【実録】ジャパン女子プロレス

#終着の浜辺


【実録】ジャパン女子プロレス / 山本雅俊(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

著者はジャパン女子プロレスにてリングアナウンサーを務め、後継団体
となったJWPでは代表に就任し、全日本女子プロレスのロッシー小川と
共に“対抗戦時代”を牽引した「ヤマモ」こと、山本雅俊
1986年8月団体発足から1992年1月団体崩壊まで、およそ5年半
渡って存在した『ジャパン女子プロレス』についての文献である。

昨年1月にリリースされた作品で、その時点でちょっと気にはなってい
たモノの、特に購入してまで・・・という感じで忘れていた作品。
1年以上が過ぎてから手に取った理由はUnlimited扱いになっていたから。
プロレス関係の書籍はこういうパターンが多いんだよなぁ・・・。

幼少期から一貫してプロレスファンであった僕だが、実は“女子プロ”
関しては大きな思い入れが無い。これまでの人生でプロレス会場に足を
運んだ回数は余裕で1,000を超えている気がするが、女子プロレスを観
に行ったのは30回あるか無いかくらい。そもそも女子プロをちゃんと
『プロレス』として観るようになったのは、対抗戦ブームが始まる少し
前、ルチャ団体のユニバーサルプロレスアジャ・コングの試合を目撃
したのがキッカケ。ビューティクラッシュを擁した全女ですら「これ
と新日本・全日本を一緒にしてくれるな!」と思っていた僕だから、更
マニアックマイナージャパン女子完全スルー状態だった(^^;)。

そんなジャパン女子プロレスを、最初から最後まで至近距離で観ていた
のが山本リングアナ。ヤマモ以外にジャパン女子を総括出来る人間は居
ない上に、ヤマモ以上にジャパン女子を伝える言葉を紡げる人間が存在
するとも思えない。そういう意味では、 山本雅俊が成すべき仕事をした
と評価すべきだと思う。

そして、存命時には全く気にならなかったジャパン女子だが、今になっ
て記録を読むとそこそこ興味深い。潰れるべくして潰れた団体であるこ
とは間違い無いと思うが、もしジャパン女子が無かったら神取忍風間
ルミがこの世に出てくることは無かったハズ。そういう意味で、そこそ
エキサイティングノンフィクション。ちょっとでもプロレスに興味
がある人なら、わりと楽しめる気がする。

しかし、文章でも敬語を崩さないヤマモが、神取だけ呼び捨てなのは
無駄な憶測を呼びそう(^^;)。いろいろあったんだろうなぁ、きっと。

国道食堂 1st season

#優しき人の集う場所


国道食堂 1st season / 小路幸也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キッカケは、某サイトの「オススメマンガ」の記事を読んだこと。
元プロレスラーが経営する“リングのある大衆食堂”が物語の舞台で、そこに
惹き付けられるように集う心優しき人たちの人生を描いた、ほっこり系のマ
ンガ。さっそく購入しよう、と思い、著者を確認したところ、原作者欄
「小路幸也」の文字が。いやいや、だとするなら先に小説を読むべき、と
判断した。

というワケで、かなり久しぶりの小路幸也
まさか小路幸也作品に“元プロレスラー”が登場してくるとは思わなかったの
だが、これはあくまで一要素。彼の経営する小田原街道沿い大衆食堂
ルート517、通称“国道食堂”に集う、良い意味“一癖ある”人たちの、ちょ
っと切ないエピソードが集まり、一冊の本として仕上がっている。
つまり、小路幸也の大得意分野であるハートフルヒューマン系。コレがおも
しろく無いワケが無かった。

僕が「東京バンドワゴン」シリーズを始めとする小路作品を狂ったように読
んでいたのは、もう15年以上前。あの頃はまだ我慢(^^;)が出来たのだけど、
このトシになるともう涙腺が緩むゆるむ(^^;)。残念ながら僕は、この作品に
出てくる人たちのような「正しい生き方」をしてこなかった。それが故に、
「共感」は沸いてこないハズなのだけど、一篇を読み終える度に涙が溢れて
しまう。おそらく、全てのエピソードが眩しく、そして羨ましく感じた結果
なのだと思う。

・・・腕は全く衰えていないな、小路幸也。
既に2ndシーズンも入手済みで読み始めているのだが、コレを読了したら
キッカケになったコミカライズ版も読んでおこうかと。
圧倒的な五つ星のヒューマンドラマ、こんな時代だからこそ皆に!

ブティック

#Mergers & Acquisitions


ブティック / 池井戸潤(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池井戸潤2年振り新作
池井戸先生、タイトルからの予測で“ファンション業界物語”的な新境地
開拓したのかと思いきや、導入部分は氏お馴染み「銀行」(^^;)。正直、
クエスチョンマーク点灯のまま読み進めたのだが・・・。

なんと、企業買収・合併『M&A』が題材。
どうやらM&Aをアシストしたり、仲介したりするコンサルタント企業
ことを「M&Aブティック」と称するのは、当たり前の経済用語らしい。

有望株若手バンカーが、銀行の利に反して顧客に寄り添い過ぎてしまい、
理不尽上司に逆らって戦力外通告を受ける、という池井戸潤王道パターン
銀行を退職したバンカーは、その際に接触のあったM&Aブティックに就職
して・・・という感じ。

池井戸作品でこの流れ、というのは定番安心感があり、もうスルスルと
読める。そして、言葉だけをなんとなく知っていたM&Aの実態がリアルに
描写されており、そこに纏わる人々の悲喜交々人間模様赤裸々に描か
れる。半沢ほどハードな展開は無いが、起きる事態のリアリティは凄まじ
く、緊張感を持続したまま読了してしまった。

いやぁ、やっぱり池井戸潤っていいなぁ、と。
新作は2年振りだが、夏にはハヤブサの新作も出る予定。大泉洋の主演で
箱根駅伝のドラマも始まる。しばらく池井戸ワールドにドップリになるだ
ろうなぁ、きっと。

吉田豪の”最狂”全女伝説

#理に叶う理不尽


吉田豪の”最狂”全女伝説 / 吉田豪(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

著者はプロインタビュアー&プロ書評家吉田豪
“トチ狂った団体”として世界でも有名な『全日本女子プロレス』関係者
総勢18名へのインタビューが掲載された作品。2017年発行のモノで、
当時から「いつかは読もう!」と思っていたが、なかなか機会は訪れず。
コレがUnlimitedとなったので、ようやく読んでみた次第。

このインタビュー集に登場する関係者は以下。
ブル中野、長与千種、ダンプ松本、マキ上田、神取忍、赤城マリ子、
クレーン・ユウ、立野記代、ナンシー久美、大森ゆかり、ロッシー小川、
井上京子、影かほる、志生野温夫、堀田祐美子、ボブ矢沢、ミミ萩原、
そして松永高司

おもしろいのはこの中にジャガー横田ライオネス飛鳥デビル雅美
アジャ・コング、そして何よりも北斗晶がラインナップされていない、
という事実。これは間違い無く意図的であり、読み終わってみるとその
人選がベストだ、ということが解る。何故ならば・・・。

・・・いやもう、クソヤバい(^^;)。
ヤバいのは『全日本女子プロレス』というプロレス団体ではなく、
『全日本女子プロレス興業株式会社』という企業体質。いや、企業と
表現するのもちょっとアレ(^^;)で、現在のコンプライアンスに当ては
めたら、存在すら許されないであろう極ブラック(^^;)な集団。
まぁ、ファンなら全女がそういうモノである、ということは知っている
のだが、ソレを改めて思い知らされるのは結構な快感(^^;)だった。

おそらくこの本で、吉田豪の表現したかった部分はこのクソヤバさかと。
だとするならソレは大成功、結果的に女子プロレス書籍史上でも圧倒的
におもしろい作品となっている。

皆にオススメ!・・・したいのだけど、ちょっとカルトすぎる(^^;)かな?
あ、新興宗教の本では無いので念の為(^^;)。

あいつらの末路

#高級限界集落


あいつらの末路 / 真梨幸子(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


真梨幸子
新作。とは言いつつ、今年の1月にリリースされた作品で、あ
まりタイムリーでは無かった。最近、書籍関連のリリース見逃しちゃう
なぁ、どうしてだか(^^;)。

バブル期“ギリギリ通勤圏内”の場所に造成された一戸建て中心のニュー
タウン「ハワーズの丘」を舞台に繰り広げられるミステリー。主役を張る
のは3名アラフィフ女性で、それぞれ全盛期を過ぎた小説家フリー編
集者web雑誌のやとわれ編集長、という絶妙(^^;)なキャスティング
もちろん、この3名が相互作用しながらドロドロの人間ドラマを構築する。

さてタイトルから来る印象は「完璧なイヤミス」。しかし、読んでみると
イヤミスな部分はそれ程でもなく、どちらかと言えば叙述トリックがメイ
ンのわりと本格的なミステリー。まぁ、幸子サマの作品なので、どうして
その部分を期待してしまうのだが、僕を始めとする同好の輩からすると
ちょっとだけ肩透かし感はあるのかも。とはいえ、個人的には見事な伏線
回収の様を楽しませていただけました!

この作品は読後おもしろいモノを発見した。
機会があればこの作品のAmazonレビューをご一読いただきたいのだが、
その中の一篇にやたら否定的なモノが。まだイヤミスという概念が定着す
る前の真梨幸子作品では、この手のレビューが多々あったのだが、最近は
減少傾向で寂しい限り。他の作家なら話は別だが、真梨幸子作品に関して
狙い通りな感があって凄く腑に落ちる感。やっぱりハマっちゃってるん
だよなぁ、幸子サマには(^^;)。

そういう理由でこのレビューには好意的なのだが、作家本人がかなりボカ
している“モデルになった実在するニュータウン”について、しっかり名称
まで書いてしまうのはいかがなモノかと。
イヤミス愛好家としては、暗黙の了解だけは守ろう、これからも(^^;)。