ちょっと時間のあった時に持っていた本を読み終わってしまい(^^;)、ほぼ何も
考えずにUnlimitedでチョイスしたミステリー。もちろん似鳥鶏(にたどりけい)
という作家は初めて。
2006年に鮎川哲也賞で佳作に入選した作品で、その後「市立高校シリーズ」と
してこの作家の中軸になっていく作品群の序章、とのこと。表紙の印象はかなり
アレでチャラい(^^;)のだが、意味深なタイトルはそれなりに好印象。おかげで
あまり斜に構えず、フラットな状態で読了したのだが・・・。
キャラクター設定はなかなか面白い。ホームズとワトソンをそのまま日本の高校
生に置き換え、ワトソンの方を語り部に据える、というアイデアは秀逸。文体は
かなりファニーで、読書中に思わず笑ってしまうやり取りも。個性豊かな先輩た
ちに翻弄されながらも、知らず知らずのうちに状況を楽しんでいる主人公の心情
描写が楽しく、肩の力を抜いて一気に楽しめる佳作、と言っていいかもしれない。
しかし・・・。
ミステリーとしての組み立てはさすがに少し簡易過ぎるかも。特に最初と最後近
くの取って付けたような伏線の処理に関しては、思わず苦笑いをしてしまった程。
ただ、この部分は予想もしていなかったオチでキッチリ取り返しているので、そ
れほど気にはならないのだが、問題は「笑い」の質。これは好きずきなんだと思
うけど、ちょっとラノベに寄ってる気がしないでもないんだよなぁ(^^;)。この
あたりがもう少し洗練されれば、東川篤哉ばりの抱腹絶倒ミステリーの域に達せ
る気がするだけに、少々惜しい感じ。
まぁ、これがシリーズ初作品であり、さらにデビュー作だ、ということを考慮す
ると、そこそこの満足度。後で調べたところによると、市立高校シリーズは現在
までに7作がリリースされており、続きもちょっと気になる。機会があれば続編
を読むことはあると思うので、その時にもう一度判断してみたい。はたして・・・。