電通マンぼろぼろ日記

#アレの祖(^^;)


電通マンぼろぼろ日記 / 福永耕太郎(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガバンク銀行員ぐだぐだ日記」のレビューの時にちょっと書いたのだが、
やっぱり我慢(?)出来ずに購入してしまった作品。今回のターゲットになる
のは、“業種”ではなくイチ企業コミュニケーションエクセレンス大企業
電通である。

著者の福永耕太郎氏は「元」が付く電通マン伏せ字にこそなっているモノの、
担当していた業種クライアント等が解ってしまう(^^;)ため、どのあたりで
働いていた人なのかは容易に想像が付く(^^;)。間違い無く電通がいちばん勢い
があった頃最前線に居た人で、そこから出てくるエピソードは正に魑魅魍魎
知らなかったことも勿論あったのだけど、8割近くが“なんとなく知っている件”
であり、ニヤニヤしながらあっという間に読み終わってしまった。

ただ、この本に書いてあることがほぼ事実なのは間違い無いが、「全て」では
無いのもまた真実。さすがにそこまで踏み込むワケにも行かなかったんだろう
なぁ、と察することは出来る。でももし可能なら、第二弾とかでもう少しだけ
ディープな部分を暴露して欲しい・・・かな(^^;)。無理することは無いけど。

・・・最初はもっと突っ込んだレビューを書いたのだが、やっぱりちょっと抵抗
があって書き直した(^^;)。忖度したつもりは無いが、僕は電通でなければ出
来ない仕事、というのが今も絶対にある、と思っている。でも・・・。

働き方改革とは、電通的ワークスタイルの否定に端を発しているような気が。
そうなると、電通が昔のようなパワーを発揮する機会は激減するんだろうなぁ、
きっと・・・。

メガバンク銀行員ぐだぐだ日記

#半沢まで行かない銀行員


メガバンク銀行員ぐだぐだ日記 / 目黒冬弥(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kindle Unlimitedリコメンドに出て来たノンフィクション
この作品、いろいろな“お仕事”の実情をぶちまけて人気の【日記シリーズ】
ウチの一作。以前から興味はあったのだけど、まずはUnlimitedのモノから読ん
でみることに。

2022年の発売時の段階でもメガバンク「M銀行」勤務していた目黒冬弥
によるエッセイ現役銀行員が実名でこんな本を出すワケにもいかないと思う
ので、おそらくペンネーム(^^;)。ちょっとズルいと思うのは、今現在、日本
“メガバンク”と呼ばれる銀行は3つ、その全てが「M銀行」という事実(^^;)。
読んでいるウチにどの銀行かはなんとなく察することは出来るのだが、最初
からみ●ほ銀行とか書いてくれれば尊敬したかもしれない(^^;)。

内容は、出世コースから早々に外れた(外された?)銀行員リアルな日常
池井戸潤作品を多々読んでいる所為か、銀行という職場はかなり派手な場所
である、という印象があったのだが、まぁ普通に考えればこうなんだろうな
、と(^^;)。等身大の銀行員が過不足無く描かれており、思わずニヤッと出
来る事象が絶妙なタイミングで飛び出す。暇つぶしの読み物としては、
付けても問題無い。

【日記シリーズ】、他にもヤバそうな作品が多々。
タクシードライバーコンビニオーナーテレビプロデューサーなんていう
のはかなりそそられるが、やっぱり興味がるのは『電通マン』(^^;)かな?
・・・金払うのはちょっと抵抗あるんだけど(^^;)。

恋塚

#妖艶純文学


恋塚 / 花房観音(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらく「フェイタル」を読んだ所為でKindle Unlimitedリコメンドに登場し
たモノ。花房観音作品は花びらめくり以来、実に8年ぶり

全6篇からなる短編集
相変わらず気合の入った官能小説で、さすがは団鬼六賞大賞受賞作家
この手のジャンルはそれほど大量に読んでいるワケでは無いのだが、作品によっ
クオリティ天地の差がある。花房女史の作品はエロ描写が妙に艶めかしく
“官能”という部分だけ切り取っても太鼓判が押せるのだが、作品内でのエロ比率
はそれほど高いワケでも無い。各篇冒頭のトーンは純文学的で、そこから徐々に
エロを高め、最終的に切なめなエンディングに落とす、という手法は、ちょっと
した職人芸。官能小説なのに、読後感は一般作の長編を読んだ時に感じるモノに
近い気がする。

印象に残ったのは、タイトルロール「恋塚」
偶然再会した幼なじみと関係を持ってしまい、最終的に殺人まで犯してしまう男
の話なのだが、この展開があまりにゾッとするモノ。ハッキリ言えばオチは読め
るのだが、そこに至るまでのプロセス描写が凄まじく、解りきった結果にすら呆
然としてしまったほど。

花房観音、実に恐ろしい作家
この手のジャンルにアレルギーが無ければ、ぜひご一読を。おもしろいので!

イロモノの野望

#リアルな天才


イロモノの野望 / 男色ディーノ(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DDTのアイコン”こと、男色ディーノの著作。
ディーノは3日後、DDT後楽園ホール大会にて新日本プロレス棚橋弘至との
シングルマッチに臨む。カード発表と同時にチケットがソールドアウトになった、
という、ある意味で「夢の対決」の前に、どうしても読んでおきたかった作品。

いわゆる「プロレス頭」良さに於いて、ディーノは国内プロレスラーの中でも
1・2を争う天才。そもそもディーノがDDTに上がるきっかけになった試合とい
うのが、インディ団体で行われた『透明人間』との一騎打ち。この試合の完成度
に唸った高木三四郎がほぼ三顧の礼でDDTに迎え入れた、というまるで都市伝説
の様な事実。この作品のサブタイトルが『透明人間と戦ってわかった自分の商品
価値の上げ方』なのは、その“奇跡”に由来しているハズ。

“ゲイ”という取り扱い注意なキャラクターを20年に渡って演じ続け、そのキャラ
のまま“ここぞ!”という場面では絶対的なエースとしてファンの期待を一身に背
負って魅せる。ゲイキャラのままファンから絶対的な信頼を得ている、というの
は、考えてみればかなり凄いこと。そんな芸当はディーノ以外の誰にも出来ない、
と心から思う。

そしてディーノは、プロレスに於ける「物語」の作り方が圧倒的に上手い。
リング上で行われるのは”通常のディーノの試合”だが、試合に至るまでに自ら
の思想や過去の因縁などを解りやすくファンに伝え、期待を煽りまくる。プロ
レスの魅力が『プロセス』であることを誰よりも解っており、我々はディーノ
の掌から動くことが出来ない。こういうのを、普通に「天才」と呼ぶ。

そんな天才、男色ディーノは、文章でもやっぱり天才だった。
元々ゲーム系のフリーライターとして活動しており、その文章力には定評があ
ったのだが、1テーマで一冊を仕上げられると、その説得力圧倒的。ディー
ノ本人はこの作品を『ビジネス書』としているのだが、そこに偽りは全く無い
自らの経験を事例とし、他分野でソレを生かせる方法が懇切丁寧に記載されて
いるのだから、正直舌を巻いた

僕は男色ディーノというプロレスラーを心から尊敬している。そして、それと
同じレベルで棚橋弘至というプロレスラーにも絶大な信用を置いている。その
2人が、遂にシングルで・・・。いやぁ、楽しみでしかない、本当に。

Gスピリッツ選集 第二巻 初代タイガーマスク篇

#「初代」というブランド


Gスピリッツ選集 第二巻 初代タイガーマスク篇 / Gスピリッツ編(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Gスピリッツ選集第二巻は、予想に反して伝家の宝刀『初代タイガーマスク』
前回の反省を踏まえ、今回は書籍版ではなくKindle版を選択。Gスピリッツ関連書籍
は主に電車内積読する機会が多いので、この選択は正解かと。

さすがに初代タイガーマスクは昭和プロレス最高の“語れる素材”
この作品はGスピリッツ本誌での記事をほぼ時系列再編集したモノだが、やっぱり
書き手の方の情熱がビシバシ伝わってくる。考えてみれば、本誌でタイガーマスクの
特集はこれまで何度組まれたか解らない。厳選されているとはいえ、一冊にまとまる
とその文章量膨大で、やたら読み応えのある書籍に仕上がっている。

プロレス界で永遠に語られるべき存在として、力道山・アントニオ猪木・ジャイアン
ト馬場3名が挙げられるが、その3名を下手すれば凌駕してしまう存在があるとす
れば、初代タイガーマスク・佐山サトルしかあり得ない。初代タイガーマスクが新日
本プロレスで活躍したのはたった2年しか無いが、それだけで力道山・猪木・馬場の
3名を超えてしまう。まぁ、プロレス界には今も面々と続く立体殺法を残し、格闘技
には自らが礎を築いたのだから、それも充分に納得できる。

このダイジェストでおもしろかったのは、新日本時代付き人であり、最初のタイガ
ージムインストラクターを務め、旧UWFで共に復活したヤマちゃんこと、山崎一夫
との対談。この二人の間にいろいろあったことはなんとなく知っているだけに、現在
垣間見える“仲の良さ”が、妙に嬉しかった

いやぁ、このシリーズはマジでおもしろい。
一巻の時にも書いた日本プロレス昭和全日本、後はミル・マスカラス、ないしは
ドクトル・ルチャ連載を一冊にまとめてくれるといいのだけど。