GONG KAKUTOUGI BEST SELECTION 1968-2017

#格闘技今昔


ゴング格闘技ベストセレクション 1986-2017 / ゴング格闘技編集部
(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来たMOOK
1986年旧「ゴング」から独立するカタチで創刊し、現在まで続く格闘技
雑誌、『ゴング格闘技』の記事から、インタビュー・ノンフィクションを集
めたモノ。

“柔道と柔術”“バーリトゥード・ジャパン”“日本総合格闘技”“MMA、
世界の頂”“空手とは何か”“立ち技格闘技の挑戦”から成る全6章。ゴン格
らしい硬派なチョイスで、木村政彦から那須川天心まで、絶妙なクロニクル
となっている。

僕が格闘技に絶大な興味を示したのは、K-1誕生からPRIDE全盛期その後
までの間。基本はプロレスからの延長であり、その期間が過ぎた後にはしっ
かりプロレスに回帰した。この本からはいわゆる“90年代”の情報が明らかに
欠落しており、そこから逆にゴン格という専門誌の拘りを感じる。そういう
意味では、非常に興味深い「まとめ本」になっている気がする。

ゴン格も創刊から30年を超える長寿雑誌なのだが、この本のタイトルから
『1986年の格闘技』について調べてみた。この頃にはまだK-1が生まれて
おらず、ヒットしたのは新日本プロレスで行われた前田日明とドン・中矢・
ニールセン異種格闘技戦くらい。まぁ、この試合を格闘技の括りに入れる
のは正直アレなのだが、ターニングポイントであったことは間違い無い。
前田vsニールセンが名勝負にならなければ、その後にK-1やPRIDEが出て来
たとは思えないので・・・。

個人的に楽しむことは出来たのだが、こうなると対極の「格闘技通信」から
クロニクル作品を出して欲しいところ。単にあの頃を懐かしむのならば、
格通のチョイスの方がバラエティに富みそうな気がするな、うん。

桜庭大世

#サラブレッド


以前は凄く楽しみだった大晦日の格闘技
しかし、今の格闘技・・・と言うよりも、RIZINが好きになれず、現在はスルー
している状態。しかし、今日は一つだけ気になるカードがあって・・・。

桜庭大世 vs 矢地祐介
大世は桜庭和志の息子であり、柔道がベース。グラップリングのQUINTET
に参加しいたが、コレが初のMMA。デビュー戦で矢地、というのはちょっ
と厳しいかな、と思っていたら・・・。

1R26秒桜庭大世TKO勝利!
何が凄いかと言えば、入場から終了までの全てで感じた大世の「余裕」
特にフィニッシュ前、ミドルキックの蹴り足を取られながら、全く慌てず
にストレートを繰り出した場面は、正直呆気に取られた

リアルに桜庭和志の血を引いた選手が、大晦日に鮮烈デビューを果たす。
その事実だけで、妙に満たされてしまった

桜庭大世は日本を代表する総合格闘家になれる可能性がある。
でも、残念ながら僕にはもう、格闘技観戦に向ける情熱は残っていない。
だから、桜庭和志の遺伝子が日本MMA界を席巻するニュースが見られたの
ならば、こんなに嬉しいことは無い。頑張って欲しい

シン・日本プロレス

#RINGS


▼シン・日本プロレス / 前田日明・片田直久(Kindle版)

どうやら電子書籍のみでリリースされている作品。
“新格闘王”こと前田日明に対するインタビューを書籍化したモノで、
前半は新日本プロレス-UWF時代、後半はRINGS-OUTSIDER時代
中心に構成されている。前半と後半で内容的に被る部分があるのは
若干腑に落ちないところ。

これまでいろんなところで目にしてきた『前田日明の言葉』をまと
めたような作品。故に内容はほぼ知っている話の焼き直しになって
しまうのだが、残念ながらに僕はコレに共感することが出来なかった

・・・個人的な意見だが、前田日明からはなんとしてでも自己を正当化
しよう、という意識を感じる。だから、いつも前田は被害者であり、
悲劇のヒーローを装うのだが、当時を知っているファンの側からする
と、それはとんでもない間違いだと思う。

僕らが心血を注いでいた新生UWFが潰れたのは、前田の人望の無さ
が大きな原因だったと思う。更に言えば、新生UWF時代の前田の試
は緊張感に欠けるモノばかりで、下からの突き上げに対してモノ
を言えるレベルの選手ではなかった。だから、新生UWFが解散した
後の僕はUインターの熱狂的なファンになったし、船木鈴木が在籍
した藤原組も心の底から応援出来た。でも前田のリングスは・・・とい
う感じ。それが今もずっと続いている。

だからこの本の内容に共感出来ないのは当然なのだが、それでも前田
ブレの無さだけは認める。過去から現在に至るまで、話の内容やニ
ュアンスは全く変わらず一貫している。そういう前田日明から離れら
れない人が居るのも、凄く理解できる。

だから前田ファンには確実に楽しめる作品なのは間違い無い。
僕の好きだった前田日明は、出戻った新日本を解雇された段階で終わ
っているから、その中に入れないのはしょうがないんだけど・・・。

伏魔殿のポリスマン

#JUDO


米国『グラップリング・マスター』と称される元プロレスラー・柔道家
“JUDO”ジン・ラベール氏が逝去。享年89の大往生。

UFCに出場したロンダ・ラウジーコーチとして有名になったが、古く
からのプロレスファンなら誰でもその名前を知っている【顔役】

かつてマイク・ラベールがプロモートしたLANWA HOLLYWOOD
ポリスマンであり、バックボーンである柔道の腕前は五輪レベル
旧オリンピックオーデトリアムでは、ジンに逆らう選手は皆無だったと
いうまことしやかなウワサが。

日本との繋がりも深く、旗揚げ直後の新日本プロレスと提携し、ハリウ
ッド・ブロンドス等の渋めのレスラーをブッキング。そして何よりも、
伝説の『猪木vsアリ』レフェリーを務めた事実は、その後彼の名前を
世界的なモノにした。

力道山時代から【伏魔殿】と称されたロスマット
しかし、新日本・WWEを含む現在のメジャーと呼ばれる団体はある意味
ロスマットの拡大解釈。良い意味での胡散臭さが溢れているので、今改
めて各種文献を読み返すと本当に興味深い。そういう団体で、言うこと
を聞かない選手・・・マスカラスも含まれていたとか・・・を実力で従わせる、
というのが恐ろしい。

その実績に感謝しつつ、謹んでご冥福をお祈りいたします。

ちなみに、ジンのフルネームを英語で書くと『Gene LeBell』となる。
この名字を「ラベール」と読むか、「ラーベル」と読むかが悩ましい
ところ(^^;)。個人的にはラベールの方がしっくり来るんだけど。

“館長” 青柳政司

#誠心会館


初期のFMW新日本プロレスプロレスリング・ノア等で活躍していた
空手家・プロレスラー青柳政司さんが永眠。死因は今のところ明らかに
されていない。享年65

現役プロレスラーとして活動中だった故人に敬意を表し、ここからは敬称
を略させていただきます。

・・・館長『日本人同士の異種格闘技戦』という概念を作った人。
もし館長が空手家として大仁田厚の前に立たなければ、後のFMWブーム
あり得なかったし、その後新日本に参戦してくれていなければ、越中詩郎
の再ブレイクも無かった、と断言出来る。

そして青柳政司は、誰よりもプロレスが好きだった・・・気がする。
自分より一回り身体の大きい選手に蹴り突きだけで果敢に挑み、気持ち
いいくらい鮮やかに玉砕する。プロレスの歴史を鑑みると、空手家は基本
「敵」でしか無かったが、青柳政司本人と、館長が率いる誠心会館が排出
した選手たちは、最初からしっかり“プロレスラー”だった。

館長の最大の功績は、プロレスのリングに「独特な緊張感」を持ち込んで
くれたこと。自信の技術を信じ、その上でプロレスとプロレスラーをリス
ペクトし、真っ向勝負で相手の技から逃げない空手家。こんな選手を、
好きにならないワケが無い

館長、ちょっとだけ早いです・・・。
まだまだリングで闘う館長の姿を観ていたかった。少しだけ休んで、また
強烈な蹴りを魅せてください。だからまた必ず、どこかで。