個人的に3冊目となる東スポ官能小説大賞グランプリ作家・菅原裕一作品。
表紙の猫が割とカワイイので大きく油断したのだが、この作品、とんでもなく
秀逸なミステリー。かなりのボリュームがあるのだが、本当にあっという間に
読了してしまった。
アイテムはハッキングと医療。双方共にそれなりに専門分野に突っ込んだ風の
内容であり、少なくとも僕のような素人が読むと圧倒的なリアリティが。そし
て、全く相容れない筈の2項目がバランス良く同居し、共に手に汗握る状況を
作っちゃっている。Unlimitedにしとくのは勿体無いわ、本当に。
何よりも凄いのは、若かりしころに恐ろしく非道い目に遭い、その後の人生を
正義感のカケラも無くただただ復讐に没頭するしかなかった主人公の最終的な
立ち位置。その辺りを注意しながら読むと、これまで全く無かったダークヒー
ローの形を理解出来ると思う。
敢えて難を言うのなら、オーラスをもう少しだけ整理して欲しかったかも。
しかし、これはもう非常に些細な問題。説得力抜群の口語体ミステリーを堪能
すべし!