個人的におよそ1年ぶりの新津きよみ作品。
今回の購入動機はものすごく印象的なカバーイラスト。奥付を読んでもイラス
トレーターの記載が無いのだが、妙に気になる画風。みたことある気もするの
だけど・・・。
本編は人生における様々な「活動」をモチーフとしたヒューマンミステリーで、
7篇からなる連作短編集。作者本人のあとがきによると、それぞれの篇のテーマ
は就活、婚活、恋活、妊活、保活、離活、そして終活。殆どのワードがATOKで
一発変換出来るので、世間的にはかなり浸透している略語だと思われる。
しかし個人的には「保活 → 保育施設情報の収集など、子どもを保育所に入れ
るために保護者が行う活動」と、「離活 → 離婚を前提として行う活動」の2つ
を知らなかった。コレはちょっと悔しかったなぁ(^^;)。
そして、今回は叙述トリックがかなり冴えている感。女史らしく、やや重たい
物語を淡々と描きながら読者のミスリードを誘い、篇の終盤で思わぬ展開を見
せてくれる。ミステリーとしての読み応えもバッチリなのだが、それよりも心
に残るのは人間関係の難解さ。こういうパーソナルな事件は誰にでも起こる可
能性があるが故に、そのリアリティに背筋が寒くなるほど。
この作品のモチーフとなった7つの活動は一般的な時系列に沿って並べられて
おり、全ての活動をコンプリートした人も多々居ると思う。僕はどの活動も今
のところ一切経験していないのだが、果たしてソレは幸か不幸か・・・。そんな
ことを自問自答してしまうくらい、“考えさせられる”良作だと思う。
もしかしたら、これまで読んだ新津きよみ作品の中でいちばんインパクトの
強い作品かも。ちょっとハードなヒューマンミステリー好きは是非!