▼風呂ソムリエ ~天天コーポレーション入浴剤開発室~ / 青木祐子(Kindle版)
青木祐子・天天コーポレーションシリーズ(?)を連続で。
「経費」でも登場した森若さんの同期・入浴剤開発研究員の鏡美月と、研究所
の受付嬢を務める派遣OL、砂川ゆいみの2人の女性が主人公。どちらも「経費」
にチラッと登場して来た人。どうやらまたもや順番を間違ったようで、こちら
の方が先にリリースされた作品らしい。
入浴剤の開発にまつわるヒューマンエピソード。スーパー銭湯愛好家としては
非常に興味深い内容で、あっちの「お金」の話よりも断然夢を感じる。両極端
な主人公たちに徐々に友情が芽生えていく様も、同じく両極端な恋愛模様も程
よい味付けになっており、妙にほっこりするお話。
「家庭で温泉を再現する」というのは正直言って無理だと思うのだが、そうい
う夢を実現しようとしゃかりきに頑張る人たちに感情移入せざるを得ず。天然
温泉では無い銭湯に本物そっくりなお湯を再現するには、高性能な入浴剤の
開発はマスト。作者はバスクリン社を取材したらしいのだが、そういう開発者
の拘り的なモノが多分に感じられる佳作だと思います。
別にシリーズと言うわけでは無いと思うのだけど、天天コーポレーションの他
の人のエピソードがあるのなら、是非続編を期待したいところ。両作品共通で
悪役を演じた秘書さんのエピソードなんて、かなり読んでみたい気がする。
・・・他の作品はちょっとラ系の雰囲気が強すぎて、読む気になれないので(^^;)。