荻原浩のテーマ短編集。
いわゆるファミリー系のエピソードが7篇収録されているのだが、殆どの篇で
主役を張っているのが定年間近のオヤジ世代。若い頃はそれなりに夢があった
ものの、今ではしがないサラリーマン、ITの進化に付いて行けず、嫁に早くに
先立たれる、という共通項。さらに全員が、体重に関して悩みを抱えている、
というところまで同じ(^^;)。
例えば10年前にコレを読んでいたら、おそらく全く響かなかったハズ(^^;)。
ただ、現在の僕はここに描かれているオヤジたちと年代的には全く変わらず、
なんかもう共感度が半端ない感じ(^^;)。娘が居るワケでも無いのに、嫁に行
く娘のことを思って涙してしまうのだから、僕もかなり年をとった(^^;)。
ただ僕の場合、下手すれば彼らよりもずっと下層を歩いてるんだよなぁ・・・。
だから、こういう幸せは間違い無く手にできないワケで、そのあたりがちょ
っと腹立たしくもある。
氏の作品としてはややおとなしめだが、同年代をウルっとさせる人物描写は
やっぱり名人芸。難点を無理に挙げるのなら、表題作「家族写真」がちょっ
とだけ食い足りない気が。かなり良い話なので、出来れば長編にリライトし
てくれると非常に嬉しい。
いわゆる昭和テイストの好きな人は是非!
・・・ちょっと運動しないとダメかな、僕も。波平と5つしか変わらないし。