総理にされた男

▼総理にされた男 / 中山七里(Kindle版)

中山七里作品。
氏にしては珍しく、ミステリー要素の殆ど無い政治エンターテインメント

設定はかなり強引(^^;)。
総理大臣のモノマネを得意技とする売れない役者が、急病で倒れた総理の
替え玉をやらされる、という物語。普通コレがバレない、というのはあり
得ない(^^;)のだが、まぁ小説ということでその辺りは突っ込まない方が
幸せだと思いますよ、ええ。

ただ、内容的にはかなり突っ込んだ政治モノ。
「政治」という世界の仕組みとその難しさ面白さが見事に解説されてお
り、ちょっとした入門書として使えそうな作品。何よりも単なる一般人が
ホンモノの首相よりもよっぽど首相らしくなっていく様がやたらと痛快
終盤にはちょっと泣ける場面まであり、エンタメとしての完成度はかなり
高い気がする。

作者の代名詞である“どんでん返し”こそ無いものの、読み応えはバッチリ。
中山七里の違った引き出しを見たい人はぜひ。コレは映像化して欲しいな
ぁ・・・。

BURN(下)

▼BURN(下) 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 / 内藤了(Kindle版)

内藤了藤堂比奈子シリーズ最終章下巻
いつも通り(^^;)、上巻のラストで思いっきりの煽りが入り、次の展開が
大いに気になっていたのだが、今回はすぐに続きが読める。すばらしい!

さすがにちょっとネタバレになるので、ここから先は注意!

これまで起こってきた数々の猟奇犯罪の黒幕が、ようやく正体を現す。
やっぱりとんでもないサイコなクソ野郎(^^;)、こういうヤツならああい
うことを平気でする、と納得出来るキャラを持ってきたのはさすが。

さらにガンさん率いる猟奇犯罪捜査班員たちの太い絆を再確認すると共に、
ヒロインの女刑事・藤堂比奈子と悲しき天才プロファイラー・中島保の恋
の行方など、気になっていた部分がすっかり処理されていたのに感心。
大団円、と表現して間違い無い。

2014年「ON」から10作に渡って続いた大河ドラマもこれにて完了。
おおよそで半年に1作、というペースにイライラさせられた時期もあった
が、僕のシリーズ全体評価はかなり高い。これで終わってしまうのは正直
寂しいが、今も続いているスピンオフシリーズで猟奇犯罪捜査班の面々と
再会出来るのを楽しみに待っている。

お見事でした。そして、お疲れ様でした!

BURN(上)

▼BURN(上) 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 / 内藤了(Kindle版)

内藤了藤堂比奈子シリーズ第十弾にして最終章
今回は初の上下巻本編完結ということで気合いの入った大長編となった。

今回のテーマは「解決」で良いと思う。
「ON」から続く多数の猟奇犯罪の繋がりがカッチリ整理され、張り続け
てきた伏線がほぼ完璧に処理された、シリーズモノの見本のような内容。
ここで終わってしまうのが惜しい、と思わせるのだから、やっぱり凄い
作品だった、ということ。

上巻のラストは、最後の急展開
この段階で僕はもう下巻を読んでいる(^^;)から、感想を書いてしまうと
しっかりネタバレしてしまうので、総合的なレビューは次枠にて。
なんにしても上下巻2冊、両方買っておくことをオススメします。

何度もかまされたこの処理「To Be Continue・・・」(^^;)。

優しい死神の飼い方

▼優しい死神の飼い方 / 知念実希人(Kindle版)

こないだ読んだ「黒猫の小夜曲」前作(^^;)、知念実希人作品。
またもや順番を間違えたことは既に書いているのだが、この作品を読み
終わった後に猛烈に後悔した。順番通り読むべきだった、と(^^;)。

こちらも後作(^^;)の「黒猫」同様、余計な一言が原因で地上に左遷・・・
いや、派遣されてしまった死神の物語。彼の肉体はゴールデンレトリー
バー。しかし、真冬夏毛のまま地上に送られ、死神なのにいきなり死
にそうになってしまう(^^;)。

こちらもファンタジックミステリーなのだが、「黒猫」よりも人間ド
ラマの風合いが強い。人との触れあいを描写するのであれば、一般的に
はやっぱり犬の方が好印象。恩人のために図らずも一生懸命になってし
犬・・・いや死神の様を、ほっこりした感じで眺めることが出来た。

・・・これもまた清々しい作品
読中に何度も昔一緒に暮らしていた犬の姿を思い出し、ホロッと来てし
まう自分が居た。世の犬好きなら、否が応でも気に入ってしまう作品な
気がする。

とにかく、この死神シリーズは絶対に順番通りに読んだ方がいい(^^;)。
両作品はほぼ「連作」であり、話の繋がりをキッチリ楽しむことが出来
るハズなので。失敗した人間が言うのだから、間違い無いかと。

そして、次の作品はどんな死神がどんな動物に変化するのか注目。
犬猫以外があったら本当に感心するな、きっと。

平成プロレス 30の事件簿

▼平成プロレス 30の事件簿 / 瑞佐富郎

サブタイは「知られざる、30の歴史を刻んだ言葉と、その真相」
章のは選手(もしくは関係者)の発言であり、ソレに纏わる「事件」
考察したノンフィクション平成元年新日本プロレス東京ドーム初開催
から、30年中邑真輔レッスルマニア出場まで、我々の心に確実に刻まれ
ている事件絶妙にチョイスされている。

・・・この作家のこれまでの著書としては、「泣けるプロレス」シリーズがあ
るのだが、そちらは残念ながらまだ未読。しかし、平成17年・橋本真也
葬儀に関する記述を読んでいるうちに、自然と目に涙が溢れてしまった。
泣かすのは上手いんだろうな、きっと。

まぁ、正直言えば、全てのトピックが「ほぼ知っていること」。であるか
ら普通なら興味が続かない系の読み物になってしまうのだが、この人の書
く文章は「誠実」な上、なによりプロレスラーに対する「リスペクト」
溢れている。読後感の清々しさは、この種の他の本では感じたことが無い。

そして、もう30年も経ち、今年には終わってしまう「平成」に感慨も。
僕のライフワークでもある「プロレス」で総括されると、その時に起こっ
たプロレス以外のことも明確に思い出すことが出来るのが不思議だった。

プロレスファンなら、読んで損は無いのは間違いないが、出来ることなら
そうでない人が読んだ時の感想を知りたい本。良いです、コレ。