#螺旋プロジェクト
螺旋プロジェクト第四弾その1。
作者の乾ルカ、もちろん初めてで知っている知識は北海道在住の美人作家
である、ということくらい(^^;)。螺旋プロジェクトに関わっていなかった
ら、おそらく作品を目にする機会も無かったかもしれない。
時代は昭和、具体的には太平洋戦争末期。日本の敗色が濃厚となった時
期に東北へ集団疎開に出される小学生たち。その中の一人に、“蒼い目”
を持つ清子が居た。清子が寝泊まりする寺は、身寄りの無い子どもたち
を受け入れる場所。そこには“長い耳”の少女、リツが。巡り会ってしま
った海族と山族はお互いを嫌悪して・・・という内容。
戦争という規模の大きな対立の最中に、海vs山、それも少女vs少女とい
うある意味極地的な対立が描かれているのがポイント。ただお互いが気
に入らない、という理由で対立を深め、気が付いたら命のやり取りまで
発展する。もしかしたら彼女らの小さな「諍い」は、これまで起こった
多くの「戦争」と大差無いのかもしれない。そんな象徴的なことを考え
てしまった。
・・・結構な問題作だと思うが、読後感はけして悪く無い。そして海vs山の
対立構造が個人レベルに落とし込まれているため、感情移入がし易く明快
で解りやすい。もしかしたら「螺旋プロジェクトの取扱説明書」的な役割
を担ってくれるのかも。
さて、残り3冊。
順番的には古代・原始・未来かぁ・・・。果たしてどんなモノか・・・。