中山七里作品。
氏にしては珍しく、ミステリー要素の殆ど無い政治エンターテインメント。
設定はかなり強引(^^;)。
総理大臣のモノマネを得意技とする売れない役者が、急病で倒れた総理の
替え玉をやらされる、という物語。普通コレがバレない、というのはあり
得ない(^^;)のだが、まぁ小説ということでその辺りは突っ込まない方が
幸せだと思いますよ、ええ。
ただ、内容的にはかなり突っ込んだ政治モノ。
「政治」という世界の仕組みとその難しさや面白さが見事に解説されてお
り、ちょっとした入門書として使えそうな作品。何よりも単なる一般人が
ホンモノの首相よりもよっぽど首相らしくなっていく様がやたらと痛快。
終盤にはちょっと泣ける場面まであり、エンタメとしての完成度はかなり
高い気がする。
作者の代名詞である“どんでん返し”こそ無いものの、読み応えはバッチリ。
中山七里の違った引き出しを見たい人はぜひ。コレは映像化して欲しいな
ぁ・・・。