コアな昭和プロレスファンにはお馴染みのG SPIRITS BOOKの最新作は、なん
と「消化鬼」ことケンドー・ナガサキの自伝。あまりにマニアックすぎる人選
だが、これぞG SPIRITSの真骨頂。読む人はかなり限定されると思うけど(^^;)。
著者の桜田一男とは、かつてケンドー・ナガサキを名乗ったプロレスラー。
日本プロレスでデビューし、全日本に合流した後にアメリカへ遠征し、そこで
長く活躍した職人タイプのレスラー。リングネームをやたら変えることでも有
名で、日本のリングでも以下6つのリングネームを名乗った。
桜田一男(本名:日本・全日本)→ミスター・サクラダ(全日本)→ドリーム
・マシーン(覆面:全日本)→ランボー・サクラダ(新日本)→ケンドー・ナ
ガサキ(新日本)→ドラゴン・マスター(FMW)
SWS参戦後はケンドー・ナガサキに戻し、以降は一貫してこのリングネームで
通した。米マットでも長くこの名前で活躍しており、通りの良さは抜群。にも
関わらず、日本で違う名前を使ったのは、桜田の”ケンドー・ナガサキ”が実は
2代目だった(かつて英国に同名のプロレスラーが存在)から、だと僕は思う。
カブキやムタ、キラー・カーンと比較すれば、決して全米でブレイクしたとは
言えないが、しっかりした技術とシュートの強さが評価され、どこへ行っても
仕事の出来た名選手。こういうレスラーの海外滞在記はやっぱり面白く、今回
も一気に読むことが出来た。
ただ、少々食い足りない感じがしたのは、ナガサキが関わっていた団体や選手
に、僕が殆ど思い入れを持っていない(^^;)のが原因。しかし、自らが大きく関
わっていた筈のSWS設立から崩壊までの件をかなりドライに語っていたのが、
非常に新鮮でもあった。
この本、プロレスファン以外が読むのはちょっと無理がある。
ただ、プロレス史に少しでも興味のある人なら間違い無く面白く読めると思う。
G SPIRITSの攻めの姿勢、好きだな、僕は。