#教誨師
▼死にゆく者の祈り / 中山七里(Kindle版)
読むべき本に困っていたところ、中山七里の未読作品がKindle Unlimitedにあっ
たので、迷わずチョイス。タイトルからしてちょっとヤバい気がしたのだが・・・。
主人公は浄土真宗の僧侶。単なる坊さんではなく、拘置所で『教誨師』を勤め
ている特殊な坊さんで、仕事の内容をざっくり言うと「死刑囚に仏の道を説き、
安らかな死を迎えさせる」という感じ。
この教誨師が拘置所で出会った死刑囚が、なんとかつての親友。しかも、大学
の山岳部時代に遭難しかけた自分の命を助けてくれた恩人であり、彼が死刑囚
であることを俄に信じられない。彼の犯罪に疑問を持った教誨師は、今一度彼
が犯したという「殺人事件」を洗い直すのだが・・・。
探偵役が僧侶、という設定が非常におもしろい。
まぁ、罪人に過度な思い入れを持つ、というのは坊主としてどうかと思わなく
も無い(^^;)のだが、聖職者であってもやっぱり人間、という現実をイチイチ
再認識させられる。コレはけして否定的な意味ではなく、ある意味で清々しく
もある。
正直、文体は非常に重い上に、仏教用語やお経なども頻繁に登場するため、や
や鈍重な展開になるのだが、タイムリミットが「死刑執行」であるが故に、全
編に緊張感が漂う。おかげで緊張が切れることなく、最後の最後までドキドキ
しながら読むことが出来た。
お得意の「どんでん返し」もしっかり炸裂するので、ファンの方はご安心を。
なかなか重厚なミステリーなので、Unlimitedなウチに是非!