国道食堂 2nd season

#優しき人の集う場所


国道食堂 2nd season / 小路幸也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小路幸也5つ星ヒューマンドラマ『国道食堂シリーズ』2作目
小田原街道沿い、ドライバー御用達の“リングのある大衆食堂”「ルート517」
こと、通称『国道食堂』に集う人たちを描いた物語の第二弾。

今回も一篇ごとに語り部が変わって行き、それが繋がって一つの物語になる、
という構成。1st seasonとの違いは、その殆どが「女性」であること。
そのうちの一人がちょっとした・・・いや、かなり大した問題を抱えており、
基本はその女性を軸に話が進んでいく。

前作がひたすら前向きな内容であり、基本読中は「ガンバレ!」とエールを
送っていれば良かったのだけど、今回はちょっとハラハラする展開に。今回
は物語の冒頭から紛れもない「悪役」の男性キャラが一人配置されており、
要所々々で不穏な動きが描写される、という状態。これが最終盤まで引っ張
られたのだが、それでも全編から漂う清々しさは失われないママ。コレが、
小路幸也の真骨頂、なのだと思う。

そしてラストは、誰もが納得しうる大ハッピーエンドに。
この清涼感は最近味わったことの無いレベル。まぁそもそも、この手の作品
を最近殆ど読んでいない、というのが原因なのかもしれないが(^^;)。

まだ描かれていないエピソードもあり、先も気になるのだが、2nd season
のリリースが4年前ということを考えると、続編を期待するのは難しいかも。
コミカライズ版が大ヒットしてくれれば、あるのかなぁ、続きが。

【実録】ジャパン女子プロレス

#終着の浜辺


【実録】ジャパン女子プロレス / 山本雅俊(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

著者はジャパン女子プロレスにてリングアナウンサーを務め、後継団体
となったJWPでは代表に就任し、全日本女子プロレスのロッシー小川と
共に“対抗戦時代”を牽引した「ヤマモ」こと、山本雅俊
1986年8月団体発足から1992年1月団体崩壊まで、およそ5年半
渡って存在した『ジャパン女子プロレス』についての文献である。

昨年1月にリリースされた作品で、その時点でちょっと気にはなってい
たモノの、特に購入してまで・・・という感じで忘れていた作品。
1年以上が過ぎてから手に取った理由はUnlimited扱いになっていたから。
プロレス関係の書籍はこういうパターンが多いんだよなぁ・・・。

幼少期から一貫してプロレスファンであった僕だが、実は“女子プロ”
関しては大きな思い入れが無い。これまでの人生でプロレス会場に足を
運んだ回数は余裕で1,000を超えている気がするが、女子プロレスを観
に行ったのは30回あるか無いかくらい。そもそも女子プロをちゃんと
『プロレス』として観るようになったのは、対抗戦ブームが始まる少し
前、ルチャ団体のユニバーサルプロレスアジャ・コングの試合を目撃
したのがキッカケ。ビューティクラッシュを擁した全女ですら「これ
と新日本・全日本を一緒にしてくれるな!」と思っていた僕だから、更
マニアックマイナージャパン女子完全スルー状態だった(^^;)。

そんなジャパン女子プロレスを、最初から最後まで至近距離で観ていた
のが山本リングアナ。ヤマモ以外にジャパン女子を総括出来る人間は居
ない上に、ヤマモ以上にジャパン女子を伝える言葉を紡げる人間が存在
するとも思えない。そういう意味では、 山本雅俊が成すべき仕事をした
と評価すべきだと思う。

そして、存命時には全く気にならなかったジャパン女子だが、今になっ
て記録を読むとそこそこ興味深い。潰れるべくして潰れた団体であるこ
とは間違い無いと思うが、もしジャパン女子が無かったら神取忍風間
ルミがこの世に出てくることは無かったハズ。そういう意味で、そこそ
エキサイティングノンフィクション。ちょっとでもプロレスに興味
がある人なら、わりと楽しめる気がする。

しかし、文章でも敬語を崩さないヤマモが、神取だけ呼び捨てなのは
無駄な憶測を呼びそう(^^;)。いろいろあったんだろうなぁ、きっと。

国道食堂 1st season

#優しき人の集う場所


国道食堂 1st season / 小路幸也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キッカケは、某サイトの「オススメマンガ」の記事を読んだこと。
元プロレスラーが経営する“リングのある大衆食堂”が物語の舞台で、そこに
惹き付けられるように集う心優しき人たちの人生を描いた、ほっこり系のマ
ンガ。さっそく購入しよう、と思い、著者を確認したところ、原作者欄
「小路幸也」の文字が。いやいや、だとするなら先に小説を読むべき、と
判断した。

というワケで、かなり久しぶりの小路幸也
まさか小路幸也作品に“元プロレスラー”が登場してくるとは思わなかったの
だが、これはあくまで一要素。彼の経営する小田原街道沿い大衆食堂
ルート517、通称“国道食堂”に集う、良い意味“一癖ある”人たちの、ちょ
っと切ないエピソードが集まり、一冊の本として仕上がっている。
つまり、小路幸也の大得意分野であるハートフルヒューマン系。コレがおも
しろく無いワケが無かった。

僕が「東京バンドワゴン」シリーズを始めとする小路作品を狂ったように読
んでいたのは、もう15年以上前。あの頃はまだ我慢(^^;)が出来たのだけど、
このトシになるともう涙腺が緩むゆるむ(^^;)。残念ながら僕は、この作品に
出てくる人たちのような「正しい生き方」をしてこなかった。それが故に、
「共感」は沸いてこないハズなのだけど、一篇を読み終える度に涙が溢れて
しまう。おそらく、全てのエピソードが眩しく、そして羨ましく感じた結果
なのだと思う。

・・・腕は全く衰えていないな、小路幸也。
既に2ndシーズンも入手済みで読み始めているのだが、コレを読了したら
キッカケになったコミカライズ版も読んでおこうかと。
圧倒的な五つ星のヒューマンドラマ、こんな時代だからこそ皆に!

Mr.KEIGO HIGASHINO

#God of Mystery


2026年7月23日未明、作家の東野圭吾さんが逝去
死因は大腸癌。葬儀は家族葬にて既に執り行われており、今後のお別れ会
等の実施は未定。享年68

※以下、一部敬称を略させていただきます。
2006年〜2008年にかけて、恐ろしくレベルの高いテレビドラマが幾つか
制作された。具体的には「白夜行」「ガリレオ」、そして「流星の絆」
この傑作ドラマの共通点は、原作『東野圭吾』であったこと。当然の様
に興味を持ち、原作を読み漁り、気付いたら氏の作品を1年程全て読破
以降は新作を待ちわび続ける幸せな日々が始まった。

そう、東野圭吾は、僕を「読書」のフィールドにもう一度引っ張り込んで
くれた作家。もしあの時『探偵ガリレオ』『白夜行』『秘密』などを
読んでいなかったら、年間に100冊近くの小説を読み漁る人間にはならな
かったし、ブックレビューの依頼を受けることも無かった。
言わば僕の「恩人」である。

この作家の何が凄いのかと言うと、100冊を超える著作ダメなモノがほ
ぼ無い・・・いや、皆無である、ということ。1985年のデビューから41年
に渡ってこれを続けてきた、という事実に、ただただ驚愕する。

そんな東野圭吾の作品が、次の「永遠の記憶」でラストとなる。
その事実が、僕には全くピンと来ない。

・・・僕は未だに忌野清志郎の新譜を待っているし、アントニオ猪木の新団
体発足も待っている。おそらくそれと同じ様に、東野圭吾の新作を待ち続
けてしまう気が。

東野圭吾先生。
たくさんの作品を、本当にありがとうございました。あなたの作品に何度
も救われたし、何度も絶望させていただきました。僕はもうあなたの作品
が無ければ生きて行くのも難しくなっています。
なので、お別れは言いません。今はいっとき、ゆっくり休んでいただき、
近いウチに僕がソチラへ行った時に、また大傑作を読ませていただければ。
だから、また必ずどこかで。

ブティック

#Mergers & Acquisitions


ブティック / 池井戸潤(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池井戸潤2年振り新作
池井戸先生、タイトルからの予測で“ファンション業界物語”的な新境地
開拓したのかと思いきや、導入部分は氏お馴染み「銀行」(^^;)。正直、
クエスチョンマーク点灯のまま読み進めたのだが・・・。

なんと、企業買収・合併『M&A』が題材。
どうやらM&Aをアシストしたり、仲介したりするコンサルタント企業
ことを「M&Aブティック」と称するのは、当たり前の経済用語らしい。

有望株若手バンカーが、銀行の利に反して顧客に寄り添い過ぎてしまい、
理不尽上司に逆らって戦力外通告を受ける、という池井戸潤王道パターン
銀行を退職したバンカーは、その際に接触のあったM&Aブティックに就職
して・・・という感じ。

池井戸作品でこの流れ、というのは定番安心感があり、もうスルスルと
読める。そして、言葉だけをなんとなく知っていたM&Aの実態がリアルに
描写されており、そこに纏わる人々の悲喜交々人間模様赤裸々に描か
れる。半沢ほどハードな展開は無いが、起きる事態のリアリティは凄まじ
く、緊張感を持続したまま読了してしまった。

いやぁ、やっぱり池井戸潤っていいなぁ、と。
新作は2年振りだが、夏にはハヤブサの新作も出る予定。大泉洋の主演で
箱根駅伝のドラマも始まる。しばらく池井戸ワールドにドップリになるだ
ろうなぁ、きっと。