#イヤミス #狼は誰だ?
真梨幸子、2019年3作目にして令和最初の作品。
もう鉄板。誰もが期待する通りの「完璧なるイヤミス」。ドロドロで異臭
まで漂いそうな真梨幸子ワールドを、今回もぶちかましてくれた。
モチーフはもちろん童話の「三匹の子豚」。ザ・童話と言えるくらい有名
な話であり、まぁ普通の人なら誰もが知っている。それを絶妙にアレンジ
しつつ、最高の悪意を混ぜた上でオトナがゾクゾクするような作品に仕上
げている。しかし、あの物語をどう解釈したらこんな話を思いつくのか?
相変わらず凄いセンスだと思う。
今回、真梨幸子作品がもう一つ進化を見せた気が。
最近はイヤミスの“ミステリー”の部分で「ミスリード」という必殺技を
駆使し、物語に深みを加えていたのだが、今回は特にミスリードを誘うよ
うな記述は見受けられない。代わりに物語が循環しつつも展開し、読み進
めるうちに謎がゆっくり解けて行く、という王道系。以前の作品でもソレ
に挑戦し、複雑になりすぎてしまったモノがあったのだが、今回はそうい
う難解さは皆無。今なら普通のミステリーを書いてもヒット作が出せる気
がする。
と言いつつも、だ。
海外にこういうジャンルがあるかどうかは知らないが、真梨幸子こそおそ
らく世界最強のイヤミスメーカー。イヤミスしか書かない、という姿勢は
もうストイックと表現してもおかしくない。ブレず、コンスタントに作品
をリリースし、どれもが最高にして最悪。
僕が尊敬して止まないイヤミスの教祖は、こんなにもカッコイイ。
これは映像で観たいなぁ・・・。
すっごくWOWOW・連続ドラマW向きな気がするけど。