ふたたび嗤う淑女

▼ふたたび嗤う淑女 / 中山七里(Kindle版)

またもや中山七里作品。
5年前に読んだ「嗤う淑女」の続編。ということは、あの悪女の中の悪女
蒲生美智留がまた降臨する、ということ。もぉ楽しみで、ゾクゾクしなが
ら読んだ。

今回も連作短編の体。
前作のラストで美智留が化けた野々宮恭子は、ライフプランナーとして登
場し、とある代議士の重要な関係者を次々とに嵌めて行く。今回のター
ゲットは女性だけでなく男性も含まれているが、全員が全員、名誉欲
にまみれたちょっとアレ系な人間ばかり。前作に比較すれば野々宮チー
ムの手法はやや拙い気がしないでも無いが、こういう人間なら引っかかる
だろう、と思わせてくれるあたりはさすがのテクニックである。

そして、氏得意の「どんでん返し」に、今回もまんまとやられた(^^;)。
実は物語の最初の段階で「こいつはアヤシイ」と思っていたのだが、話が
進むにつれ猜疑心を持っていたことを忘れてしまった。掌の上、という
言葉が非常にしっくり来る。やっぱり凄いな、この作家。

前作ほど悪意に満ちた内容では無いが、ラストの記述には思わずゾッとし、
そしてほくそ笑んだイヤミスマニアとしては上々のご馳走であった。

さすがは中山七里。
もし読むのであれば、コレだけではなく前作も一緒に読むと尚良い。
悪意に満ちた小説を読みたい人は、ぜひどうぞ!

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