81歳いまだまんが道を・・・

▼81歳いまだまんが道を・・・ / 藤子不二雄Ⓐ

2012年に出版された単行本「78歳いまだまんが道を・・・」の文庫版。
著者は藤子不二雄Ⓐ。昭和の時代に生まれた日本国民であれば、誰もが
その名を知っている「生ける伝説」史上最高の漫画家の一人である。

Ⓐ先生の「まんが道」は、僕のバイブルと言って差し支えの無い青春群像劇
の傑作。自らをモデルとした満賀道雄の成長物語であり、ここでの満賀は
あまりにも“等身大”の青年として描かれている。本名で登場する手塚治虫
石ノ森章太郎赤塚不二夫、そして才野茂(a.k.a.藤子・F・不二雄)といっ
天才たちに囲まれ、彼らとの才能の差に苦悩しながらも、しっかりと着実
にまんが道を歩んでいく様に、同じく凡人である我々は何とも言えない共感
を覚え、その世界から離れられなくなる。

そして僕はいつも改めて気付く。
時代が進み、年齢を重ねても薄れないインパクト、そして麻薬に近い中毒性。
そんな作品を未だに生み出し続ける藤子不二雄Ⓐこそが、上記の天才たちの
更に上を行く孤高の天才であることに。

そんなⒶ先生の自叙伝は「まんが道」はもちろん、これまでに数十冊を読ん
でいる。この作品でも他作品で既に知っているエピソードが多々出てくるの
だが、そのたびに「まんが道」で読んだ場面を思い出してニヤッとする。
特に偉人伝の域に達しているトキワ荘時代の記述は秀逸で、このくだりに関
しては同じ話を何百パターン読んでも飽きない自信がある。

この文庫には単行本の刊行から3年分の「まんが道」が長い“あとがき”とし
て掲載されている。こういう形で今も進化し続ける作品を現在進行形で魅せ
てくれる偉大な才能の存在に、感謝の念が絶えない。

Ⓐ先生も今年で82歳
ここ数年ご病気の報なども聞こえてくるが、願わくばあと18年、100歳
では現役を続けて欲しい。いや、もちろんそれ以上でも何の問題も無い。
藤子不二雄Ⓐという偉大な才能は、間違い無く万人が欲するものだと信じて
いるので。

ちなみに「Ⓐ」(まるA)はちゃんと表示されてるのかな?
Ⓐ = Anarchy。僕は最高の敬意を持って、この名前をそう解釈している。

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