#イヤミスの教祖 #原点
▼フジコの十ヶ条 / 真梨幸子(Kindle版)
真梨幸子の新作は、彼女の原点である「殺人鬼フジコの衝動」シリーズ。
「衝動」は、大きく言えば日本に“イヤミス”という概念を定着させた大傑作に
して大問題作。言ってしまえば、僕はこのシリーズで人生観が変わるくらいの
衝撃を受けたワケだが・・・。
今回の作品は、伝説の殺人鬼・フジコによる「少なくとも15人惨殺事件」が、
半ば都市伝説状態になった後に、それが原因でジワジワと大きくなっていく
新たな事件の顛末を追ったモノ。
『フジコの「十ヶ条」通りにすれば、誰もが成功し、幸せになれる』という
設定が、まぁまさしく都市伝説(^^;)。そもそもオリジナルのフジコが十カ条
を残すワケが無い、と思うのだが、その中身はまぁフジコが考えて実行してい
たのではないか?と信じ込ませてくれるから不思議。
それくらい僕はフジコに魅了されており、下手すれば“現実にフジコは存在す
る”と思い込んでいるフシがある(^^;)。おかげで説得力は抜群で、この異様な
世界観にドップリと。フジコ以外にも他の真梨幸子作品のエッセンスが各所
に散りばめられており、幸子サマ信者は狂喜するに違いない。無論、読後感
は本当にサイアクなのだけど、一周回ってむしろ清々しい気持ちにさせても
らった。
この作品、単体でもおもしろいと思うのだが、一応シリーズの前作、せめて
「衝動」だけは読んでおいた方がいいかもしれない。しかし、それが誰かの
新しい扉を開いてしまっても、僕は責任は取らない、ということで(^^;)。
・・・ああ、次が読みたい(^^;)。