慈雨

▼慈雨 / 柚月裕子(Kindle版)

柚月裕子、次の一冊は退職した刑事を巡るドラマ。
現役時代に担当した幼女殺人事件である「悔い」を残した元刑事は、定年退職
後ほどなくで妻を伴い四国八十八ヶ所巡礼の旅に出る。踏破すれば何かが変わ
るかも、という淡い期待は巡礼が進むに連れ稀薄になって行くが、そんな中で
かつての部下から捜査協力依頼の電話が。皮肉にも、その事件もかつてと同様
の幼女殺人事件で・・・という物語。

いやぁ、重いです、実に。
ただ、全てが“意味のある重さ”であり、無駄が一つも無いところがこの作家の
凄さ。もちろん最後には事件は解決するのだが、事件だけでなく様々な人物の
心の葛藤、そして過去の事件までも悉く解決して行く。このカタルシス、ちょ
っと凄い才能。柚月裕子、しばらくハマり続ける気がする。

そして余談。
僕は、物語に登場する88の寺全てがピンとくる。岩屋寺焼山寺など、いわ
ゆるスター級とされる寺でのエピソードが細かいのが非常に嬉しい。もしかし
たら女史もどうバカの一員かも? と一瞬思ったが、だとするなら岩屋寺での
食事はクリームパンにするハズ(^^;)だなぁ、と。そうだったら嬉しいのに・・・。

DESIGNATED SURVIVOR

NETFLIX独占配信のUSドラマ「サバイバー: 宿命の大統領」にちょっとハマ
っている。主演はキーファー・サザーランドで、演じるのはアメリカ合衆国
大統領。それも、議事堂爆破というテロが勃発し、指定生存者として仕方な
く大統領となった下っ端の閣僚、という役柄。

雰囲気的にはあの名作「24」にそっくり。
特にシーズン1は事件直後にジリジリと明らかになっていく真相が凄まじく、
全く目の離せない展開。キーファー、今回は最前線で身体を張る役では無い
が、その熱苦しい男らしさは健在。アメリカらしい愛国心に溢れた、すばら
しいプログラムである、と言っておく。

いわゆる「独占配信」とされるドラマの質に於いては、Amazonプライム
NETFLIXが双璧。洋ドラだけに絞るのなら、NETFLIXがぶっちぎりでトップ
を走っているかも。huluはもっと頑張った方がいいな、コレは(^^;)。

THE SOUND CHECK , One Two…

本日の業務中、音響のサウンドチェック時に流された曲。
ドナルド・フェイゲンの1982年のアルバム「THE NIGHTFLY」に収録され、
大ヒットしたAORナンバー「I.G.Y. (What a Beautiful World) 」

まだ若くて体力のあった頃、趣味と実益を兼ねて精を出していたアルバイト
コンサート設営。舞台の部材やPAスピーカー、照明や楽器を運ぶ仕事はま
ぁキツかった(^^;)けど、調整中に巨大なスピーカーから大音量で流れる音楽
を聴けるのは、あの仕事の特権だった。

僕らの頃の音響オペレーターさんの殆どが、サウンドチェック時に好んで使
用したのが、まさにこの曲。そもそも大好きな曲だったから、コレが流れる
と手を動かしながらも高揚した気分になったのを思い出した。

今では「録音の良いアルバム」なんていくらでもあるだろうけど、あの時代
職人肌ミキサーさんたちがスタビライザー付きのレコードプレーヤー
持ち込んでまでチェックに使ったアルバム。今でも時折この曲をサウンドチ
ェック時に耳にするが、そういう時は「今日の音響、ヤルな!」とか思う。

SHM-CDでもハイレゾ音源でも構わないから、出来るだけ高音質の状態
全ての人に持っていて欲しいアルバム。音質だけでなく、収録されている全
ての楽曲が名曲だから、どちらにしても持っていて損は無い、と断言する。

「名盤」のカテゴリーに間違い無く入る傑作。死ぬまでに必ず聴くべし!

▼The Nightfly / Donald Fagen

麺屋永吉 花鳥風月・特製カリーつけめん

一昨日珍しく昼どきに外出。引き籠もり気味の僕としては珍しい機会なの
で、たまには外で昼飯でも、ということで、久しぶりに葛西駅前名店へ。

葛西 麺屋永吉 花鳥風月・特製カリーつけめん
永吉の名をメジャーにした伝説のつけめん。オーダーしてから配膳される
まで時間がかかるのは、一品々々を丁寧に作ってくれるから。夜に行くと
満席や品切れが多々発生するのだが、昼はそれ程でも無い。まぁ、14時近
くだったからかもしれないけど。

もちろん、ただただ美味い
香りもしっかりしたカレーなのだが、ひとたび麺と絡ませるとちゃん
ラーメンの味も出てくる、という不思議な料理。ちなみにお楽しみのス
ープ割りもカリーつけめん専用のモノがポットで提供されるのが嬉しい。
そして僕はやらないが、最後にご飯を入れる、というのも絶品だとか。

いろんなつけめんを食べて来たが、ここほど独特美味いつけめんは無い
気がする。ラーメン好きの皆様、葛西にお越しの際は是非!

参考:麺屋永吉・花鳥風月(RDB)

パレートの誤算

▼パレートの誤算 / 柚月裕子(Kindle版)

柚月裕子強化月間、継続中。
取り敢えず電子版になっているのを片っ端から読もう、ということで、チョイ
スしたのがこの作品。

物語のテーマはなんと「生活保護」
ちょっと前に中山七里の作品で同じテーマのモノを読んだため、個人的に興味
が続いているモチーフ。中山作品が生活保護というシステムの実態に対する問
題提起なのに対し、こちらは生活保護不正受給という犯罪行為にフォーカスし
た、より緊迫感に溢れる内容となっている。

ミステリーとしてもかなり優秀悪人候補・善人候補がクルクル入れ替わる展
開はハラハラするし、落としどころもなかなかのモノ。どんでん返し達成、と
までは言わないが、個人的な満足度はかなり高かった。

それよりも重要なことは、不正の実態が明らかになっていること。
生活保護の不正受給がヤクザのシノギになっている、というのはなんとなく知
っていたが、その手口についてはさすがに詳しく知らなかった。やり口は巧妙
にして卑劣で、人としてどうかと思うレベルの最低な犯罪。それを改めて認識
させてくれただけで、もう脱帽。社会派なんだよな、この作家は。

骨太なミステリーが好きな人には強力にオススメ。
とにかくしばらくは柚月裕子漬けになりそう!