脳科学捜査官 真田夏希

#プロファイリング


▼脳科学捜査官 真田夏希 /鳴神響一(Kindle版)

Unlimitedのタイトルチョイスの中の一冊だが、実はちょっと前から気に
なっていたシリーズ。著者は鳴神響一、コレがシリーズ第一作にあたる。

妙齢美人警察官・真田夏希は、博士号を持つ心理学のエキスパート。
臨床心理士時代に挫折し、神奈川県警の科学捜査研究所へ転職。あまり
に高学歴なことで彼氏が出来ず、婚活にいそしむ毎日を送っていたのだ
が、友人に紹介された男とデート中、近隣で爆破事件が。その捜査に巻
き込まれることになって・・・という内容。

いわゆるプロファイラーの物語。作中にかなり難解な専門用語が出てく
るため、とっつきにくい印象があるのだが、文体が軽快な上にユーモラ
スなので、けして読みにくいタイプの本では無い。

とはいえ、ちょっとした中途半端さが残ってしまっているのも事実。
登場する各キャラはそれなりに魅力的だからこそ、誰かにもう少し突出
した能力を与えれば、物語に深み緊迫感が出てくる気がする。シリー
ズはまだまだ続いているので、今後そういう展開になることを期待する。

警察犬と心が通じていく場面の描写は良かったなぁ・・・。
僕はこういうのに弱いんだ、結構(^^;)。

瑕死物件

#ワケアリの部屋


▼瑕死物件 209号室のアオイ / 櫛木理宇(Kindle版)

最近続くUnlimitedタイトルチョイスした中の一冊。
タイトルはもちろん、表紙デザインからもそこはかとなく漂うホラー臭
この季節にピッタリ、ということで。

とある高級マンションが舞台。ある時期、ここで陰惨にして不可思議
事件が連続して起こる。巻き込まれたのは、全員がちょっとワケアリの
女性。その影には、必ず不思議な「少年」が居て・・・という内容。

最初に評価から書いておくと、「完成されたホラー」
いや、お世辞抜きで状況設定から構成アイデアの全てが本当にすばら
しい。連作短編形式で、それぞれの章で状況の異なる主人公が設定され
ているのだが、各々の“ヤバさ”の描写が秀逸で、恐ろしい程のリアリテ
が醸し出されている。

櫛木理宇という作家はもちろん初めてだったので、後で調べてみたとこ
ろ、ホラー専門のある種「硬派」な作家さんらしい。ある程度長いシリ
ーズモノもあるし、他の作品も読んでみるべき、と感じた。おそらく、
ホラー職人の矜恃が味わえるハズ。良い出会いだったな、コレ。

蝶狩り

#Blank Generation


▼蝶狩り / 五條瑛(Kindle版)

Unlimitedタイトルチョイスした中の一冊。
五條瑛という珍しい作家名に覚えがあったのだが、ちょっと前に読んだ
「赤い羊は肉を喰う」の作者。ならばかなり期待出来る、ということで。

主人公は個人経営の雇われ調査員、つまり探偵。仕事は浮気調査や人捜し
といったつまらないものが殆どな上、新宿の安キャバクラで知り合った娘
くらいの年齢のオンナに入れあげる。こう書くとやたら“冴えない”感じが
するのだが、どっこいかなりのハードボイルド人間関係の希薄さを見事
に逆手に取った、上質な人間ドラマが繰り広げられている。

・・・のだが!
いくらなんでも、というラスト(^^;)。ネタバレを恐れずに言ってしまう
と、物語がクライマックスを迎えたところで突然の終焉。まるで打ち切り
にあったかのような、ブツっとした終わり方は正直納得が行かない。

払拭するには、一刻も早く続編を。そうでないといろいろ気になってしょ
うがないので。

運転者

#ポイントカード


▼運転者 未来を変える過去からの使者 / 喜多川泰(Kindle版)

読むべき本が尽きてしまったので、Unlimitedタイトルチョイス。故に、
喜多川泰という作家は当然初めてとなる。

イメージ的に交通系、例えば事故を起こしたトラックドライバーとか、
んでもない失敗をやらかしたタクシー運転手の話かと思いきや、限りなく
自己啓発に近い内容。まぁ、タクシードライバーは出てくるのだが(^^;)。

タイトルの意味は、「運を転換する者」
なんでオレばっかりこんな目にあうんだ、と現状を嘆く妻子持ちの中年
焦り、絶望する男の前に突然現れたタクシーとその運転手が、男の心を
前向きに変えていく・・・という内容。

通常、こういう「上から系」の本は絶対に読まないし、仮に読んだとして
捻くれた感情しか沸かないのだが、この本はちょっと“読ませて”くれた。
文章が明快イヤミが無いのがその要因だと思う。

そして「運は良い・悪いでなく、溜めるモノ」という考え方は、悔しいこ
とに腑に落ちるし、「溜めたポイントは他の誰かに与えることが出来る」
という概念は実践すべき。電車の中で読了したのだが、帰り道で既に影響
を受けている自分に気づき、思わず苦笑してしまった。

悪く無い・・・どころか、なかなか興味深い内容の本。
Unlimitedにしとくのは、ちょっと勿体ない気がするなぁ、うん。

リングの記憶 第三世代

#Blank Generation


▼リングの記憶 第三世代 / 天山広吉・小島聡・永田裕志・中西学(Kindle版)

新日本プロレス「第三世代」と呼ばれる4人共著。各人へのインタビ
ューで構成されており、おそらく中西学引退を機に発売された作品。彼
らとは完璧に同年代なのだけど、残念ながら思い入れは皆無(^^;)。
Unlimitedでなければ読むことも無かった気がするのだが・・・。

そういう状態で読み始めたので、内容に全く期待などしていなかったのだ
が、驚いたことにコレがなかなか面白い。特にこれまであまり語られるこ
との無かった天山&小島、略してテンコジの章が秀逸で、それぞれの性格
が如実に表れる内容。一度新日本を離れた小島の微妙な嫌われぶり(^^;)
すら微笑ましい。

これに対し、あまりインパクトが無かったのが永田のインタビュー(^^;)。
どこかで読んだような焼き直し感満載のコメントに終始するのだが、それ
もある意味で永田らしいのかもしれない。

中西のインタビューは・・・。
基本的に笑えるのだが、頸椎損傷からカムバック、引退までの流れの部分
は読んでいて切なくなった。特にキャリア終盤、思うように動かぬ身体で
納得のいかない闘いを繰り広げざるを得なかった中西の心境を思うと、思
わず涙が。もっと評価されても良いレスラーだったかも・・・。

コレ、もしかしたら紙の本で買い直す可能性あり。
今後、各人が引退した場合、それぞれに著書を出しそうな気はするが、こ
の4人での共著はおそらく最後。保存版にするべき内容、と評価します。

とはいえ、残りの3人には出来るだけ長く現役を続けて欲しいなぁ・・・。