プロボクシング元統一世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ氏逝去。
昨日「呼吸器系の病気で入院」との報が流れ、そこから24時間経過しない
ままの凶報。享年74。
故人とその好敵手に敬意を表し、敬称略にて記載します。
ボクシングの世界王者と言われたら、誰を想像するのか?
その問いに、多くの人々は「モハメド・アリである」と答える筈である。
世界中で一般にもその名前が浸透したボクサーは、僕の知る限り2人しか
居ない。1人はマイク・タイソン、そしてその遙か上に居るもう1人がアリ。
アリは抜群のショーマンシップと練習に裏打ちされた正確無比なテクニック
で近代ボクシングの雛形を創り上げ、世界中のボクシングファンに愛された。
ベトナム戦争の徴兵を拒否し、タイトルを剥奪され、4年近いブランクを
課されながらも克服し、もう一度世界の頂点に立った。
「キンシャサの奇跡」として伝説になっているジョージ・フォアマン戦の
映像は今見ても全く色褪せない。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を
体現出来たのはオールタイムでアリしかいない。
まさしく、世界最高のプロボクサーであった。
そして1976年・日本武道館。
アントニオ猪木vsモハメド・アリの格闘技世界一決定戦は、日本、いや、
世界にMMAという概念をもたらした。当時は酷評された試合だが、年月が
経過すればするほど評価された最高にスリリングな攻防。あの試合が無か
ったら、僕は現在までプロレスや格闘技を見続けなかったかもしれない。
晩年、パーキンソン病を患ってからもアリは我々に尽くしてくれた。
アトランタ五輪の聖火点火の時は本当に感動したし、猪木の引退試合の時
に東京ドームでそれと同じことをやってくれた時は感無量だった。
年月が過ぎ、周囲にどれだけ評価されようが、アリはずっと僕らの側、
アントニオ猪木のライバルとして存在し続けてくれたことが本当に嬉しか
ったのだ。
記録にも記憶にも残る、偉大なる世界王者に心よりの感謝とリスペクトを
込めて。本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした。
また、必ずどこかで。