▼AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 / 内藤了(Kindle版)
内藤了・藤堂比奈子シリーズ第三弾、光りの速さで読了!
「AID」と題された今作は、このシリーズのターニングポイントになりそうな
かなり“苦しくて切ない”物語である。
今回のテーマは「自殺」。
腐乱自殺死体の爆発事件を皮切りに、八王子西署関内で次々に起こる自殺事件。
一連の事件に共通点を発見した藤堂比奈子と猟奇犯罪捜査班が捜査に乗り出し
て・・・という内容。
今回も「猟奇犯罪モノ」としてのベーシックは崩れておらず、あまりにも恐ろ
しい「死」が続々と連なっている。しかし、物語の核は間違い無く人間ドラマ
の部分であり、絶望的とも言える孤独に苛まれた人たちの心情を徹底的に描写。
自分に置き換えられる部分が多々あり、読んでいる時は本当に苦しかった。
そしてこのシリーズには珍しく、最後まで犯人が判明し辛い構成。
ラストはあまりにも悲しい展開な上、実際に過去に起こった犯罪の真相(もち
ろんフィクションだが)まで炙り出す、という重厚な流れ。ミステリーとして
のレベルは格段に上がっている。
・・・いやぁ、予想通りハマったな、このシリーズ。
残るはあと2冊なのだが、週内で完全読破しそうな勢い。こうなったらもう、
毒を食らわば皿まで。読み切るぞ、速攻で。