#相容れず
元ゴング格闘技編集長にしてKRS体制の初期PRIDEでパンフレット編集等
を行っていた近藤隆夫の作品。タイトルの「プロレスが死んだ日」とは、
1997年10月11日のこと。東京ドームで高田延彦がヒクソン・グレイシー
に完膚なきまで叩きのめされたあの日の試合を中心に、ヒクソンや高田
へのインタビューを交えたドキュメントタッチな一冊となっている。
最初に言っておくが、僕はこの近藤隆夫という男にハッキリとした嫌悪感
を持っている。僕の評価は「目の前で起きていることを正しく認識する能
力に欠けるダメ専門家」。アレクサンダー大塚がマルコ・ファスにほぼ何
もさせずに完勝した試合で、始終素っ頓狂な解説を展開。自分が必死に取
材した対象に多大に肩入れし、事前に予想した展開と異なる状況になって
も「いや、これは違う」と言い張る輩。解りやすく言うと、心霊現象を目
の当たりにし、事実としてソレが起こっているのを自分の目で見ているに
も関わらず、「こんなことはありえない」と言っちゃう科学者みたいなモ
ン。個人的にいちばんカッコ悪いタイプの人間だと思っている。
そんな人の著書を何故手に取ったのかと言うと・・・。
あれから20年以上が経過し、高田×ヒクソンを振り返る作品を幾つか読ん
だのだが、どれも高田の側からの検証ばかり。やはりヒクソン側の状況も
知っておくのがフェアである、と考えたから。それでも発刊から2年以上が
経過しているのだから、僕がこの著者をどれだけ嫌いか解ると思う。
おおよそ予想通りの内容だったのだが、悔しくも1点だけ著者に同調した。
それは、高田の「タップ」についての記述。あの時の高田はプロレス界の
みならず、全てのプロレスファンの思いを背負って試合をする、と思って
いた僕は、腕ひしぎが決まった瞬間当然のように即タップした高田に猛烈
に失望した。あれさえ無ければ「負け」という事実があっても、あんなに
落ち込むことは無かった、とハッキリ断言出来る。その部分を自らの柔道
体験になぞらえて解りやすく説明する文章だけは評価せねばならない。
ただ、ハッキリ否定しなければならないこともある。
プロレスは、絶対に死んでいない。PRIDEでの一連の桜庭や、ドン・フラ
イとの壮絶な殴り合いの上に散った高山の活躍などで、PRIDEの場に於い
ても間違い無くプロレスは息を吹き返した。
さらにその後、PRIDEやK-1はどんどん衰退していったが、プロレスは客の
入らない時期はあってもずっと存在し続け、今は新日本プロレスを中心に
大復活の時代に到達している。一方、格闘技はプレーヤーを中心に細々と
盛り上がっているだけ。今周囲に「格闘技」を「観ている」人がいったい
何人居るのか、数えてみればいいと思う。
・・・やっぱり辛辣になっちゃうなぁ、この人に関しては(^^;)。
まぁ、文章が上手いことだけは認めます。他はやっぱり一切認められない
けど(^^;)。