火のないところに煙は

#神楽坂怪談


▼火のないところに煙は / 芦沢央(Kindle版)

最近ハマり気味の芹沢央作品、引き続きKindle Unlimitedにて。
今回はなんと「怪談」。著者の芹沢央自身が語り部として登場するこ
とで、物語に妙なリアリティが。その所為か、効果的にミスリード
引き起こす構成になっている。

とにかく、怪談部分異様に怖い
実在する場所極一般的な登場人物たち、そこに巻き起こるちょっと
した怪異。これが全5篇のエピソードとして続くことで、かなり壮大
なミステリーを醸成しているのだから凄い。

お世辞抜きで、これまで読んだホラー・オカルト系のミステリーの中
ではいちばんの内容かも。怪談部分で怖がらせるだけ怖がらせ、そこ
で油断したところで知らぬ間に張り巡らした伏線をキッチリ回収する。
芦沢央、ハッキリ言って只者では無い

しばらく続いちゃうだろうなぁ、芦沢央強化月間

特殊清掃人

#あなたの知らない世界


▼特殊清掃人 / 中山七里(Kindle版)

ラノベ強化月間(^^;)もようやく終了したので、久々にUnlimitedを徘徊。
読む本に困った時にはこの人、ということで中山七里作品をチョイス。

「特殊清掃」を営む会社の社長と、そこに勤める男女二人の物語で、四篇
から成る連作短編集。ここで言う特殊清掃のターゲットは、カンタンに言
うと「死体の出た部屋」。自殺や事故で死体が出て、それが腐乱した場合、
床板等に大きな影響が出る。その部分をリフォームした上で、沸いた
ハエを除去、場合によっては遺品整理まで行う模様。

あまりに特殊な世界、と思いがちだが、もしかしたら身近な話かも。
最近では「一人暮らしの孤独死」なんて吐いて捨てるほどあるし、将来的
に自分がそうなる可能性もかなり高確率。そう考えながら読むと、ちょっ
としたホラーよりよっぽど恐怖を感じた。

そしてさすがは中山七里、各篇でしっかりどんでん返しを用意していると
ころがニクい。ミステリーとしてもやっぱり一級品だから、その手が好き
な人には強力にオススメしときます。

コレは続編が欲しい!さすがだな、この作家は。

ラノベを一気に読む!

#異世界転生モノ


最近、ブックレビューの頻度が低い。
これにはもちろん原因アリ。いわゆる『読書』はしっかりやっているどころか、
ペースは2日で3冊くらい。なのにレビューが出来ないのは、読んでいるモノが
ちょっとレビューし辛い種類、そう、ライトノベルだから(^^;)。

ちなみに読破しちゃったのが下記2シリーズ

▼異世界のんびり農家①〜⑮ /  内藤騎之介 (著)・ やすも (イラスト)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼とんでもスキルで異世界放浪メシ①〜⑭ / 江口連 (著) ・雅 (イラスト)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・両作品に共通しているのは「アニメにハマッた」ということ(^^;)。
こういう場合、順番は“小説→コミカライズ→アニメ化”という流れなのだが、
僕の場合はアニメから見てしまったが故に、その先が知りたくてしょうがない
という状況に陥る。だから、この流れと真逆の“アニメ→コミック→小説”とい
う順番を踏むしか無い。入口アニメなので、ネタバレ必至な小説のレビュー
はするべきでは無い、と判断した。

やっぱりラノベは苦手だが、転スラの時に書いた通り、アニメのおかげで場面
想像が追いつけるので問題無い感じ。この2作品はそれなりにサラッと読める
ので、僕同様苦手な方にもオススメ。ただし、絶対に先にアニメ観とくこと!

ノストラダムス・エイジ

#Lie or True?


▼ノストラダムス・エイジ / 真梨幸子(Kindle版)

前作からたった3ヶ月で届いた真梨幸子新作
今回は『世界で最も有名な都市伝説』とされる「ノストラダムスの大予言」
モチーフに展開されるミステリー。もちろん単なるミステリーではなく、
しっかりと“イヤミス”でもある。

ノストラダムスの件はあくまでモチーフであり、そこから貼られた伏線が
しっかり回収されていく様はすばらしく、最後の最後は思わず唖然として
しまう展開。登場人物の全てが相変わらずアレ(^^;)な上に、やたら胡散臭
「都市伝説」も関わって来るから、人間関係もこれまでに類を見ない程
のドロドロさ。これはもう、“職人の仕事”と表現して問題無い気が。もち
ろん僕にとっては究極の大好物。今回もかなり満足しました!

全般的にすばらしいのだが、考えさせられてしまったのが冒頭部分
結局ハズレたノストラダムスの大予言だが、アレを本気で信じていた人は
僕を含めて多々居るハズ。1999年7月世界が終わらなかった所為で、僕
の生活設計は正直崩れた。ノストラダムスには責任を取って欲しいくらい。

とにかく、僕の大好物である「都市伝説」に、幸子サマが踏み込んでくれ
たことが妙に嬉しい。数年に1回くらい、この手の作品が出るといいなぁ♪

殺した夫が帰ってきました

#タイトル問題


▼殺した夫が帰ってきました / 桜井美奈(Kindle版)

Kindle Unlimitedから最近のチョイス。
桜井美奈、失礼ながら全く知らない作家さんだが、コレはかなり直球
タイトルに惹かれた。結構なホラーが読めると踏んだのだが・・・。

驚く勿れ、かなり本格的なミステリー
全体の中に数段階のどんでん返しが盛り込まれている上に、随所に巧妙
ミスリードを誘う文章が配置されている。台詞回しや状況説明の文書
にも無理は無く、しっかり「読ませてくれる」作品であった。

内容も実はかなり重く、ストーカー幼児虐待DV、果てはあの震災
も踏み込んでおり、ヒューマンドラマとして読んでもインパクトは絶大
まさかこんなところで、ここまでしっかりしたミステリーが読めるとは
思わなかった。

・・・故に、このタイトルの付け方は非常に微妙(^^;)。
僕はまんまとやられたが、わりと多数居る筈の『ホラーを嫌うミステリ
ー愛好家』にとっては、思いっきり逆効果になる気がする。コレは作家
の所為ではなくて、書籍編集者の責任かと。かなりの傑作なのだから、
そういう人たちに響くネーミングをして欲しかった(^^;)。

とにかく桜井美奈、注目しておいて損は無いかも。
著作も結構あるようなので、取り敢えず短編集あたりから手を出してみ
ようかな?