▼『週プロ』黄金期 熱狂とその正体 / 俺たちのプロレス編集部
サブタイトル・・・というか、そもそも最初にアナウンスされたタイトルは
「活字プロレスとは何だったのか?」。
「活字プロレス」とは、80〜90年代に週刊プロレスで編集長を務めてい
たターザン山本が発した言葉。それまでのプロレス雑誌の試合リポートが
試合の展開を追う文字通りの「リポート」であったのに対し、週プロに於
けるソレは記者の主観が中心。悪い言葉で言えば単なる「感想文」なのだ
が、その内容は思い入れと熱に溢れ、読者の想像をとことんまで膨らませ
てしまう。今になって考えてみれば、麻薬のような雑誌だった。
その週刊プロレスの全盛期に活躍した編集者やライター、関係者の証言集。
・・・まず、この段階で凄いと思う(^^;)。
もちろんプロレスラーも数名出てくるが、主役は間違いなく一介の雑誌編
集者。それを読んでいる我々は、殆どの人物の名前(と下手すれば顔も)
に覚えがある。自分も含めてのことながら、プロレスファンとはかくも恐
ろしき存在、と改めて思った。
それにしても、あの頃の週プロはまさしく「狂気の沙汰」だった。
解っていながらも毎週のように週プロを欲し、週プロに書いてあることを
確認したくて会場に何度も足を運んだ。僕も間違い無く週プロの「毒」に
侵され、ヤバい、という自覚を持ちながらソレを存分に楽しんでいた。
もしかしたらUWFもFMWも、ユニバーサルもみちのくプロレスも、週プロ
の煽りが無ければ熱狂しなかったのかもしれない。
今も週刊プロレスは存在するし、相変わらず毎週読んでいる。
でも、あそこまで熱くなる事はもうきっと無い。だって、この本に出てく
る人たちの熱は本当に「異常」であり、さすがに今の週プロにそんな人材
は居ない。よく考えてみれば、それが至極当たり前(^^;)なのだけど。
週プロは僕にとって今も「憧れ」だけど、人生がやり直せたとしてもあの
中には絶対に入れない。この本に載っている人たちはみんな言えると思う。
「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我に有り」って。