サブタイは「知られざる、30の歴史を刻んだ言葉と、その真相」。
章の扉は選手(もしくは関係者)の発言であり、ソレに纏わる「事件」を
考察したノンフィクション。平成元年の新日本プロレス東京ドーム初開催
から、30年の中邑真輔レッスルマニア出場まで、我々の心に確実に刻まれ
ている事件が絶妙にチョイスされている。
・・・この作家のこれまでの著書としては、「泣けるプロレス」シリーズがあ
るのだが、そちらは残念ながらまだ未読。しかし、平成17年・橋本真也の
葬儀に関する記述を読んでいるうちに、自然と目に涙が溢れてしまった。
泣かすのは上手いんだろうな、きっと。
まぁ、正直言えば、全てのトピックが「ほぼ知っていること」。であるか
ら普通なら興味が続かない系の読み物になってしまうのだが、この人の書
く文章は「誠実」な上、なによりプロレスラーに対する「リスペクト」に
溢れている。読後感の清々しさは、この種の他の本では感じたことが無い。
そして、もう30年も経ち、今年には終わってしまう「平成」に感慨も。
僕のライフワークでもある「プロレス」で総括されると、その時に起こっ
たプロレス以外のことも明確に思い出すことが出来るのが不思議だった。
プロレスファンなら、読んで損は無いのは間違いないが、出来ることなら
そうでない人が読んだ時の感想を知りたい本。良いです、コレ。