逃亡刑事

#あれ?


▼逃亡刑事 / 中山七里(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来た中山七里作品。
刺激的なタイトルから察するに、男臭いハードボイルドなエピソード、と
決めつけて読み始めたのだが、なんと主人公は女性刑事。まぁ、だからと
言って男臭いハードボイルドという予想はある意味当たっていたのだが。

千葉県警所属の刑事が殺害される、という事件が発生。女性ながらに捜査
一課で検挙率トップを誇る“アマゾネス”こと、警部・高頭冴子は捜査を開
始。偶然殺人現場を見てしまった少年・御堂猛から話を聞くうちに、とん
でもない事実が判明して・・・という内容。

諸々の要素を意外なカタチで絡め、そこから謎を深める、という手法は
確かに中山七里作品なのだが、この物語に関してはかなり「?」マーク
問題はクライマックス付近で起こる一発逆転の部分で、ここで起きる騒動
とその決着の付け方があまりにファンタジー(^^;)。そして、氏の得意技
であるハズの“どんでん返し”がすっかり影を潜め、物語の前半で怪しい
と思った人物がアッサリと真犯人(^^;)。う〜ん・・・。

残念ながら、これまで読んだ中山七里作品でいちばん手応えが無かった
もしれない。こういうこともあるんだなぁ、たまには・・・。

電子版Gスピリッツ

#電子書籍向きコンテンツ


▼電子版Gスピリッツ vol.01・vol.02(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和プロレスファンにとって”バイブル”とされる季刊誌、Gスピリッツ
最初はゴングの流れを汲むちょっと豪華なプロレス雑誌だったのだが、
ある時期から内容が『プロレス史』特化古き良き時代をデータとし
て叩き込みたい、という願望は、昭和からのプロレスマニアのサガ(^^;)。
もちろん僕も創刊号から1号も逃さずに入手しているのだが・・・。

古くて貴重な写真が多々掲載されている資料性に富んだ専門誌なので、
紙の本として手元に置いておきたいモノなのは間違い無いのだが、掲載
されている記事に関しては以前から「電子書籍向き」だと思っていた。
さすがに編集している皆様もこの点は理解しているようで、雑誌自体を
電子化するのを避け、数号に渡る連載記事をある程度まとめて電子書籍
にした模様。いやぁ、やっぱりよく解ってるなぁ、と感心。

現在、期間限定キャンペーン中で、vol01・02共におよそ半額で入手可。
内容はかなりマニアに寄ったモノなので読む人を選ぶと思う(^^;)のだが、
興味のある人はぜひ!佐山サトルに関する記述とか、かなり面白いので。

※追記
Amazonのアソシエイトが書影の提供を中止しやがった(–X)。
以前に書いたブックレビュー、全て書影が消えていると思いますが、
購入検討の方はタイトルで検索してください。お手数おかけします!

Malice Angle

#ストロベリーナイト


▼マリスアングル 警部補 姫川玲子 / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也・ストロベリーナイトシリーズの新作は、予想通り長編
シリーズ前作の『オムニバス』で予告されたとおり、捜査一課・姫川班
“ザ・所轄おばちゃん”こと、魚住久江が合流。対極とも言える姫川玲子と
魚住、最初は「混ぜるな危険!」と思っていたのだが・・・。

基本は年下の上司である姫川が魚住を立てる展開(^^;)。
あの姫川玲子にそういう人間的な感覚があった、という事実が新鮮な上に、
魚住がその姫川の掌の上を縦横無尽に泳ぐ。思ったよりすばらしいコンビ
ネーションは、かつての鶴龍コンビを彷彿とさせる見事なタッグワーク

おもしろいのは、鶴田の立場が姫川であり、天龍魚住であること。
おかげでこれまで地味だった魚住が圧倒的に目立つ構成になっており、こ
の状況が非常に新鮮。コレ以降も長く続くタッグチームになって欲しいの
だが、鶴龍も短命だったんだよなぁ、実は(^^;)。

この二人の動向に注目が行きがちだが、ストーリーもかなり・・・。
前作の『ジウX』“中国”に踏み込んだ誉田哲也だが、今作でスポットが
当たるのは“在日”際どいところを突きながら、骨太スリリングなスト
ーリーを展開してしまうのが、最近の誉田哲也のスタイル。正直ヒヤヒヤ
するのだが、読み応えは抜群。個人的には大きく評価する。

少なくとも、次作までは姫川&魚住コンビが楽しめそう。
この展開が、少しでも長く続きますように!

売春島

#タイトル


▼売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ / 高木瑞穂(Kindle版)

Kindle Unlimitedで適当に選んだノンフィクション
高木瑞穂という作家はもちろん初めてで、コレをチョイスしたキッカケ
ストレートなタイトルにあったのだが・・・。

三重県志摩市に実在し、かつては街を挙げた「売春」行為で潤っていた
渡鹿野島に関するルポ。島のルーツや関連する人々に対する取材綿密
で、隆盛期から衰退した現在までをしっかりフォローしている。が・・・。

ちょっと前に数作一気に読んだ國友公司作品と比較すると、臨場感に欠
ける感否めず。緊迫感を煽る書き方をしているところが正直あざとく
今ひとつ盛り上がりに欠ける。タイトルがタイトルだけに、もう少し
っぽい話を混ぜることも出来た気がするが、もしかしたらそういう描写
が苦手なのでは?と勘ぐってしまう。

一応読破したが、後半はちょっと苦痛(^^;)。
他著作を調べたところ、それなりに興味を惹くモノはあるのだが、また
タイトル詐欺だったらイヤだなぁ、と。う〜ん・・・。

ホワイ・ダニット

#エンマ様


▼ホワイ・ダニット / 佐藤青南(Kindle版)

佐藤青南行動心理捜査官・楯岡絵麻シリーズ第9弾
前にレビューした『楯岡絵麻vs佐藤青南』はどうやらシリーズ外の扱い
だったらしく、本作から2Wordsのタイトルが復活。今回も定番連作
短編の体を取っている。

シリーズがここまで長くなったおかげか、かつては組織内敵対してい
同じ捜査一課のメンバーとの関係性が微妙に変化。エンマ様こと、
岡絵麻とその部下・西野が主導権を取っているのは間違い無いが、以前
は難癖を付けることしかしなかった筒井・綿貫コンビとの間に“絆”が生
まれているところが非常に微笑ましい。

ただ、ちょっと残念なのは若干のネタ切れを感じること。
連作短編ではもう出し尽くした感があるので、前作から貼られている
を生かした長編で、そろそろ決着を付けるタイミングだと思う。次は
第十弾。丁度いいよね、きっと。

ちなみに今回の旅の往路で一気に読ませていただきました!
・・・読書するには良いよな、長時間フライトって。