#舞台裏ミステリー
ずいぶん久々の芦沢央作品。
最初に読んだのは5年前、彼女のデビュー作。あの時は気合いの入った
イヤミスを期待しながらも食い足りなかった印象があったのだが、果た
してコレは?という感じで。
基本は連作短編集。主軸としては1本の舞台公演があり、そこにまつわ
る人々の悲喜こもごもを描いたヒューマンミステリーである。「まつわ
る人」のチョイスが秀逸で、俳優・女優はもちろん、PR会社の人や舞台
を観ようとしている客、挙げ句は近くの図書館に居た小学生の母親など
という、全く関係の無さそうな人たち。ソレらをキレイに繋げ、舞台仕
立ての構成で一本の物語を作ってしまっているのだから恐れ入る。
ユーモア溢れる文体に加え、いくつかある恋愛系のエピソードがかなり
ツボ。しっかり欺された上になんとなくホンワカした気分になれたのは、
ちょっと意外だった。
芦沢央、凄くいい作家に成長している模様。
あれからかなり著作が溜まっているようだし、しばらく読むモノに困る
ことは無さそう。なかなかやるじゃん!