PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~

#SPACE LONE WOLF


ABEMAのPPVを事前に購入していたのだが、ちょっと事情があって東京ドーム
『KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~』
生観戦することに。ドームでプロレスを観るのは2019年ライガー引退興行
以来。今回も、あるプロレスラーの最後を見送ることになる。

この大会、語るべきことが多々あるのだが、ここはメインイベントのみに焦点
を絞らせていただく。そうでないととんでもない文章量になっちゃうので。

武藤敬司・引退試合。
武藤自らが指名した対戦相手は新日本プロレス・LIJの内藤哲也。全盛期の武藤
に憧れてプロレスラーになり、武藤の呪縛を解き放って絶大な人気を得た現代
カリスマであり、今現在、業界のトップに居る選手。最後まで強敵を求める
あたり、非常に武藤らしい。

武藤敬司は、デビュー当時から今日に至るまで、ずっと「天才」のママだった。
新人時代からムーンサルトプレスを使う事が許された、言わば『特別扱い』
選手であり、下積みらしい下積みを殆ど経験しないまま海外遠征に出た。僕は
ある意味ガチガチのプロレスファンだったので、“苦労”の見えない選手に感情
移入が出来ない。故に、かなり最近まで武藤敬司はハナに付くタイプのプロレ
スラーだった。

「ロープが無ければ何も出来ない」「無駄な動きが多すぎる」「隠し持つべき
ナイフが無い」・・・など、あらゆる点で武藤を否定してきたが、それが単なる
イチャモンであることは、言いながらも理解していた。前田や高田を相手にし
ても派手な動きが出来る、ということは、彼らが暗に武藤を認めていた、とい
うこと。そんな道理は理解できているハズなのに、口ではずっと武藤を否定し
ていた。

だけど、ある日突然武藤に対する悪口が無意味だと気付く。
武藤は試合の一から十までを全て自分で構築し、対戦相手にも説得力のある攻
撃を促した上で、最後に自分がいちばん輝く結末を導く。「いちばん輝く結末」
というのが非常に厄介、つまり武藤は最初から勝ち負けを自分の価値基準とし
ていない。デビューから今日の最後の試合まで、一貫してそれを続けることが
出来たプロレスラーは、おそらく武藤敬司しか存在しない。

今日も出来る全てを出し切り、その上で内藤の必殺技を食らって敗北した。
バカみたいなタフマッチを終えた後にも関わらず、リング上に盟友の蝶野正洋
を呼び出し、強引にゴングを鳴らし、強引に敗北して魅せた。僕は「また美味
しいとこを持っていきやがった」と思ったのだが、涙が溢れて止まらない。こ
んな自分勝手が許されるプロレスラーには、おそらくもう出逢えない、という
現実が、ただただ寂しかった。

大嫌いだ、武藤敬司(^^;)。
でも、大嫌いだからこそどんな試合でもしっかり観たし、その都度悔しい思い
もした。要はずっと武藤の掌で踊らされていただけなのだが、今となってはそ
の状況が本当に心地よい

・・・お疲れ様でした、本当に。
でもさ、もし奇跡的に体調が戻ったら・・・。また試合してよ!絶対誰も文句な
んて言わない。それが武藤敬司なんだから。

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