#ザ・ミステリー
東野圭吾の新作。
コロナ禍の影響か、遂に過去作品の一部が電子書籍化された東野作品だが、
新作はやはりソフトカバーオンリー。まずは書店でその束を見て度肝を抜
かれた。「白夜行」までいかないかもしれないが、一見しただけで大長編
と解る装丁。気合いを入れて読み始めた。
弁護士の変死から始まる物語。手がかりの殆ど無い事件で、捜査は暗礁に
乗り上げるかと思われたが、ある容疑者の自白で事態は急展開。被害者・
加害者双方の家族も生活が一変し、世間の好奇の目に晒されてしまうのだ
が、被害者の息子と加害者の娘の双方が、犯人の「供述」に全く納得が出
来ないでいた・・・という感じ。
・・・凄い。
全編に張り巡らされた伏線と、あまりにリアルな加害者・被害者の感情が
交錯し、結果全てから目が離せない。とんでもない長編なハズなのに、全
くと言って良い程長さを感じず、ほぼ2日で全てを読み切ってしまった。
東野圭吾の著作はほぼ全てを読んでいるのだが、個人的にその中でもベス
ト3に入る傑作、と評価。どこを読んでも静かな緊迫感が溢れ、読中心臓
の鼓動が安定しない程。そしてこれまた久しぶりに、最後まで犯人が全く
解らない、というミステリーの王道もしっかり歩んでいる。
これぞザ・ミステリー。東野圭吾の真骨頂を、久々に堪能させてもらった。
ちなみに読後感、悪く無いどころか清涼感すら。オススメすることに何の
躊躇も無い。改めて、凄い作品です、コレ。