打ち合わせの帰りに寄った秋葉原の書泉ブックタワーで見つけたMOOK。
30分・46分・60分・90分・120分でお馴染みのカセットテープに関する
トピックを集めた企画モノ。SONY・TDK・maxellの国内三大メーカーに
関しては、ほぼ全ての製品が写真付きで紹介されている。
・・・いやぁ、懐かしい。
今やすっかり死語となった「エアチェック」や「FM雑誌」、「インレタ」、
そして「ワインダー」や「ヘッドイレーザー」などと言う言葉を見つける度
に心が和む。昔自分のやっていたことがそのまま書いてある本って、なかな
か無いような気がする。
そして驚いたのが、カセットテープの単価は結構高かった、という事実。
TDKを例に取ると、一番安価なDの60分が400円、フラッグシップだった
MA-Rの60分に至っては2,000円もする。今なら秋葉原でCD-Rが200枚買
えちゃうんだから凄い。
もちろん、今さらカセットの時代に戻りたいか?と問われたら、戻りたい
とは言えない。74分のCDは5〜6分でMP3に出来るし、iPodは5,000曲に
近いトラックを持ち運べる。そして、間違い無くカセットより音が良い。
でも・・・。
大袈裟でなく、カセットテープというテクノロジーが存在していなければ、
僕はこんなに音楽を聴く生活をしていなかった筈。カセットという媒体が
無ければSANYOのラジカセを親にねだる事はなかったし、WALKMANを買
う為にアルバイトに精を出すことも無かった。ブートレグのライブ音源は
確実にカセットであり、そこからいろんな曲に出会えた。
カセットテープとはつまり、「オレたちのメディア」。
カセット以前の媒体(オープンリールとか)は敷居が高すぎるし、以降の
媒体は・・・MDというガッツのあるモノもあったが・・・ある種の軽薄感が漂う。
だから、カセットの誕生から衰退までの長い期間を、カセットと共に歩めた
人生を、僕は誇りに思う。
カセットテープに大いなる愛を。
46分に情熱を詰め込めた時代が、僕にはちゃんとあったのだから。