#Prime Video Boxing 12
ボクシング・スーパーバンタム級四団体統一世界王者、井上尚弥の統一
王座四度目の防衛戦は、米国ネバダ州ラスベガス・T-Mobileアリーナで
行われた。挑戦者はWBAで1位にランクされているラモン・カルデナス。
ランキング1位とはいえ、コチラは尚弥が苦戦することなど一切考えず。
どちらかと言えば「役不足」くらいに思っていたのだが・・・。
メキシカン・アメリカンのラモン・カルデナス、おそらく「井上尚弥を
最も苦しめた選手」として歴史に残ることになる、と思う。2Rにタイミ
ングドンピシャの左フックを当て、尚弥から明らかに深刻なダウンを奪
い、前半は完全にペースを握った。何よりも、尚弥の強打に対し、真正
面から勇敢に立ち向かったボクサーは、カルデナスが初めてだと思う。
これまでに尚弥が明確に苦戦した試合として思い当たるのは、新人時代
の田口良一戦、1回目のノニト・ドネア戦、そして生涯初のダウンを奪
われたルイス・ネリ戦の3試合くらい。ネリとの試合はタイミングでの
ダウンで、試合全体を通せば「苦戦」ではなかった気もする。しかし、
この試合は明らかに尚弥の「大苦戦」。試合が決するまで、生きた心地
がしなかったのは初めてかもしれない。
最終的には7Rにダウンを奪い返した尚弥が、8Rに連打をまとめて強引
にTKO勝ち。結果的に世界戦KO勝利の記録を作ったが、今回ばかりは
素直に喜ぶことが出来なかった。
カルデナスが予想以上に強かったのは間違い無い。まがりなりにもラン
キング1位の選手であり、強くて当然ではあるのだが、数年前の尚弥が
このクラスに苦戦したのか?と考えてしまう。尚弥にが今後予定してい
る3つの大きな試合・・・MJ戦、ニック・ボール戦、中谷潤人戦・・・を考え
ると、一抹の・・・いや、大きな不安を感じる。
・・・ハッキリ言おう。井上尚弥は、衰えている。
いや、衰えた今でも世界トップクラスで強いのだけど、MJあたりに足を
救われる井上尚弥なんて想像もしたくない。願わくば、来年実現するで
あろう、もう一人の“怪物”との試合までは勝ち続けて欲しい。
お願いだから・・・。