ウバステ

#イヤミスの教祖 #ミスリードメーカー


ウバステ / 真梨幸子(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真梨幸子新作。今回は何故か新刊の発売に気付かず、やや出遅れ感
いつもはやたらトキメくタイトルの作品が多い幸子サマ作品だが、今回の
はさすがに若干の抵抗感があった。そのイヤな予感は・・・。

・・・完璧に当たってしまった模様(^^;)。
全盛期に派手目な仕事をし、そのまま前期高齢者に近い年齢まで到達して
しまった女性たちの物語。状況こそ違えど、彼女らはいわゆる「お一人様」
で、しかも生活になんらかの不安を抱えている状況。

正直、状況設定があまりにリアル過ぎて、ページをめくる度に気分が悪く
なる。男性・女性の違いこそあれ、ココに出てくる人たちと僕に年齢差は
殆ど無く、故に共感度が凄まじい。「コレ、オレのこと書いてんじゃ?」
という被害妄想まで出る始末で、読書中にマジで一度吐いた

・・・でも、読むのが止められない
非道い話なのに構成緻密で、相変わらずもの凄いイヤミスぶりを如何無
く発揮。コレはもう、幸子サマにだけ与えられた才能なのだ、と思うしか
無い。

この作品、傑作だけど万人にはオススメできません、残念ながら。
特に生きる意味を見失いがちな50〜60台の人は絶対に読まないように
若い人たちはどんどんどうぞ!!

GONG KAKUTOUGI BEST SELECTION 1968-2017

#格闘技今昔


ゴング格闘技ベストセレクション 1986-2017 / ゴング格闘技編集部
(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来たMOOK
1986年旧「ゴング」から独立するカタチで創刊し、現在まで続く格闘技
雑誌、『ゴング格闘技』の記事から、インタビュー・ノンフィクションを集
めたモノ。

“柔道と柔術”“バーリトゥード・ジャパン”“日本総合格闘技”“MMA、
世界の頂”“空手とは何か”“立ち技格闘技の挑戦”から成る全6章。ゴン格
らしい硬派なチョイスで、木村政彦から那須川天心まで、絶妙なクロニクル
となっている。

僕が格闘技に絶大な興味を示したのは、K-1誕生からPRIDE全盛期その後
までの間。基本はプロレスからの延長であり、その期間が過ぎた後にはしっ
かりプロレスに回帰した。この本からはいわゆる“90年代”の情報が明らかに
欠落しており、そこから逆にゴン格という専門誌の拘りを感じる。そういう
意味では、非常に興味深い「まとめ本」になっている気がする。

ゴン格も創刊から30年を超える長寿雑誌なのだが、この本のタイトルから
『1986年の格闘技』について調べてみた。この頃にはまだK-1が生まれて
おらず、ヒットしたのは新日本プロレスで行われた前田日明とドン・中矢・
ニールセン異種格闘技戦くらい。まぁ、この試合を格闘技の括りに入れる
のは正直アレなのだが、ターニングポイントであったことは間違い無い。
前田vsニールセンが名勝負にならなければ、その後にK-1やPRIDEが出て来
たとは思えないので・・・。

個人的に楽しむことは出来たのだが、こうなると対極の「格闘技通信」から
クロニクル作品を出して欲しいところ。単にあの頃を懐かしむのならば、
格通のチョイスの方がバラエティに富みそうな気がするな、うん。

俺のダチ。

#Y高


俺のダチ。 / 鈴木みのる(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、ちょっと気になっていたプロレス関連本が続々とKindle Unlimitedに。
これは嬉しい傾向で、いろんな理由で買いそびれていたモノを取り敢えず登
録して読みまくっている状況。

ソレの最たるモノがこの鈴木みのる対談集
鈴木みのるはプロレス・格闘技はもちろんのこと、「言葉」の強さでも有名。
“世界一性格の悪い男”キャラを貫いているのに、このタイトルの対談集が出
ちゃうのはどうだろう?と思ったのが購入を渋った理由だったのだが・・・。

いや、おもしろい!
基本的にキャラクターは崩しておらず、毒舌・皮肉の類いはもちろん健在な
のだが、対談相手の方から沸々と感じる『鈴木愛』(^^;)。特にこの企画に
登場したことが信じられない小橋建太氏から、「鈴木みのるが好きだ!」
感じてしまったのが、妙に印象に残った。なるほどなぁ、と。

しかし、最高のトピック横浜高校先輩であり、元ロッテ・オリオンズ
大投手愛甲猛氏との対談。彼らが在校した頃の横浜高校について赤裸々に
語っているのだが、ハッキリ言って完全なコンプライアンス違反(^^;)。
教師の実名とか、歯に衣着せずにぶっちゃけており、ずっと爆笑してたのだ
が、最後にはちょっと心配になった(^^;)。ココはマジで必見!

ちなみにこの対談集、コーディネイト&編集は堀江ガンツ
ガンツさんはやっぱりこういう方向に才能のある編集者だと思うんだけど。

「プロレススーパースター列伝」秘録

#ホゲ〜ッ

「プロレススーパースター列伝」秘録 / 原田久仁信

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1980年代前半
、まだ週刊プロレスが存在しなかった頃。
当時バカ売れしていた週刊少年サンデーの発売日を、毎週心待ちにしていた。
目的はもちろん『プロレススーパースター列伝』梶原一騎原作、そしてこ
の作品の著者である原田久仁信作画。このファンタジーに満ちた作品を、我
々は「真実」と信じ、熱狂的に支持していた。

そんな“列伝”の時代を、原田先生自らが振り返ったドキュメンタリー
原田氏の梶センセ(列伝内でブッチャーが梶原一騎氏をこう呼ぶ)に対する
愛情に溢れ、まだハイテクが無かった頃の熾烈な週刊連載の状況が克明に記
されている大作。あまりにおもしろく、1日かからずに読了してしまった。

何よりもおもしろかったのが、梶センセのファンタジーを、原田氏が一応検
証していた、という事実。マスカラスが怪我を治したウラウナ火山の温泉は、
インターネットの無い時代に現地(メキシコ?)の地図を手に入れて所在を
確認したし、ブッチャーに空手を教えたガマ・オテナ先生の実情も確かめて
みたらしい。もちろんどちらも見つかるワケは無い(^^;)のだけど、ならば
これは“本当”と信じてあの場面を描いた、という。こういう人がプロレスの
マンガを描いてくれたことが、本当にありがたい。

同年代のプロレスファンと列伝の話をする時、議題は「どこまで本当か?」
であることが多い。くだらないことを喋るだけ喋った挙げ句、「全て嘘」
いう結論に辿り着く(^^;)。こんなに楽しい話のネタを与えてくれた「列伝」
にも、梶原一騎先生にも、もちろん原田久仁信先生にも、僕は大きく感謝し
て止まない。

プロレススーパースター列伝は、全17巻全てがKindle Unlimited対象なので、
ぜひこれ等を読破したからこの本を読んで欲しいところ。当時の少年たちの
心を鷲掴みにした全盛期昭和プロレスの正体を、ご堪能あれ!

「してはいけない」逆説ビジネス学

#麺ジャラスK


開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も
 続けてきたプロレスラーが伝える 「してはいけない」逆説ビジネス学
/ 川田利明(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年に発売された川田利明ビジネス本
川田と言えば、全日本プロレス四天王一角であり、同団体の最盛期を創造
したメンバーの一人。それだけの名選手でありながら、引退を表明すること
なくリングから遠ざかり、2010年にラーメン店「麺ジャラスK」を開店。
2024年の現在もお店は健在

プロレスラーとしての川田は、正直苦手なタイプだった。と言うのも、古く
から新日派だった僕にとって、説得力しかないプロレスを体現する川田は
でしかなく、当時の新日本のエース級・・・橋本・武藤・蝶野など・・・の勝ち
目は薄い、とか思っていたから(^^;)。まぁ、後にハッスルに参戦し、その
懐の深さを魅せられた時には違う印象を持ったのだけど。

そんな川田が、自身の経営するお店が10周年を迎えたところで出版したのが
この作品。ラノベの如く「タイトルを読んだだけで内容が解ってしまう」系。
ほぼ何も考えず、居抜き物件でラーメン屋を始めてしまった自分の経験談
失敗談が記されているのだが、まぁ言葉のチカラがあまりに凄い。もしこれ
からラーメン屋を始めよう、と考えている人がコレを読めば、確実に考え直
すに違いない。

ちなみに、プロレスのことはほぼほぼ出て来ないので、その手の内容を期待
するファンは手を出さない方が吉。逆に言えば、プロレスファンでは無い人
にはやたら響きそう。こんなところでも“説得力”を発揮するのだから、やっ
ぱり凄いよな、デンジャラスK