猪木伝説の真相

#人の人生をカンタンに変える男


▼猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯 / V.A.

僕が何十冊か所持している「猪木本」に、また新しい一冊が加わった。
宝島から出る猪木本だから、もちろん証言シリーズの形式を踏襲。
「不世出」と表現される史上最高のプロレスラーアントニオ猪木
ついて、その周辺に居たプロレスラーや関係者へのインタビューをま
とめたモノ。驚くべきは、猪木本人もインタビューに応えていること。

物心がついた頃から今に至るまでアントニオ猪木は僕の「神」である。
猪木が黒と言えば白いものでも黒だし、猪木が右に行けば当然自分も
その方向に進む。「猪木信者」というのは本当によくできた言葉で、
同じような感情を抱き続けて今に至っている同士がウジャウジャ居る。

アントニオ猪木はプロレスを「たかがプロレス」にしなかった人
僕はテレビで猪木の大一番を見る度にどんどん魅了され、取り返しの
付かないところまで来てしまった。総合格闘技やボクシングにも印象
的な試合は幾つもあるが、それよりも真剣に見ていたのが一連の異種
格闘技戦大木、シン、ハンセン、ラッシャー木村らとの闘いで、今
になっても一連の流れを思い出せる。たかがファンである僕がそうな
のだから、同業者であるプロレスラーたちの猪木へのリスペクトは相
当なもの。どのインタビューを読んでも、それを強く感じた。

そんな猪木だが、さすがに残された時間はそれ程多くない気がする。
もし猪木に何かあった場合、僕がどんな精神状態になるのか皆目見当
が付かない。ずっと大好きだったプロレスから離れるとしたら、その
時なのかなぁ、という気もするが、果たして・・・。

この本を読んでも、いわゆる「謎」は解明されない。しかし、僕と同
じくアントニオ猪木に人生を変えられた人たちは読まずには居られな
い筈。特に佐山聡、前田日明、藤原喜明のインタビューは必読。
かなりイケます、この本。

年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで

#文化系プロレスの進化論


▼年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで
/ 高木三四郎(Kindle版)

今や名実共に「業界第2位」の立場を確立した感のあるDDT
飯伏幸太ケニー・オメガを発掘・育成し、両名に退団されても勢いは衰
えず、新たなスターをバンバン産み出すDDTの「大社長」高木三四郎
インタビュー集である。

プロレス団体と言うより、成功したベンチャー企業の社長の本を読んで
いるような感覚。確かにDDTの「やり方」はこれまでのプロレス団体で
は絶対に出来なかったことだと思っていたが、その様をこうやって一冊
にまとめられるとソレが凄い説得力を放つ。この人が出てこなかったら
日本のプロレスはどうなっていたのか?とかを考えると、本当にゾッと
するくらい。

DDTはサイバーエージェントの傘下に入り、今後の大爆発が期待されて
いる。いろいろ考えてみると、企業としての伸びしろブシロードより
サイバーエージェントの方がやや上かもしれない。もしかしたら、本当
新日本プロレスを超えることが出来るかも・・・。そんな可能性を感じた。

プロレスファンのみならず、企業経営者が読んでもきっと面白い。
ベンチャーのなんたるかをちゃんと解っている「大社長」。この言葉は
聞くべきだな、マジで。

井上尚弥 / ノニト・ドネア

#This is THE BOXING #怪物 #WBSS


待ちに待ったWORLD BOXING SUPER SIRIES・バンタム級決勝戦
超満員のさいたまスーパーアリーナ、カードは井上尚弥vsノニト・ドネア
早いラウンドでのKO勝利が期待された井上だが、この試合がとんでもない
ことになった。


1Rの攻防では、明らかにパンチ力で上回る井上の快勝が予想されたのだが、
2Rにドネアのフックで井上が右瞼をカット。井上のこれまでのキャリアで
初の流血。このラウンド以降、ずっと井上はハンデを背負う事になる。

それでも中盤の5Rは井上らしい展開でドネアを追い込む。しかし、これま
ではこの必勝パターンでKOに繋がらなかったことは無かった。そもそも、
5Rかかるなんて・・・。

ピンチを凌いだドネアは井上の強打に「閃光」と呼ばれる左フックで対抗。
9Rには見事な一撃を当て、怪物をふらつかせる。クリンチに行く井上の姿
なんて、これまで見たことが無い。もしかしたら、という悪い予感が・・・。


ところが11R、接近戦で井上の「恐怖」と呼ばれる左ボディ・肝臓打ち
炸裂。これにはたまらずドネアもダウン。10カウント入ったかと思われた
が、ギリギリで立ち上がるドネア。フラフラだが、目は死んでいない

最終ラウンドに入っても全く手を止めようとしない両者。あまりにすばら
しい「THE BOXING」に、感動を抑えることが出来なかった。


12R終了のゴングと同時にノーサイド。判定も聞かずに抱き合う両者に、
万雷の拍手が。こんな試合、今後また観られるかどうか解らない

WBSSバンタム級覇者井上尚弥
ただ、今回の主役は間違い無く36歳五階級制覇王者ノニト・ドネア
だったような気がする。

井上尚弥が「辛勝」を経験してしまうのがボクシングの怖さ。でも、こ
の試合でまた1段階井上は強くなる、と確信した次第。

次の相手は弟・井上拓真を破ってWBCバンタム級統一王者となったウー
バーリ、あるいは「日本ボクシング界の天敵」か。まだまだ井上尚弥か
ら目が離せない状況は続く!

最強の系譜

#ストロングスタイルの源流


▼最強の系譜 プロレス史 百花繚乱 / 那嵯涼介

ある意味「待望」の本が遂に出版。
著者は那嵯涼介氏。小泉悦次氏・ミック博士氏と並び、僕が個人的に尊敬
している「プロレス史」探求家が、もの凄い“ボリューム”の本を出してく
れた。

基本はG SPIRITSに掲載された記事をまとめたもの。ということは、全て
を既に読んでおり、どの記事にも唸らされた覚えがビンビンにあるのだが、
こうやってまとめて読むとやっぱり唸る。巻末の参考文献一覧までをしっ
かり読んだ後、しばらくの間呆けてしまうくらい、凄まじい本である。

カール・ゴッチダニー・ホッジローラン・ボックに関する記述はお
そらく世界一の精度と内容を誇り、その手の、いわゆる”シューター”
“フッカー”と目されるプロレスラーに興味を持たざるを得ない我々のよ
うな昭和プロレス者にはやたらと響く内容。コレに加え、幼い頃に秋田
書店プロレス入門で読んだ「恐怖のトルコ人」こと、ユーソフ・イシ
ュマイロロ(本編ではユーソフ・イスマイロと表記)の件やトルコレス
リングの解説が詳細に描かれており、そのあたりを鬼のように読み込ん
でしまう。三つ子の魂、ってヤツなのかなぁ・・・。

本体価格2,000円はかなり高めの設定だと思われるだろうが、実際に本
を手に取り、ページをめくってみればそ値段がかなり「安い」という事
実に気付くと思う。最低でもプロレスに興味のある人しかターゲットに
なり得ない本だが、一度でも「プロレスこそ最強の格闘技」を信じた人
なら持っていなければいけない作品

作者の冒頭の言葉を、僕も拝借させていただく。
「プロレスラーに”強さ”を求めて何が悪い」と。

NOAH the BEST 2019

#美学のある闘い


プロレスリング・ノア両国国技館大会
今年最大のビッグマッチで、新体制になってからのNOAH試される大会
どうなることか、とハラハラしたのだけど・・・。

超満員とは言わないまでも、充分に満員マークの付けられる客入り。
今回は純粋な観戦ではなく、数試合を確認しただけなのだが、間違い無く
今のNOAHは上昇気流に乗りつつある、と確信。ちょっと前までどん底だ
ったハズのNOAHだからそれも当たり前なのだけど、興行全体に「熱」
戻って来ているのは紛れもない事実。いいね、本当に。

メインのGHCヘビー級タイトルマッチ、本当に良い試合だった。
王者の清宮海斗はNOAHらしいチャンピオン像でタイトル防衛。ただ、こ
こまで試合を煽って盛り上げた拳王がタイトルを取れなかったのは、少し
だけ残念だった。

このまま波に乗って、大会場興行をたくさん見せて欲しい。
行け、NOAH!