ヒポクラテスの試練

#パンデミック


▼ヒポクラテスの試練 / 中山七里(Kindle版)

約4年ぶりのリリースとなる、中山七里・ヒポクラテスシリーズ新刊
メインキャストの一人である刑事・古手川和也の登場する作品は多々読んで
来たのだが、このシリーズの主役にして中山作品でいちばん魅力的だと思わ
れる女性法医学者・栂野真琴の登場は久しぶり。

相変わらず気合いの入った医療ミステリーであり、多々ある「法医学」とい
うジャンルを扱った作品としては、おそらく国内最高峰。解剖シーンのリア
ルさと、遮二無二頑張る古手川&栂野の名コンビの姿がすばらしいコントラ
ストを描く、という構成は、この新作でも全く変わらなかったのが嬉しい。

前作までは連作短編だったのだが、今作は遂に長編。そして凄いのが、扱わ
れている内容が「パンデミック」であるということ。正に今、現実に起こっ
ているコロナというパンデミックの最中に、こういう内容の作品を世に出せ
る作家は「強運」と呼ぶ他無い。

・・・これは今すぐドラマにすべき。
パンデミックの何が恐ろしいのか、今一度再確認できる筈。きっとリアルな
パンデミック対策にもなる筈なので・・・。

pre. JW3 / DOMINION

#その後のカリフォルニア


2021年6月公開予定の「ジュラシック・ワールド / ドミニオン」
どうやらコロナの影響で公開はかなり延期されそうだけど、公式サイトに
アクセスしたところ、興味深いムービーを発見。

Battle at Big Rock
炎の王国のラストで世に放たれた恐竜たちと、そこでの共存を余儀なくされ
た人間たちがどうなったのか?を端的に表現したショートフィルム。随分前
に公開されていたらしいのだが、今頃になって気付いた次第。

10分間とはいえ、全く手抜きの無い内容。
こうなるともう本編に期待しか無いのだけど、コレがいつ観られるのかは今
のところ誰にも解らない。それどころか、映画館が普通に営業している保証
も無いのだから。

それでも撮影はハリウッドで鋭意続行中の模様。
・・・どうしても観たいんだ、この新作は。

THE WRESTLERS

#リアル「世界のプロレス」


以前書いた「ダークサイド・オブ・ザ・リング」の新シーズンが配信されて
ないかなぁ、とHuluを確認したところ、別のプロレス系ドキュメンタリー
発見。全10話を一気に観た。

タイトルは「THE WRESTLERS」、2018年初放映。
ハードコアパンクバンドのボーカルで熱狂的なプロレスファンであるダミア
ン・アブラハムが、アメリカ・カナダ・メキシコ・日本を渡り歩き、レスラ
ーや団体関係者にインタビューする、という内容。

日本やメキシコのエピソードは知っているレスラーが多々出てきて入り込み
やすいのだが、中には中南米・ボリビアチョリータ・プロレスというかな
り特殊な女子プロレスや、アフリカ・コンゴ黒魔術プロレスというもはや
プロレスかどうかも定かで無い(^^;)競技まで押さえられているのがミソ。

エピソードによってはLGBTDVなどを取り上げた「重い」モノもあるのだ
が、制作サイドの真摯さがガッチリ伝わってくるので流し見が出来ない
しっかりした芯を持つ、良質なドキュメンタリーだと思います、コレは。

日本のプロレスファンには、カナダ武者修行中清宮海斗の様子が確認出来
エピソード8がオススメ。続編出ないかなぁ、コレ・・・。

少年と犬

#君に逢いに行く


▼少年と犬 / 馳星周(Kindle版)

第163回直木賞を受賞したのは、 馳星周の作品。
これまで何度も同賞の候補に挙がっていた作家だが、遂に至宝に手が届いた
実はこの作家の作品を読むのは、コレが初めてなのだが・・・。

舞台は日本各地。期間は東日本大震災から熊本大地震勃発までの5年間
震災で飼い主を失ったが、ある場所を目指して旅をするのだが、その道程
関わった人たちをそれぞれ主役に据えた連作短編集

文句の付けようのないしっかりした人間ドラマであり、登場する各々の事情
に深く共感せざるを得ない程の圧倒的な心情描写力。それをただ見ている筈
「犬」が、やたら神々しく感じるのだから凄い。

ラストであの頃に起こったいろいろなことを思い出した。
心が苦しくなり、読み進めるのが辛くなり、気が付いたら号泣していた。
小説を読んで泣いたのは本当に久しぶり。もし今回、コレでは無い別の作品
が直木賞を取ったとしたら、僕は選定者の神経を疑うと思う。

こんな凄い作家にこれまで触れて来なかった自分が、ちょっと情けない。
しばらく馳星周強化月間に入るぞ、きっと。

CyberFight

#異文化統合


DDTプロレスリングDDTフーズ、そしてノア・グローバルエンタテイン
メントの3社が合同で記者会見

3社経営統合し、プロレス事業会社「株式会社CyberFight」を設立する。
同じCyberAgent傘下とはいえ、出自文化の全く違う両団体が、同じ会社
になってしまう、ということ。

・・・さすがに賛否両論あるだろうなぁ、コレは。
DDTもNOAHも、これまで同様に独自ブランドで興行を続けるらしいのだが、
雰囲気的には大ピンチのNOAHがDDTに救われ、吸収されたような印象が否
めない。

個人的にはDDTに悪い印象は全く無いし、なんなら竹下遠藤GHC戦線
絡んだらおもしろい、とすら思うのだが、古くからのファンは果たして・・・。

しかし、時代はしっかり流れるてるなぁ、こんな時でも。