久しぶりの萩原浩作品。
この作品、どうやら氏のデビュー作らしく、ユニバーサル広告社シリーズと
して全3冊がリリースされている模様。これは丁度良い物量、と判断し、この
シリーズを読破することを決意。まずは第一作目から。
弱小広告代理店、と言うより、広告制作プロダクションを舞台にしたコメディ。
弱小と言いながらも、中堅クラスの企業からプレゼン参加の依頼はあるようだ
し、ある程度定期的な仕事も入っているから、僕らにとっちゃ羨ましい限りな
んだけど(^^;)、経営的には断末魔一歩手前の零細企業。そんな会社に突然降っ
て沸いた、超の付くど田舎の山村の「村おこし」。コピーライターの杉山は、
とんでもない方法に手を染めて・・・、という内容。
作者はそもそも元広告マン。しかも独立してフリーのコピーライターとして
活躍していたらしいから、状況設定はかなり真に迫っている。内容はコメディ
で、基本的にかなり笑える内容なのだが、その「笑える」状況も含めて・・・、
あまりにリアル(^^;)なのがちょっとだけ怖かったりもする。
広告の世界に「確定したもの」は殆ど存在しない。これから世に出るモノだか
ら、可能性の大小こそあれ、売れる・売れない、人気が出る・出ないは蓋を開
けてみるまで正しいことは解らない。つまり、全ての仕事は必ず「嘘」から始
まるモノであることを、作者はきっと理解している。その部分を大胆にデフォ
ルメし、誰もが笑える内容に仕上げてしまうセンス。デビュー作でコレをやれ
るのだから、この人の才能は本当に大したモノだと思う。
これがまだあと2冊ある、というのは幸運かも。
年内はユニバーサル広告社シリーズでなんとか乗り越えられるかもしれない。
次はヤクザのイメージアップ。かなり楽しみ!