楽園の楽園

#ちょこっと西遊記


楽園の楽園 / 伊坂幸太郎(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前伊坂幸太郎作品。
実はコレ、「新作」と呼ばれた頃(1月くらい?)に紙の本を購入していたの
だが、そちらはまたもや読まないまま放置状態に。で、現時点でこなしている
現場の少ない空き時間で読書がしたくなり、電子書籍版も購入してしまった。
伊坂作品は『777』に続いての“二重買い”。あんまりよろしくない(^^;)。

西遊記キャラクターモチーフにしたダーク寄りファンタジー
そういえば伊坂幸太郎、15〜6年前にも西遊記をモチーフにした『SOSの猿』
という作品を書いていたのだが、アチラよりもう少し現実的・・・なのかも。

舞台はおそらく終末感の漂う近未来
この時代に起こった現象を解決するために政府から秘密裏に選ばれた3名が、
“先生”(お師匠様?)なる人物の救出に向かうお話。3名はもちろん孫悟空
・沙悟浄・猪八戒をモデルにしたある意味での“能力者”。”先生”の気配が残
る場所で彼らが発見したものは・・・という感じ。

大地震コロナ禍など、最近起こった災害を上手く絡め、一本の線で繋げた
ようなストーリー。氏独特の描写方は相変わらず流麗カッコ良いのだが、改
めて考えるとゾッとする、という伊坂幸太郎らしい作品。なかなかの読み応え
で、作中に唸ってしまう場面が多々あった。しかし・・・。

短い(^^;)。いや、短すぎるでしょ、コレ(^^;)。
まぁ、紙の本の方も購入しており、そのから短いことは想像出来たのだが、
起承転結の“転”の部分でぶった切って来るとは思わなかった。いや、けして
不快な終わり方では無いので念のため(^^;)。

コレは装丁挿絵も含めた「一冊の絵本」として楽しむべきかも。だとする
と、電子書籍よりも紙の本の方が宝物感が出るから、そちらをオススメ。
両方買っちゃった僕が言うから間違い無いと思うな、うん。

この音とまれ!- Home -

#熱血琴マンガ


ジャンプSQ・2025年12月号

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンプSQ・12月号本日発売
お目当てはもちろんアミュー『この音とまれ!』。というか、正直この作品
のためだけに電子書籍版を購入しているワケなのだが(^^;)。ちなみに1ヶ月の
休載を挟んでいるので、先月号は購入しておりません!

総文祭で見事全国1位に輝いた時瀬高校箏曲部の面々。
休載前のエピソードで、長く続いた北海道総文祭の描写は終了となり、地元に
帰還した時瀬箏曲部員たちを描く、ほっこりエピソードの会。

この後は、全国上位4校による東京公演の模様が描かれるハズ。
きっとコレは読者に対するボーナストラックで、ある意味で悔いを残している
堺くんへ与えられたリベンジの機会。この段階で既に最強なのに、完全体とな
「和」の演奏シーンを以て、おそらくこの作品は終了する気がする。

今回のエピソードでは、全部員の幸せな様子を観ることが出来た。
真っ暗闇から始まった青春群像劇最期は、最高の光に溢れた幸せな結末であ
りますように。そして最後の演奏も、期待してるぞ!!

電通マンぼろぼろ日記

#アレの祖(^^;)


電通マンぼろぼろ日記 / 福永耕太郎(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガバンク銀行員ぐだぐだ日記」のレビューの時にちょっと書いたのだが、
やっぱり我慢(?)出来ずに購入してしまった作品。今回のターゲットになる
のは、“業種”ではなくイチ企業コミュニケーションエクセレンス大企業
電通である。

著者の福永耕太郎氏は「元」が付く電通マン伏せ字にこそなっているモノの、
担当していた業種クライアント等が解ってしまう(^^;)ため、どのあたりで
働いていた人なのかは容易に想像が付く(^^;)。間違い無く電通がいちばん勢い
があった頃最前線に居た人で、そこから出てくるエピソードは正に魑魅魍魎
知らなかったことも勿論あったのだけど、8割近くが“なんとなく知っている件”
であり、ニヤニヤしながらあっという間に読み終わってしまった。

ただ、この本に書いてあることがほぼ事実なのは間違い無いが、「全て」では
無いのもまた真実。さすがにそこまで踏み込むワケにも行かなかったんだろう
なぁ、と察することは出来る。でももし可能なら、第二弾とかでもう少しだけ
ディープな部分を暴露して欲しい・・・かな(^^;)。無理することは無いけど。

・・・最初はもっと突っ込んだレビューを書いたのだが、やっぱりちょっと抵抗
があって書き直した(^^;)。忖度したつもりは無いが、僕は電通でなければ出
来ない仕事、というのが今も絶対にある、と思っている。でも・・・。

働き方改革とは、電通的ワークスタイルの否定に端を発しているような気が。
そうなると、電通が昔のようなパワーを発揮する機会は激減するんだろうなぁ、
きっと・・・。

メガバンク銀行員ぐだぐだ日記

#半沢まで行かない銀行員


メガバンク銀行員ぐだぐだ日記 / 目黒冬弥(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kindle Unlimitedリコメンドに出て来たノンフィクション
この作品、いろいろな“お仕事”の実情をぶちまけて人気の【日記シリーズ】
ウチの一作。以前から興味はあったのだけど、まずはUnlimitedのモノから読ん
でみることに。

2022年の発売時の段階でもメガバンク「M銀行」勤務していた目黒冬弥
によるエッセイ現役銀行員が実名でこんな本を出すワケにもいかないと思う
ので、おそらくペンネーム(^^;)。ちょっとズルいと思うのは、今現在、日本
“メガバンク”と呼ばれる銀行は3つ、その全てが「M銀行」という事実(^^;)。
読んでいるウチにどの銀行かはなんとなく察することは出来るのだが、最初
からみ●ほ銀行とか書いてくれれば尊敬したかもしれない(^^;)。

内容は、出世コースから早々に外れた(外された?)銀行員リアルな日常
池井戸潤作品を多々読んでいる所為か、銀行という職場はかなり派手な場所
である、という印象があったのだが、まぁ普通に考えればこうなんだろうな
、と(^^;)。等身大の銀行員が過不足無く描かれており、思わずニヤッと出
来る事象が絶妙なタイミングで飛び出す。暇つぶしの読み物としては、
付けても問題無い。

【日記シリーズ】、他にもヤバそうな作品が多々。
タクシードライバーコンビニオーナーテレビプロデューサーなんていう
のはかなりそそられるが、やっぱり興味がるのは『電通マン』(^^;)かな?
・・・金払うのはちょっと抵抗あるんだけど(^^;)。

恋塚

#妖艶純文学


恋塚 / 花房観音(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらく「フェイタル」を読んだ所為でKindle Unlimitedリコメンドに登場し
たモノ。花房観音作品は花びらめくり以来、実に8年ぶり

全6篇からなる短編集
相変わらず気合の入った官能小説で、さすがは団鬼六賞大賞受賞作家
この手のジャンルはそれほど大量に読んでいるワケでは無いのだが、作品によっ
クオリティ天地の差がある。花房女史の作品はエロ描写が妙に艶めかしく
“官能”という部分だけ切り取っても太鼓判が押せるのだが、作品内でのエロ比率
はそれほど高いワケでも無い。各篇冒頭のトーンは純文学的で、そこから徐々に
エロを高め、最終的に切なめなエンディングに落とす、という手法は、ちょっと
した職人芸。官能小説なのに、読後感は一般作の長編を読んだ時に感じるモノに
近い気がする。

印象に残ったのは、タイトルロール「恋塚」
偶然再会した幼なじみと関係を持ってしまい、最終的に殺人まで犯してしまう男
の話なのだが、この展開があまりにゾッとするモノ。ハッキリ言えばオチは読め
るのだが、そこに至るまでのプロセス描写が凄まじく、解りきった結果にすら呆
然としてしまったほど。

花房観音、実に恐ろしい作家
この手のジャンルにアレルギーが無ければ、ぜひご一読を。おもしろいので!