G1 CLIMAX28、昨日開催されたアクトシティ浜松大会の「セミファイナル」
で組まれた試合が、なんか非常に良かった。どんなカードなのかと言うと・・・。
Aブロック公式戦・棚橋弘至vs真壁刀義。
ほんの・・・ほんの少し前まで、中邑真輔と共に新日本の中心に居た2人が、
G1とはいえ平日の地方大会で一騎打ち。しかも、セミファイナルである。
これがどういう意味なのか、闘った2人は充分に理解していた。
だから棚橋と真壁は、この2人にしか出来ない闘いをやってのけた。
身体能力にモノを言わせた危険なムーブも、垂直落下式で頭部から落とす
ような技も、わざとらしい殴り合いの交換も一切無い、懐かしき新日本の
ベーシックなチェーンレスリング。その動きだけで観客に固唾を呑ませて
しまうのだから、やはり2人とも只者では無い。
今現在のトレンドで言うのなら、決して「名勝負」の範疇には入らない。
それでも2人の意地とか、これまで背負ってきた重たい責任とか、そういう
「人生」が垣間見える試合。デビューからずっとその活躍を観てきた新日本
生え抜きの2人が、こういうレベルの試合をするようになった、という事実
に、ちょっとジーンと来た。
しかし、心配なのは・・・。
ここ2〜3年で同じような試合をしてきた永田・小島・天山の第三世代と呼
ばれる選手たちは、今回のG1に同行すらしていない。棚橋や真壁がすぐに
そうなるとは思えないが、サイクルの速い現在の新日マットを考えると、そ
れがすぐに起こらない、と言い切れない自分も居る。
棚橋も真壁も、まだまだトップ戦線でやるべきことがある筈。
勝った棚橋は今後も勝ち点を重ねて優勝戦へ進出する義務があると思うし、
負けた真壁ももう一暴れしなければならない。
棚橋と真壁は、間違い無く今の新日本の基礎を造った功労者。でも・・・。
そんな思いがいちばん先に立つようなスタンスは、2人には絶対に似合わな
い。まだいける。まだやれる。本人たちよりきっと、僕らが心からそう思っ
ていることを、本気で彼らに伝えたい。