2011年の棚橋弘至と中邑真輔

▼2011年の棚橋弘至と中邑真輔 / 柳澤健(Kindle版)

柳澤健のプロレスノンフィクション「XXXX年の○○」シリーズ
復活しながらもあっという間に休刊の憂き目にあった雑誌・ゴングに掲載さ
れた同名の連載を大幅加筆(そもそも最終回が掲載されてない筈)、単行本
としてまとめられたモノ。

今や日本のプロレス団体で「一強」と呼ばれる新日本プロレス
しかし、ゼロ年代と呼ばれる2000〜2009年までの暗黒期は、我々の記憶に
新しい。物心ついた頃から人生の一部となっている新日本プロレスが、もう
どうにもならないところまで追い込まれた。僕ですら「消滅」が本当にあり
得ると思っていた。でも・・・。

・・・新日本には、棚橋弘至と中邑真輔が居た
二人とも新日本の歴史をほぼ否定し、新しい時代にマッチする団体にシフト
チェンジしようと懸命にもがいた。その姿勢はいわゆる“すれっからし”と呼
ばれる我々のような世代を盛大にカチンとさせたのだが、彼らは関係無い、
とばかりにブレずに突っ走った。その様をずっと見させられた僕らは・・・。
知らない間に彼らに魅了された。気が付けば、新日本の未来を彼らに託して
いた。なんとか出来るのは、お前ら2人だけだ、と。

その後。
新日本は見事にV字回復を果たし、オカダ・内藤・飯伏という次の世代を担
う選手も登場した。全ては棚橋・中邑のお膳立て。これだけ愛社精神に溢れ、
自分たちが出来ることの全てをやり尽くしたプロレスラーを、僕は彼ら2人
の他には知らない。

キーワードは「ストロングスタイル」
新日本の象徴と言うべきこの言葉に、違う方向から敢然と立ち向かった2人
偉大なプロレスラーの軌跡を、いろいろな人たちに知って欲しい。プロレ
スファンだけでなく、中小企業の社員、経営者なども。最高の人材適所
与え、モチベーションを刺激すれば、最悪の状況からも復活出来るのだから。

驚くべきことに「XXXX年の○○」シリーズでいちばん印象深い作品となった。
柳澤健という希有な作家に感謝すると共に、100年に一人の逸材キング・
オブ・ストロングスタイルに敬意を表したい。最高でした!

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