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#左遷のオンナ


FIND 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 / 内藤了(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤堂比奈子堀北恵平の双方に続く内藤了「女性警察官シリーズ」
今シリーズの主役、名を鳴瀬清花という。
清花は物語の冒頭に木下というで登場。オンナだてらに名門・神奈川県警
捜査一課班長を務める敏腕の女性刑事で、階級は警部補

DV禍を殺害した容疑者を追い詰め、まもなく起訴、というところで、
容疑者が獄中で自殺。原因は清花の取り調べ手法であったことは明白であり、
清花は敢えなく自宅謹慎処分。同じ頃、家庭内でも問題が勃発。仕事の仕方
を夫に責められ、離婚届を突きつけられてしまう。失意の清花は、半ば左遷
のように警察庁特捜地域潜入班という新設部署に異動。ここに土井という
風変わりな上司が現れて・・・というのが導入部。

特捜地域潜入班が担当するのが一風変わった『コールドケース』であるのが
ポイント。未解決事件を処理するのではなく、警視庁が「捜査し辛い」案件
を掘り下げ、これから起こるであろう犯罪を未然に防ぐ、という設定は斬新
で、この先に幾つもバリエーションが考えられる。さらにここのメンバーが
全員ワケアリ・クセツヨで、ココはハッキリと興味をそそられる。猟奇犯罪
を扱っているワケでも無いのに展開は重いが、それだけにクセになりそうな
予感がする。

ところで、シリーズ一作目なのにも関わらず、不幸が山のように降って来る
清花があまりに気の毒(^^;)。そしてこの人、若干「痛い」性格をしている
所為で、共感度もやや薄い気が。
比奈子も恵平もそれなりに人気のあるキャラだったが、清花はどうなんだろ
うか?と心配になる。この後に幸福が訪れればいいんだけど・・・。

とにかく、歓迎新シリーズ
既に次の作品も入手しているので、そちらのレビューも近いうちに!

アイズ

#贖罪の物語


アイズ 猟奇死体観察官・児玉永久 / 内藤了(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの内藤了作品は、藤堂比奈子シリーズスピンオフ
かつて連続殺人を犯した“クローン”児玉永久が、センター法医昆虫学者
となり、猟奇犯罪捜査班と共に事件を解決する、という内容。

藤堂比奈子シリーズが終了して数年が経過するため、時系列にややあやふや
な部分がある。いちばん疑問だったのは、主人公が所属するセンター・・・知
的犯罪者隔離施設・・・が、知らぬ間に随分ユルくなったなぁ、ということ。
そもそもの事件は主人公の永久外出することから始まるのだが、それが
可能な設定はいつから採用されたんだろう?と。幾つかのスピンオフを読
んでいないので、詳細は謎。解る人が居れば教えてほしい。

今回は主人公・児玉永久の“心”の成長物語
もちろんかなりおぞましいレベルの猟奇犯罪は今回もちゃんと起こるのだ
が、それは絶対的に「不安定」な主人公が、人間的な感情を徐々に獲得し
て行く、という「プロセス」のための要素でしか無い。今回は幸か不幸か
ソレが良い方に転び、わりと読み応えの深い人間ドラマに仕上がっている、
と思う。

そして、新人を卒業した堀北ケッペーちゃん、猟奇犯罪捜査班の一員とし
再登場。今後の活躍に期待してます!

あなたが誰かを殺した

#ミステリーど真ん中


あなたが誰かを殺した / 東野圭吾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東野圭吾の最新作は、約4年ぶり加賀恭一郎シリーズ
ちょっと読むのが遅くなった理由は後述。

舞台は軽井沢を思わせる別荘地。金持ちの集まる土地の一角で、今年も開
かれたバーベキューパーティー。それぞれ一癖ある人物がいつものように
参加したが、パーティー終了後にその参加者が複数殺される、という事件
が。犯人“死刑”を望んだ男で、自首した上で無差別殺人を主張。これに
納得の行かない被害者遺族たちは、「検証会」の名目でもう一度彼の地に
集合。そこで夫を殺された看護師は、オブザーバーとして加賀に出席を依
頼する・・・という内容。

久しぶりにミステリーらしいミステリーを読んだ、という手応えが。
“事件”は既に終わっており、犯人も名乗り出ている、という状況の“矛盾”
が明らかになっていく、という展開で、物語はほぼ会議室の中だけで進む、
というのが斬新な上にユニーク。知らぬ間に貼られていた伏線が続々と回
収されていく様は本当に心地よい。さすが、としか言いようが無い。

やっぱり東野圭吾の真骨頂ミステリーだな、と改めて感じた次第。
ミステリー好きは確実に押さえておくべき作品だし、読み応えはバッチリ。
コレはいつもの面子での映像化も期待だな、うん。

ところで。
この作品は昨年の9月にリリースされたモノで、実は発売日に書店で購入
している。にも関わらず、読了が今になったのは、冒頭部分を読んだとこ
ろでが厳しくなり、後回しになってしまったから。東野圭吾作品は速読
するのが常だった僕からすると、かなりレアなケースである。

・・・先生、お願いです!
主義に反するとは思いますが、老ファンの為に電子書籍での新作リリース
を検討していただけないでしょうか?結構切実です、コレ。

常識として知っておきたい裏社会

#ウラの教科書


▼常識として知っておきたい裏社会 /  懲役太郎・草下シンヤ (Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらもKindle Unlimitedのリコメンド。
おそらく共著の一人、草下シンヤ氏の小説を読んだのが原因かと。

懲役太郎氏も草下シンヤ氏も、いわゆるアウトロー系YouTuber
僕もそこそこYouTubeを観るほうだが、残念ながらこの系統には全く興味
が無く、前述の通り既に著書を読んでいる草下シンヤ氏の正体(?)を、
恥ずかしながらこの本で初めて知った次第。

二人の専門家「ヤクザ・半グレと外国人マフィア・闇バイト・薬物・警
察と刑務所・ヤクザの子ども」6つのテーマ対談。テクノロジーの進
化で多様化している『現代の裏社会』の状況が、非常に解りやすく解説さ
れている。

この本に書いてある全ての項目が縁遠い僕だが、確かに常識として知って
おくべき内容なのかも。特に薬物闇バイトに関する記述は、これまで正
しいと思っていた知識とかなり異なっていてビックリ。もしかしたら、の
状況もあり得るので、現状の情報を知ることが出来て良かったかも。

そういう意味で「ウラの教科書」として持っていて損の無い本。
興味深い内容な上に、対談を書き起こした文章の構成が絶妙で、読んでい
て飽きない。オススメです、コレ。

逃亡刑事

#あれ?


▼逃亡刑事 / 中山七里(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来た中山七里作品。
刺激的なタイトルから察するに、男臭いハードボイルドなエピソード、と
決めつけて読み始めたのだが、なんと主人公は女性刑事。まぁ、だからと
言って男臭いハードボイルドという予想はある意味当たっていたのだが。

千葉県警所属の刑事が殺害される、という事件が発生。女性ながらに捜査
一課で検挙率トップを誇る“アマゾネス”こと、警部・高頭冴子は捜査を開
始。偶然殺人現場を見てしまった少年・御堂猛から話を聞くうちに、とん
でもない事実が判明して・・・という内容。

諸々の要素を意外なカタチで絡め、そこから謎を深める、という手法は
確かに中山七里作品なのだが、この物語に関してはかなり「?」マーク
問題はクライマックス付近で起こる一発逆転の部分で、ここで起きる騒動
とその決着の付け方があまりにファンタジー(^^;)。そして、氏の得意技
であるハズの“どんでん返し”がすっかり影を潜め、物語の前半で怪しい
と思った人物がアッサリと真犯人(^^;)。う〜ん・・・。

残念ながら、これまで読んだ中山七里作品でいちばん手応えが無かった
もしれない。こういうこともあるんだなぁ、たまには・・・。