嘘つきは人間のはじまり

#最新詐欺図鑑


▼嘘つきは人間のはじまり / 真梨幸子(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヤミスの教祖こと、真梨幸子サマの新作は、連作短編集。
基本は各種の「特殊詐欺」で「騙された人たち」の物語。全8篇で描かれ
る詐欺はどれも今風で、多岐に渡っているのだが、共通しているのはどの
詐欺にも「歴史」(^^;)があり、章の前段でそれの簡潔な説明が成されて
いること。古くからある“M資金詐欺”や”ロマンス詐欺”などの最新バージ
ョンが楽しめるので、その手のマニアは極上の燃料を得た思いかと。
・・・無論、僕も大好物を差し出された気分です、ええ。

今作で特に印象に残ったのが『インクリボン』。
インクリボンが何かを知らない人たちがコレを読んでもピンとこないかも
しれないが、この世に“ワープロ”というOA機器があったことを知っている
世代にとっては、刺さりまくるエピソード。“インクリボンを使った詐欺”
が、実際にあったとは思えない(^^;)ので、おそらくコレは幸子サマの考
えたオリジナル特殊詐欺。イヤミスを極めると、こんな犯罪まで思いつい
てしまうのか、と考えると、本当にゾクゾクする(^^)。

幸子サマ、これまでも幾つか短編集をリリースしているハズだが、今回の
作品が一番まとまっている気が。もちろん長編も良いのだが、肩の力を抜
いて読める短編集も、どんどん出して欲しいところ。

そして、タイトルにも感謝。
どうやら僕も辛うじて人間、ということで。

この音とまれ!- 咲き誇れ、音々 -

#熱血琴マンガ #セッション


▼ジャンプSQ・2026年10月号

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンプSQ・2026年10月号、巻頭カラーは『この音とまれ!』。
今回の見開きで描かれた表紙は、この作品を象徴する絶妙なデザインな
ので、それだけでもチェックして欲しい。

総文祭(全国大会)で見事に勝利し、凱旋を果たした時瀬高校箏曲部の
面々の次なるステージは、ライバル5校の箏曲部員を招聘した「交流祭」。
めでたくカップルとなった時瀬の3年生2人が企画した、関係者以外立
入禁止(?)のイベント。

・・・そういうエピソードがあればいいなぁ、と思っていたセッション回。
クライマックスを最高のカタチで終え、後はご褒美の東京公演の様子、
最後に愛のじいちゃんが作った曲を受け継いで大団円、という展開を
予想していたのだが、その前に見事なご褒美。まがりなりにもジャンプ
作品(^^;)なので、いわゆる“勝負”のシーンはキッチリ描かれたのだが、
作者のアミュー女史は「音楽は競うモノでは無い」という根本的とも
言える概念をしっかり解っている。最高のマンガ家であると同時に、
彼女もまた優秀な音楽家なのだと思う。

「この音」に出てくるオリジナル楽曲は、全て譜面がある、という。
アニメの三期があれば最高なのだけど、もしそれが叶わないのであれば、
全国大会以降で各校によって演奏された楽曲を、是非CD化して欲しい。

・・・あと10回、くらいかな?
最後はもう大泣き(^^;)しそうな予感があるけど。

ジウ The Next

#炎上案件?


▼ジウ The Next / 誉田哲也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誉田哲也、ジウSAGA・歌舞伎町セブンシリーズ最新作。
7月にリリースされた作品で、いささか読み始めるのが遅くなってしま
った。最近、書籍の新作情報がリアルタイムに入って来ない気が。アン
テナの張り方が甘いのかなぁ・・・。

前作は2023年の「ジウX」。
さすがに3年空いてしまうと、いろいろな設定を忘れてしまう(^^;)ため、
出来れば2年以内のリリースを強く希望、と今回は先に書いておきます!
ということで、前作を一部参照し、理解度を高めながら新作を読んだの
だけど・・・。

・・・いやぁ、コレはさすがにちょっと炎上するかも(^^;)。
前作同様、今回のテーマも「中国」であり、状況は「脱中国」まで進化。
その辺りの展開は相変わらず読ませてくれるのだが、前作にはしっかり
存在した“過激な描写”は影を潜め、多用な登場人物たちの「暗躍」にフ
ォーカスした作りに。その所為か、ジウSAGAを読むときに感じる高揚
感が殆ど発生せず、実に淡々とページが進んでしまった。

そして、前回以上に終わり方が唐突。
さすがの僕も「え、これで終わり?」という口アングリ状態。
次回作はさすがに怒濤の展開になる、とは思うのだが、ココで感じた
悪い意味での“繋ぎ感”は、ちょっと深刻な気がする。

僕は長年のジウSAGAファンなので、この状況でも次作を待つことは
可能だが、ライトなファンは付いていくのが難しいかも。
当然、ご新規さんはおそらく無理(^^;)。どこかの段階で合本処理す
るしか無いんじゃないかなぁ、コレ・・・。

国道食堂 2nd season

#優しき人の集う場所


▼国道食堂 2nd season / 小路幸也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小路幸也の5つ星ヒューマンドラマ『国道食堂シリーズ』の2作目。
小田原街道沿い、ドライバー御用達の“リングのある大衆食堂”「ルート517」
こと、通称『国道食堂』に集う人たちを描いた物語の第二弾。

今回も一篇ごとに語り部が変わって行き、それが繋がって一つの物語になる、
という構成。1st seasonとの違いは、その殆どが「女性」であること。
そのうちの一人がちょっとした・・・いや、かなり大した問題を抱えており、
基本はその女性を軸に話が進んでいく。

前作がひたすら前向きな内容であり、基本読中は「ガンバレ!」とエールを
送っていれば良かったのだけど、今回はちょっとハラハラする展開に。今回
は物語の冒頭から紛れもない「悪役」の男性キャラが一人配置されており、
要所々々で不穏な動きが描写される、という状態。これが最終盤まで引っ張
られたのだが、それでも全編から漂う清々しさは失われないママ。コレが、
小路幸也の真骨頂、なのだと思う。

そしてラストは、誰もが納得しうる大ハッピーエンドに。
この清涼感は最近味わったことの無いレベル。まぁそもそも、この手の作品
を最近殆ど読んでいない、というのが原因なのかもしれないが(^^;)。

まだ描かれていないエピソードもあり、先も気になるのだが、2nd season
のリリースが4年前ということを考えると、続編を期待するのは難しいかも。
コミカライズ版が大ヒットしてくれれば、あるのかなぁ、続きが。

【実録】ジャパン女子プロレス

#終着の浜辺


▼【実録】ジャパン女子プロレス / 山本雅俊(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

著者はジャパン女子プロレスにてリングアナウンサーを務め、後継団体
となったJWPでは代表に就任し、全日本女子プロレスのロッシー小川と
共に“対抗戦時代”を牽引した「ヤマモ」こと、山本雅俊。
1986年8月の団体発足から1992年1月の団体崩壊まで、およそ5年半に
渡って存在した『ジャパン女子プロレス』についての文献である。

昨年1月にリリースされた作品で、その時点でちょっと気にはなってい
たモノの、特に購入してまで・・・という感じで忘れていた作品。
1年以上が過ぎてから手に取った理由はUnlimited扱いになっていたから。
プロレス関係の書籍はこういうパターンが多いんだよなぁ・・・。

幼少期から一貫してプロレスファンであった僕だが、実は“女子プロ”に
関しては大きな思い入れが無い。これまでの人生でプロレス会場に足を
運んだ回数は余裕で1,000を超えている気がするが、女子プロレスを観
に行ったのは30回あるか無いかくらい。そもそも女子プロをちゃんと
『プロレス』として観るようになったのは、対抗戦ブームが始まる少し
前、ルチャ団体のユニバーサルプロレスでアジャ・コングの試合を目撃
したのがキッカケ。ビューティやクラッシュを擁した全女ですら「これ
と新日本・全日本を一緒にしてくれるな!」と思っていた僕だから、更
にマニアックでマイナーなジャパン女子は完全スルー状態だった(^^;)。

そんなジャパン女子プロレスを、最初から最後まで至近距離で観ていた
のが山本リングアナ。ヤマモ以外にジャパン女子を総括出来る人間は居
ない上に、ヤマモ以上にジャパン女子を伝える言葉を紡げる人間が存在
するとも思えない。そういう意味では、 山本雅俊が成すべき仕事をした、
と評価すべきだと思う。

そして、存命時には全く気にならなかったジャパン女子だが、今になっ
て記録を読むとそこそこ興味深い。潰れるべくして潰れた団体であるこ
とは間違い無いと思うが、もしジャパン女子が無かったら神取忍や風間
ルミがこの世に出てくることは無かったハズ。そういう意味で、そこそ
こエキサイティングなノンフィクション。ちょっとでもプロレスに興味
がある人なら、わりと楽しめる気がする。

しかし、文章でも敬語を崩さないヤマモが、神取だけ呼び捨てなのは
無駄な憶測を呼びそう(^^;)。いろいろあったんだろうなぁ、きっと。