獣神サンダー・ライガー自伝・完結編

#Thank You Liger


▼獣神サンダー・ライガー自伝・完結編 / 獣神サンダー・ライガー

3年ほど前にレビューした獣神サンダー・ライガー自伝・上下巻に続く
3冊目は「完結編」。下巻では2000年から2017年までのライガーを振
り返る内容だったのだが、今回はそこから引退までのストーリー。

基本は前半がライガーへのロングインタビュー、後半が引退試合に絡ん
だ選手たちとの対談。唯一、最後の相手だった高橋ヒロムのみ、単独で
インタビューに応えている。

ライガー関連では引退記念で各種の書籍がリリースされ、ほぼ全てを読
破してきたが、どうやらこの作品で打ち止め。決定版と呼んでおかしく
ない内容になっている、と思う。

・・・やっぱりライガーは最高のプロレスラーであると同時に、人間として
尊敬に値する人だな、と心から。インタビューの端々から感じるのは
業界に対する「大きな愛」以外の何物でも無いし、駄目なモノはダメで、
良いモノは良い、と評価する姿勢はデビューから引退まで終始一貫した
姿勢。現役を退き、現在YouTuberとして活躍するライガーは終始朗らか
だが、相変わらず人の心を捉えて離さないオーラを醸し出している。

こういう大人が、僕はいちばんカッコイイと思うんだよね、本当に。
引退試合からもう3ヶ月くらいが過ぎるけど、改めてライガーと同じ時代
に生まれて良かった、と心から。

何度でも言えるなぁ、「ありがとう!」と。

昭和プロレス正史(下)

#フミヒコナラティブ


▼昭和プロレス正史 下巻 / 斎藤文彦(Kindle版)

やや迷ったが結局速攻で下巻を購入したフミ・サイトーの大作。
その時代毎に重要とされる記事、いわゆる活字プロレスを並べて昭和
プロレスの歴史を語る、という手法は上巻と同じだが、こちらはアン
トニオ猪木ジャイアント馬場が日本プロレスを脱退し、それぞれが
独立した時代以降がテーマ。感情移入がし易くなるのと共に、覚えて
いる記事が幾つもあった。

感慨深いのはやはり猪木・アリの世紀の一戦に関する記述集。
あの頃はまださすがにプロレス雑誌を購読する習慣はなかった筈なの
だが、どういうワケだか「猪木が非難囂々の状態にあった」というの
は理解していた。僕にとっては試合内容云々よりも「猪木が負けない」
ことの方が重要であり、皆が「退屈」と表現した15ラウンドを、固唾
を呑んで見守っていたから、引き分けに終わった時は正直ホッとした。
更に「次やれば猪木が勝つ!」と信じていたから、あの酷評の嵐には
幼いながらも憤りを感じたことを覚えている。

一般紙やスポーツ紙が報じた酷評、それがどんな記事だったのか?が
大まかに理解出来ただけでも収穫だが、何よりも普段から“猪木嫌い”
を自称していたライターの菊池孝さんが、しっかりと中立の位置です
ばらしい観戦記を書いていた事実が嬉しい。この記事が読めただけで
この本を買った甲斐があった気がする。

フミさん自身の書いた前田日明ブルーザー・ブロディの記事も秀逸。
一言一句では無いが、それを殆ど覚えていた僕の無駄な記憶力にちょ
っと呆れもしたけど(^^;)。

上下巻、もの凄いボリューム。
電子書籍だと束が解らないのだが、先日水道橋の書店でこの本を見て、
その分厚さにちょっとビビったほど。僕ら世代のプロレスファンは読
んでおくべき大作。凄かったです!

古今東西プロレスラー伝説

#元祖あやしい日本人


▼古今東西プロレスラー伝説 / タイガー服部

ジャパンプロレス全日本プロレス新日本プロレス、そして伝説のWJ
レフェリーとして活躍し、先日引退したタイガー服部氏の著書。
基本は週刊プロレスの連載記事「YOUなに聞きたい!?」をまとめ、そこに
新規で行われた対談やインタビューを付加したモノ。

服部さんは間違い無く長州一派。ということは、僕が好きになることは無
い位置に居る人なのだが、何故だか昔からこの人に悪い印象が無い。口髭
をたくわえた小柄な姿がユーモラスなことと、リング上でのキビキビした
レフェリングがその要因。何よりも「完璧なブロークンイングリッシュ」
で外人選手たちとニコニコ会話する姿のあやしさが、非常に魅力的だった。

この本に登場するプロレスラーはオールドタイムから現在までバラエティ
に富んでいる。服部さんの語り口もおもしろく、かなり楽しめる内容なの
は間違い無いのだが、ちょっと問題が。

この本はよくある口述筆記・・・著者が語り、それを聞いた編集者が文章を
起こすスタイル・・・だと思うのだが、編集者の技量に疑問を感じる。米国
生活の長い服部さんは日本語がある意味不自由であるのに加え、おそらく
年齢の影響で何度か同じことを繰り返し喋ってしまうらしい。それが読ん
でいるこちらに解ってしまう、というのはどうかと思う。もう少ししっか
りした編集が付けば、もっと傑作になった気がするんだけど・・・。

とにかく、服部さんの偉大なるキャリアを改めてリスペクト。そして今さ
らながらなんだけど、なんで「タイガー」なんだろうなぁ、この人(^^;)。

「野人」ラストダンス

#中西学引退 #上からドン!


新日本プロレス「NEW JAPAN ROAD」最終戦、後楽園ホール大会。
「野人」の異名を取った中西学引退興行である。


中西は「第三世代」と呼ばれた同志の永田裕志天山広吉小島聡
タッグを組み、今現在の新日本4TOPに名を連ねるオカダ・カズチカ
棚橋弘至飯伏幸太後藤洋央紀を加えたチームと8人タッグで対戦。
入場時で既に感極まった表情の中西が印象深い。

普通の人間なら致命的、と称されるケガが無ければ、今の鈴木みのる
と同様の活躍が出来たかもしれない中西。全盛期の迫力に溢れた姿は
正直見る影も無い。でも、中西は最後まで中西らしくあろうとした。




そんな状態で対戦相手全員の必殺技正面から受け玉砕して行った
姿は本当に見事だった。正しく「天晴れ」。男ならこうありたい、と
思うくらい、すばらしい引退試合であった。

正直、第三世代の選手たちにはほぼ思い入れが無い僕なのだが、それ
でもデビュー戦を観ている選手が引退していくのは寂しい。残された
3人も引退はそう遠くない気はするが、その前にもう一花咲かせて欲し
気がする。

好ファイトで最高の引退試合を魅せてくれた中西のためにも。

上村優也

#何かを決意した若者の覚悟


新日本プロレス「NEW JAPAN ROAD」後楽園ホール大会。
今年のROADは中西学引退記念シリーズとして行われているのだが、
後楽園ホール3日目の第2試合で、ひさびさに胸のすく試合が。

主役はキャリア3年のヤングライオン、上村優也
CHAOSvs鈴木軍のタッグマッチに1人だけ若手が入った8人タッグだっ
たのだが、驚いたことに上村はリングインと同時に鈴木みのるを急襲。
あの鈴木に数分間反撃を許さないくらい攻め込んで魅せた。


激高する鈴木に場外でボコボコにされる上村。ここまでは普通だと思う
のだが、驚いたことに上村は鈴木を殴り返す。感覚的には鈴木100に対
して上村は1だが、諦めない姿勢は確実にこちらに伝わった。

試合はもちろん上村のフォール負け。完全に意識が飛んだと思いきや、
鈴木にたたき起こされた時に↓↓こんな表情を・・・。

・・・すばらしい
正直、上村は他のヤングライオンと比較して横並びだと思っていたが、
この1試合だけでかなり突き抜けたかもしれない。なんならもうすぐに
でも、上村と鈴木の絡みが見たくなっているのだから。

ボスはトドメのゴッチ式パイルドライバーを敢行しなかった。
つまりこれは「NEXT」があるということ。上村はなんとか鈴木との
一騎打ちまで辿り着き、ゴッチ式を喰らう必要がある

当分新日本の一人勝ちは続くだろうなぁ・・・。
若手からベテランまで、ほぼ全員がギラギラしてるんだから。