#誉田流ファンタジー
誉田哲也の新作は、なんとファンタジー。
とは言っても、もちろん凡百のファンタジーではなく、誉田テイストが
キッチリ詰まった、妖しいダークファンタジーである。
物語の導入部分は警察署。この段階で氏お得意の警察小説と思ったのだ
が、少し読み進めただけで「そうではない」と判断出来る構成。さらに
中盤までに巧妙なミスリードが仕掛けられており、アタマで描いていた
相関図の内容がコロコロと入れ替わる。おかげで読むのが楽しい状況に。
内容に触れると、どうあってもネタバレになりそうなので詳細は避ける
が、少なくとも三段階以上のオチがある作品。ダークなのにエピローグ
の内容はややほっこり。誉田哲也作品でこういう読後感は初めてかもし
れない。
惜しむらくは、今回はお得意の「作品間リンク」がほぼ無いところ。
いや、もしかしたら高井戸署の女性刑事はあの人の嫁かもしれないし、
城東署の署長は出世したあの人、という可能性もある。その辺りの謎が
ある程度解き明かされていたら、もっと楽しめた気がする。
・・・コレは続編アリだなぁ、と。
最後に成立した最強ペアのその後の活躍を、ぜひ読んでみたい気がする。
とにかく、見事な構成の快作。誉田哲也、さすがです!