何が困るかって

▼何が困るかって / 坂木司(Kindle版)

坂木司短編集
というか、18編も入ってるんだから、もうショートショートという扱いでいいの
かもしれない。

長らく「覆面作家」という立ち位置で執筆活動を続ける坂木さん。文体や素材の
チョイスから、僕は絶対に女性だと思っている(^^;)のだけど、この人の作品群は
基本的に「優しい」系のモノが多い。ところが、「短編集」になると様子が一変、
彼女のブラックな部分がクローズアップされるのだから面白い。

この作品もその傾向が顕著。全ての作品が「世にも奇妙な物語」元ネタになり
そうな内容で、もしかしたら“ホラー”にカテゴライズしても良いくらい薄ら寒い
作品ばかり。もちろんただ怖いだけでなく、ちょっとしたハートウォーミング系
の内容を絶妙に散りばめてあるのだから、唸るしかない。やっぱりこのオンナ
只者では無い。

印象に残ったのは、「洗面台」
無生物を擬人化した上で物語にする、という手法は本当によくあるのだが、まさ
かそこに洗面台流し台でなくて洗面台、これ重要!)を当てはめてくるとは・・・。
しかも、それをそこそこ良い話に仕上げちゃうセンス。いや、本当に凄いと思い
ます、コレ。

いつもの坂木司を期待してる人は面食らうと思うけど、おおよその人たちなら
充分に楽しめるショートストーリー集。ホラー奇妙な物語が好きな人もぜひ!
オススメです!

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