人面瘡探偵

#NOT FANTASY


▼人面瘡探偵 / 中山七里(Kindle版)

読むべき本が一段落した時、非常に頼りになる作家、中山七里の作品。
今回は普段なら絶対に手を出さない、と思われるタイトルの作品を選んで
みたのだが・・・。

相続鑑定士という聞き慣れない職業の三津木六兵は、人面瘡が。
この人面瘡、なんと喋る。それも、イヤミたっぷりに(^^;)。この人面瘡の
“ジンさん”が、安楽椅子探偵的なポジションを担い、六兵が巻き込まれてし
まった連続殺人事件を解決に導く、というお話。

中山七里の引き出しだ、と前から思っていたが、まさか人面瘡まで持ち
出してくるとは夢にも思わなかった。二人(?)のやり取りはコミカルだが、
起こる事件は莫大な遺産相続も絡んだドロドロしたモノ。このギャップ
ミスリードを誘い、得意の「どんでん返し」に持ち込むのがいつもの手なの
だが、こちらも中山七里キャリア(^^;)は長い。今回は犯人を当ててやるぜ!
と意気込んだのはもちろん、結果にも自信はあった。が・・・。

・・・見事過ぎるくらいまたもややられました(^^;)。
厄介なのはどんでん返しが一つではないこと。この手法は本当に斬新な上、
ちょっと寒気がしたほど。やっぱり恐ろしい人だな、この作家。

どうやらコレもシリーズになっているらしく、既に第二弾が発売中らしい。
コレはすぐにでも読んで、リベンジを果たすべき。次こそは・・・。

「猪木」

#目撃者


▼「猪木」 / 原悦生

G SPIRITSムックvol.17「アントニオ猪木を撮り続けた男」こと、カメラ
マン・原悦生氏のノンフィクション。

原さんと言えば、伝説の猪木・アリ戦における「猪木のハイキックシーン」
を押さえたカメラマン。若かりし頃から一貫して猪木を撮り続け、この本の
記述によると猪木本人から【死に際の写真】を頼まれているらしい。

この本の中には、僕も足を運び、なんならリングサイド席で観戦した試合も
多々含まれている。にも関わらず、何故かリングサイドに入っている原さん
をイメージ出来ないのは、原さんがプロフェッショナルである証拠。猪木の
格好いい写真は、おおよそが原悦生撮影の作品なのが凄い。

いわゆる「猪木本」の類は、これまで何十冊も読んで来たが、この作品は
そのどれとも違う【迫力】、そして【説得力】おびただしく溢れている
なにしろ、プロレスラーのアントニオ猪木だけでなく、政治家のアントニオ
猪木の写真を世界中で撮影したカメラマン。元新聞記者だけに文章も上手く、
氏の切り取った“猪木”という概念が、リアルに届いてくる。

ビックリしたのは、サッカーの写真でも超高名なあの原さんが、今で言う
「カメラ小僧」(^^;)だったこと。
団体の許可を取らずに勝手にリングサイドで撮影を行う高校生、なんて、今
の世では絶対に許されない。そこから今の位置まで上り詰めたのだから、や
っぱりこの人も只者では無い。

考えたくは無いが、おそらく『アントニオ猪木の遺影』原さんの写真にな
ると思う。出来ればそんなシーンは観たく無いけど・・・。

“着せ恋”の吸引力

#リアル熱血青春グラフィティ


こないだアニメを一気観した「その着せ替え人形は恋をする」の件。
驚いたことにインパクト絶大だったらしく、アニメ視聴は既に10週目
超えるマラソン展開。さらに先が気になり、原作にも手を出したのだが・・・。

▼その着せ替え人形は恋をする⑦・⑧ / 福田晋一(Kindle版)
 

・・・7巻8巻
この2冊が、本当にヤバいくらい充実の内容。これまでの“爽やかな異業種
間恋愛”(^^;)展開でも充分に楽しかったのだが、7巻からはコレに熱血学園
モノの要素が大追加。ここで、遂に五条くん【覚醒】。明らかに殻を破り、
期せずしてクラスの中心人物に躍り出る様は、正直胸が熱くなった

こんなにクソハマリするとは、自分でも予想出来ず。
なんなら最新9巻以降が一刻も早く知りたくなり、これまで一切縁の無かっ
ヤングガンガンまで購入する始末(^^;)。

申し訳無いが、アニメスタッフは一刻も早くシーズン2の制作に着手すべき。
シーズン1はもしかしたら2022年アニメの最高傑作かもしれないので。

マイクロスパイ・アンサンブル

#the ピーズ #TOMOVSKY


▼マイクロスパイ・アンサンブル / 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎新作は、猪苗代湖のアートフェス「オハラ☆ブレイク」にて、
数回に渡って配布された連作小説に書き下ろしを加えて一冊にまとめたモノ。

失礼ながら「オハラ☆ブレイク」というイベントは全く知らなかったのだが、
作中に歌詞が引用されている2バンドに関して、僕はそれなりに思い入れが。

the ピーズTOMOVSKY
ピーズと、TOMOVSKYがかつて率いていたカステラ、それにthe Wellsを加え
た3バンドは、あの頃の僕らにとって“憧れ”を感じずにいられなかった人たち。
シンプルだけど誰も思いつかないようなメロディと、前衛文学のような歌詞は、
追いつこうにも追いつけない、才能の塊だった。

そんな2バンドの楽曲をモチーフに、伊坂幸太郎が小説を書く。
この組み合わせ、正直驚いたけどちょっと考えれば非常に腑に落ちる。これ
までの作品を考えれば、伊坂幸太郎が彼らに影響を受けていない、と考える
方が難しい。

氏にしてはやや大人しめの作品ではあるモノの、ここでもしっかり伊坂流
ファンタジーが展開されている。いつものようにカッコ良く、スタイリッシ
ュな伊坂節は健在で、今回もシビれるフレーズが多々飛び出してくるのがポ
イント。サックリ読める、清涼感たっぷりの良作です。

個人的にいちばん刺さったフレーズは【作戦会議】。この言葉、必ずどこか
真似させていただきますよ、うん。

マスカレード・ゲーム

#水天宮ロイヤルパークホテル


▼マスカレード・ゲーム / 東野圭吾

東野圭吾の新作はマスカレード・ホテルシリーズ
3年に一度のペースで続いてきたシリーズだが、前作「イブ」から今作ま
でのスパンはなんと5年。そして、おそらくコレが最終作品となる気配が。

すっかり偉くなった『ホテルマン刑事』こと新田浩介は、もちろん今回も
高級ホテル、ホテルコルテシア東京潜入。偉くなってもこういうことを
やらされてしまうのが哀愁をそそる(^^;)のだが、無理なくそうなるように
状況設定を作ってしまうところが東野圭吾の凄いところ。そして、もう1人
の主役、超絶コンシェルジュ山岸尚美も遅ればせながらしっかり登場す
るのでご安心を。

そして、久しぶりにミスリードが多発する本格ミステリーを堪能。もちろ
ん場面ごとに犯人を予想しながら読んでいたのだが、結果的に大ハズレ(^^;)。
最近はミステリーを読んでも最後まで犯人が解らないことは殆ど無くなっ
たと思っていたが、まぁ見事に騙されました。やっぱり凄い作家だな、こ
の人は。

事件解決後のラストシーンに関しては、おそらく賛否両論があるかと。
作品の結末としては全然アリだと思う僕だが、もしマスカレードホテルシリ
ーズが終わってしまう可能性・・・というか、このラストなら終わるべき・・・が
あるのはいただけない。読みたいなぁ、次作も。