#人の人生をカンタンに変える男
僕が何十冊か所持している「猪木本」に、また新しい一冊が加わった。
宝島から出る猪木本だから、もちろん証言シリーズの形式を踏襲。
「不世出」と表現される史上最高のプロレスラー、アントニオ猪木に
ついて、その周辺に居たプロレスラーや関係者へのインタビューをま
とめたモノ。驚くべきは、猪木本人もインタビューに応えていること。
物心がついた頃から今に至るまでアントニオ猪木は僕の「神」である。
猪木が黒と言えば白いものでも黒だし、猪木が右に行けば当然自分も
その方向に進む。「猪木信者」というのは本当によくできた言葉で、
同じような感情を抱き続けて今に至っている同士がウジャウジャ居る。
アントニオ猪木はプロレスを「たかがプロレス」にしなかった人。
僕はテレビで猪木の大一番を見る度にどんどん魅了され、取り返しの
付かないところまで来てしまった。総合格闘技やボクシングにも印象
的な試合は幾つもあるが、それよりも真剣に見ていたのが一連の異種
格闘技戦や大木、シン、ハンセン、ラッシャー木村らとの闘いで、今
になっても一連の流れを思い出せる。たかがファンである僕がそうな
のだから、同業者であるプロレスラーたちの猪木へのリスペクトは相
当なもの。どのインタビューを読んでも、それを強く感じた。
そんな猪木だが、さすがに残された時間はそれ程多くない気がする。
もし猪木に何かあった場合、僕がどんな精神状態になるのか皆目見当
が付かない。ずっと大好きだったプロレスから離れるとしたら、その
時なのかなぁ、という気もするが、果たして・・・。
この本を読んでも、いわゆる「謎」は解明されない。しかし、僕と同
じくアントニオ猪木に人生を変えられた人たちは読まずには居られな
い筈。特に佐山聡、前田日明、藤原喜明のインタビューは必読。
かなりイケます、この本。