スーツケースの半分は

▼スーツケースの半分は / 近藤史恵(Kindle版)

久しぶりの近藤史恵作品。
ちょうど読む本が切れたところでKindleストアを徘徊中、表紙デザイン可愛さ
に惹かれて思わずポチっと。いわゆるジャケット買い、というヤツ。

「旅」をテーマとしたヒューマンドラマ
ある女性がフリーマーケットで見掛け、一目惚れした青いスーツケースを入手。
やがてそのスーツケースは友人たちに貸し出され、世界中を駆け回る。そのう
ちに「幸運のスーツケース」と呼ばれるようになって・・・という物語。

旅モノの小説はこれまで幾つも読んで来たが、この作品ほど「清々しさ」を感
じたモノはこれまで無かった。偶然手に入れたスーツケースがキッカケとなり、
いろんな人たちが旅先で「生きて行く上で大事なモノ」が何かを見定めていく。
役割を終えるとスーツケースは次の人の手へ。そうやって巡り巡るストーリー
は、はかなくも美しい。大きな事件は全く起こらない「静かな小説」だが、ど
の篇を読んでもジーンと来てしまうのが凄い。

ファンタジー・・・とまで言わないものの、読後感はソレに非常に近いモノが。
おそらくこの作品、きっと何度か読み返すタイプの本になると思う。

旅行、それも一人旅が好きな人はきっとハマりそう。
ウチの今のスーツケースも色は青だが、いつの日か幸運のスーツケースに化け
てくんないかなぁ・・・。

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