#奇跡
▼新日本プロレス50年物語 第3巻 V字回復期 / 岡本佑介
新日本プロレス50周年記念本の3冊目・最終巻。
現役東スポ記者にして帝国の広報官(^^;)、の岡本記者の執筆となる。
タイムラインは2009年から2022年。つい最近までの記録、なのだが。
・・・もしかすると、僕はこの時代の新日本プロレスがいちばん好きなのか
もしれない、と思った。暗黒のゼロ年代、K-1やPRIDEなどの格闘技興行
に押され、極一部の選手を除いてそういう場で「新日本の強さ」を証明す
ることも出来ない。プロレス内部に目を向けてみても、当時のファンから
絶大な支持を受けていた三沢率いるNOAHに煮え湯を呑まされ続ける。
ああ、もう新日本は終わるんだな、とか思っていたのだけど・・・。
新日本には、棚橋弘至と中邑真輔が居た。
特に全方位でひたむきに頑張る棚橋の姿はあまりにも印象的。少ない観客
を前に全力ファイトを魅せ、どんなに辛くとも笑顔を絶やさない。そんな
絶望的とも言える勝負から逃げない棚橋が気になり、僕はまた会場に足を
運ぶようになった。そこから表題通り、奇跡のV字回復を成し遂げてしま
った新日本プロレス。もし、この時期に棚橋弘至という存在が無かったら、
僕はプロレス自体から離れていた可能性すらある。もの凄く失礼な言い方
かもしれないが、棚橋の出現で「強さ」を必要としないプロレスも全然ア
リになった。
僕にとってこの3巻は、非常に優秀で努力を怠らない誇るべき「息子」た
ちの成功譚。棚橋・中邑・真壁の3選手には、僕をプロレスに留めてくれ
てありがとう、と心からお礼を言いたい。後藤はまぁ・・・。
そして、岡本記者の表現力にも脱帽。
こんなドラマチックな文章、書け!と言われて書けるモノでは無い、と
思う。読後感はちょっとした長編小説。それも、傑作のレベルである。
全三巻、それぞれ読み応えタップリでした。
何年かしたら読み返しちゃうだろうなぁ、きっと。