転スラ日記(7)

#異質な重さ


転スラ日記(7)/ 伏瀬(原作)・柴(作画)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アニメからハマり、コミックから小説まで細かく読み込むようになった
「転生したらスライムだった件」。で、スピンオフ作品もチョイチョイ読む
ようになったのだが、その中でも安心してホッコリ気分で読むことが出来た
のが魔国・テンペストで暮らす人々の日常を描いた「転スラ日記」。しかし、
最新の7巻が・・・。

場面的にはファルムス王国の侵攻を受け、シオン・ゴブゾウらが一時的に命
を落とし、リムルが完全にブチ切れそうになるところ。本編でも泣きそうに
なるシーンが多々あったのだが、普段ほのぼの展開の転スラ日記でいきなり
シリアスな展開をぶちこまれちゃったモンだから、相当面食らった。

そして、まぁ泣けること泣けること(^^;)。大きく印象に残ったのは2つで、
1つは仲間の死を眼前にして怒りに震えるゲルドを、仲の良いホブゴブリン
の女の子が初めて声を発して諫めたシーン。そしてもう一つは、ランガ
普段けして仲が良いとは言えないシオンの死を愁うシーン。特に最初の方
は、ヤバいくらいに涙が溢れてしまった。

・・・スピンオフにまでハマるのはさすがにヤバイかも(^^;)。
出来るだけ手を広げないように注意しとかないと(^^;)。

ラスト・ヴォイス

#エンマ様


ラスト・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 / 佐藤青南(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤青南行動心理捜査官・楯岡絵麻シリーズ第10弾にして最終刊
このシリーズに出会ったのが2012年だから、かれこれ12年続いた大作、と
いうことに。もちろん、あのラスボスとの決着も・・・。

前作で“エンマ様”こと楯岡絵麻の部下・西野の恋人宅に放火したのは、死刑
囚のサイコパス・楠木ゆりかだと判明。獄中からどのような手を使って刺客
を差し向けたのか探るエンマ様だったが、捜査は困難を極める状況に。そん
な中、捜査一課の同僚・筒井の娘が何者かに襲われる、という事件が。楠木
の関与を疑ったエンマ様は・・・という展開。

すっかり身内と化した楯岡&西野コンビと、筒井・綿貫コンビ。時間を掛け
「絆」を描き、敵の最終攻撃がこの絆の破壊、という展開、ベタだが非常
燃えた(^^;)。そういうワケで読後の痛快感・爽快感はすばらしく、最終刊
に相応しい流れ・・・ではあったのだが・・・。

正直、今回に関してはトリックの作り方にかなり無理があった気が。
納得出来ないワケでは無いが、感心してしまう内容のトリックが一つも無か
ったのが非常に残念。通常シリーズ内の一作であればまぁ問題は無いが、こ
れを「ラスト」と考えると、正直消化不良感が残ってしまう。

・・・無理に終わることは無いんじゃないかなぁ、と(^^;)。
楠木ゆりかの死刑執行や、エンマ様の恋愛模様など、最後に確認したかった
場面も幾つか残っている。スピンオフで構わないから、後日談の形式でリリ
ースして貰えると非常に嬉しい。

取り敢えず、本編終了お疲れ様でした!
読み応えタップリのシリーズを与えてくれて、本当にありがとうございます。
願わくば、エンマ様を凌ぐキャラクターを配した新作を!早めに(^^;)。

ONE PIECE 109

#きみの味方


ONE PIECE 109 / 尾田栄一郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワンピース・109巻の発売日。
コンビニで深夜2時過ぎに購入したのだが、読み始めるまでに時間がかかった。
今回、内容がかなりキツい、というのは周知の事実。それでもなんとかページ
をめくることは出来たのだが・・・。

・・・いやもう、号泣(^^;)。
別に子どもが居るワケでも無いのに、であるくまの気持ちが痛いほど解る気
がするのはどうしてなんだろう(^^;)。コレはマジでヤバい一冊

そして、ONE PIECE公式YouTubeチャンネルで公開されたミスチルとのコラボ
MVがコレに和を掛けて泣けるのが(^^;)。

・・・ボニーを非道い目に合わせた奴ら、マジで全員四ね!と改めて。
特にJお前がいちばん最初だ!

俺たちの箱根駅伝(下)

#正月の当事者たち


俺たちの箱根駅伝(下) / 池井戸潤(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レビューまで少し間が空いてしまったが、実はほぼ半日で完読してしまった下巻
遂に新年恒例箱根駅伝が開幕、「負け犬の集まり」と揶揄される関東学生連合
チームと、大日テレビのクルーたちによる、“オレたちの箱根”が転がり始めた!

まずは学生連合意地と感動の箱根駅伝
心情描写は10人のランナーたち全員をフォローしており、応援せずに居られない
展開が熱く繰り広げられる。実際の箱根駅伝で学生連合が大活躍する、という例
は殆ど無い。僕にとって箱根駅伝とは、正月に横目で観る程度番組であり、そこ
「学生連合って出場する意味あるの?」と思っていたことも事実。しかし、こ
の作品を読んだことにより、来年の箱根は学生連合に注目せざるを得なくなった
まだ編成は決まっていないと思うが、学生連合チームのメンバーはハードルが上
がったことを覚悟して欲しい。そのくらい熱い物語だった。

そして、大日テレビ箱根駅伝中継チーム
仕事柄、箱根駅伝の中継がどれだけ大変なのかはさすがに解る。レース展開や天
候に左右され、思い描いた通りに番組が進行することは絶対に無い。そういった
「生モノ」の大変さとそれに臨む覚悟、そして“プロフェッショナルの格好良さ”
が切々と伝わって来る。唯一人、最後までヒールを演じねばならなかった編成局
にはちょっと同情してしまうのだけど(^^;)。

これはもう、絶対に映像化すべき作品。
半沢直樹・下町ロケットのチームならキッチリ仕事をしてくれそうだが、やっぱ
り権利は日テレにありそう。日テレのドラマ班は今現在ちょっとアレ(^^;)だが、
それを払拭するためにも、「ちゃんとした原作アリドラマ」を制作して欲しい。
・・・さすがに手を挙げない、ってことは無いよね(^^;)。

俺たちの箱根駅伝(上)

#正月の当事者たち


俺たちの箱根駅伝(上) / 池井戸潤(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒットメーカー・池井戸潤、約1年半ぶりの新作
テーマはなんと「箱根駅伝」陸上競技モノとしては、ランニングシュー
ズの開発をテーマとした『陸王』があり、今回も企業再生モノかと思った。
ところが・・・。

物語の軸は明確に二つ
一つは箱根駅伝本戦への出場を逃した各大学の代表者たちによる混成チーム
「関東学生連合」のメンバーの、箱根への“関わり方”“拘り”について、熱く
展開される部分。そして二つ目は、お正月の定番として箱根駅伝を中継する、
テレビ局のクルーたち鬼気迫る仕事ぶりを描く部分である。

これまでの池井戸潤を考えるに、二つ目はあってもおかしくない内容。
しかし、一つ目に関しては完全に虚を突かれた。まさか“箱根駅伝のお荷物”
ないしは“思い出作り”と揶揄されている学生連合チームにスポットを当て、
そこに意味を持たせた上で痛快な展開を構築されるとは・・・。

実際のところ、内容はこれまでにも増してやたら熱い。ランナーたち全員の、
そしてテレビマンたち全員の意地信念には心を打たれたし、なんなら感動
涙も流した。まだ上巻なのに、だ(^^;)。

そしてこの物語、フィクションであるのは間違い無いのだが、実際に存在す
る大学名がバンバン出てくるし、箱根駅伝中継の歴史等に事実が多く含まれ
ている。その辺りを留意しながら読むと、更に楽しさが増す、と思う。

ココに登場するテレビ局は大日テレビ。もちろんN●Vがモデルなのだが、
彼らの箱根に掛ける情熱に感服した。実際の●TVも、ドラマとか作らずに
スポーツ中継だけやってればいいのに、とか思った。ナイショだけど。