。

第一巻のテーマは、やっぱり「昭和・新日本」
もちろんどの記事も確実に読んだことがあるのだが、これだけの物量を一つのテ
ーマでまとめて来られると、まぁ圧倒的な迫力。おもしろかったのはやはり新間
さんが関わる部分で、やたら見事な大言壮語ぶりを如何無く発揮。コレは昔から
一切変わっていない、というのが凄い。おそらく黎明期の新日本に関わった人の
中で、いちばんアクティブな上に才能があり、そして極悪人だったのは、新間寿
で間違い無い、と思った。

ちなみにコチラはKindle版もアリ。
今回はどちらを買うべきかかなり迷ったが、結局書籍版を購入。どうやらコレは
間違いだったようで、絶対に電子書籍版の方が便利だった、と思います、ええ。
早い段階での昭和全日本、そして日本プロレスをテーマとした続編のリリースを
希望!次はKindle版購入かな?

合理的にあり得ない2

#元弁護士の奔走


合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明 / 柚月裕子(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柚月裕子の新刊が出ており、ソレを購入しようとしたところ、まだ未読の作品
を発見。以前読んだ作品の続編なので、先にコチラを購入してみた。

『合理的にあり得ない』は、弁護士をクビになり、探偵に転向した上水流涼子
が主役の作品。今回は全3篇から成る連作短編集で、前作に比較すると1篇が
やや長い構成。最初こそ前回同様“禁止動物密輸”を行っていた悪徳商法業者
一網打尽にする話だったが、他の2篇少々重たい内容だった。

3篇目「立場的にあり得ない」は、ある事情で摂食障害になってしまった女性
を、涼子が救う物語。しかもコレ、あの涼子がほぼ無料で仕事を引き受けてお
り、原因究明から解決までの流れが非常にしっくり来る佳作。こういう手法も
あるんだなぁ、と思わず感心してしまった。

この作品、ちょっと前に天海祐希主演でドラマ化された。
かなりハードな作品なハズだったのに、内容がコミカルに寄っていたところが
逆に面白かったのだけど、コレの3篇目はちょっとコメディにし辛いかも、と
か思った。というか、“漢”である柚月先生は、自分の作品があのテイストにな
ったことに納得していたのか?と邪推してしまう僕がちょっとイヤ(–X)。
ちょっと神経質になってるかなぁ、アレ以来・・・。

帝都地下迷宮

#すばらしき廃駅の世界


帝都地下迷宮 / 中山七里(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前からちょっと気になっていた中山七里作品が、遂にKindle Unlimited
に登録。これ幸い、とばかりに速攻で読んでみた。

鉄オタの中でもかなり特殊な「廃駅マニア」公務員主人公
趣味が高じ、秋葉原付近から地下鉄内に不法侵入する、という一線を越え
てしまうのだが、お目当ての廃駅『万世橋駅』付近で少女に遭遇。彼女に
導かれた先で、彼が目にしたモノは・・・という感じで始まる物語。

ネタバレ抜きで書くのがちょっと難しいので、これから読む方はココから
先を読まない方がよろしいかと。

東京都心の地下で人知れず存在するコミュニティ、という設定が最高。
言っちゃえば荒唐無稽以外の何物でも無いのだが、こういう「秘密基地」
的なシチュエーションは心が踊る。勿論それだけではなく、物語の展開も
やたらと突飛で、刻一刻と変わっていく状況にハラハラさせられる。
現代ファンタジーとして、非常に優秀。

しかし、問題が。
中山七里と言えば「どんでん返し」であり、どの作品にもソレを期待して
しまう。今作にも当然ソレはあるのだが、そのタイミングがオーラスな上、
その後を不明瞭なまま終わらせてしまう、というのはどうなんだろうか?

なので当然、続編を期待したいところだが、以降地下鉄が使えない、とな
ると難しいのかなぁ・・・。

LIVE

#左遷のオンナ


LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 / 内藤了(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内藤了・鳴瀬清花シリーズの二作目。
神奈川県警捜査一課から警察庁・特捜地域潜入班に左遷された鳴瀬清花が、
古巣の上司から奇妙な調査依頼を受け、班長の土井と共に現地・青森へ赴く。
山の中の旧家で起きた火災現場には、等身大の『花嫁人形』が14体が残され
ていた。あまりに美しく、リアルな人形に違和感を感じた清花たちは調査を
開始するが・・・という感じ。

前作で不幸のどん底へ叩き込まれた清花だが、新しい部署に徐々に馴染んで
行くところが微笑ましい。さらに、離婚が成立した今も同居中の夫や娘、さ
らに姑との関係が、どういうワケか好転(^^;)。閑職に追い込まれたことで
家族との時間が出来、家庭内が充実していくのは幸運か皮肉か(^^;)。個人
的には、あんまり仕事に没頭するのもどうだろう?とか思った。

肝心のストーリーだが、正直言えばインパクトに欠ける感。
まず、事件発覚から現場検証までの間で全体像が予測出来てしまうし、その
予測とラストが違う、ということも無かった。そしてこの事件、普通に考え
ればちょっとした猟奇事件なハズなのだが、いろんな事情が絡むことでそう
見えなくなってくるから、ハッキリと緊張感に欠けてしまう。”LIVE”という
タイトルに意味があったのはおもしろかったけど・・・。

新シリーズ開始で若干浮かれたが、コレは確実に今までと風味が違う、とい
うことを認識した。こうなったら清花さんの幸せを願うしかないかな、今後。

ブラック・ショーマンと覚醒する女たち

#帰ってきた魔術師


ブラック・ショーマンと覚醒する女たち / 東野圭吾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東野圭吾新作
4年前にリリースされた『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』
続編で、今回は連作短編集。東野作品史上、最強のトリックスターである
マジシャン・神尾武史が、満を持して再登場を果たした。

全てのエピソードで、事件の勃発から決着までの起承転結がしっかりある。
その上で相変わらずホームズ&ワトソンライクな名コンビぶりを如何無く
発揮する武史とその姪・神尾真世が、縦横無尽の大活躍。短編集でこれだ
け読み応えのあるザ・ミステリーは、東野圭吾の真骨頂だと思う。

今作でもやはり魅力なのは、主人公である神尾武史のカッコ良さ
東野作品では珍しい、“明るめのダークヒーロー”っぷりは、間違い無く
唯一無二な上、スタイリッシュ。こういうユーティリティ性に富んだキャ
ラクターはかなり貴重だと思うので、他作品とのクロスオーバーにも期待
したいところ。

ちなみに、↓↓のムービーCMにも注目。
津田健次郎・水瀬いのり両名によるナレーションムービー秀逸で、続き
が観たくなるほど。この作品、アニメとかにならないかなぁ・・・。