中山七里作品。
氏のこれまでの作品、どちらかというと「本格ミステリ」の色合いが濃く、
僕自身もその手のエキスパート、という感じで読んでいたのだが、ちょっと
考えを改めなければならないかも。ハッキリ言おう、大問題作です、コレ(^^;)。
誤解を恐れずに言うのなら、文壇系ブラックユーモアミステリー。
元警視庁捜査一課で現在は売れっ子ミステリー作家の毒島が、古巣の捜査協力
依頼を受けて活躍する物語。この作品で起きる事件は全て文壇・出版が関係し
ており、被害者・容疑者のほぼ全員が作家かその関係者。卓越した推理力と、
作家ならではの嗅覚で事件は次々に解決していくのだが、この毒島が超の付く
皮肉屋(^^;)。全編が黒い笑いに溢れており、つられてこちらも苦笑してしまう。
ここまで読んでお解りの通り、内容は文壇及び出版業界を強烈に皮肉ったモノ。
読んだ人なら誰でも解るくらい明確にラノベ作家・新人作家・素人書評家・作
家志望者などをディスりまくっている。もちろん直球では無く、ある程度オブ
ラートで包んだような表現を多用してはいるのだが、それはあくまで形式的な
モノ。中山七里にこういう「毒」があるとは、夢にも思いませんでした♪
無論、この手のブラック系は僕の大好物。何人もの人間がかなり悲惨な死に方
をするにもかかわらず、最後までニヤニヤしながら読了してしまったのだから
凄い。“裏・中山七里”の世界、堪能させていただきました!
・・・しかし、ちょっとだけ胸が痛んだのは“素人書評家”の出てくる件。
僕が読んでいても「痛いな、コイツ」と思うような行為なのだが、ちょっと考
えてみるとコレは僕が今まさに書いているコレであったりする(^^;)。
・・・自重しとこうかな、ちょっとだけ(^^;)。