少年と犬

#君に逢いに行く


▼少年と犬 / 馳星周(Kindle版)

第163回直木賞を受賞したのは、 馳星周の作品。
これまで何度も同賞の候補に挙がっていた作家だが、遂に至宝に手が届いた
実はこの作家の作品を読むのは、コレが初めてなのだが・・・。

舞台は日本各地。期間は東日本大震災から熊本大地震勃発までの5年間
震災で飼い主を失ったが、ある場所を目指して旅をするのだが、その道程
関わった人たちをそれぞれ主役に据えた連作短編集

文句の付けようのないしっかりした人間ドラマであり、登場する各々の事情
に深く共感せざるを得ない程の圧倒的な心情描写力。それをただ見ている筈
「犬」が、やたら神々しく感じるのだから凄い。

ラストであの頃に起こったいろいろなことを思い出した。
心が苦しくなり、読み進めるのが辛くなり、気が付いたら号泣していた。
小説を読んで泣いたのは本当に久しぶり。もし今回、コレでは無い別の作品
が直木賞を取ったとしたら、僕は選定者の神経を疑うと思う。

こんな凄い作家にこれまで触れて来なかった自分が、ちょっと情けない。
しばらく馳星周強化月間に入るぞ、きっと。

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