INOUE vs NAKATANI

#MONSTER #BIG BANG


東京ドームで55,000人を集めて行われたボクシング『THE DAY』。
サブタイは「やがて、伝説と呼ばれる日」。やがてどころか、終了した瞬間
に伝説になる、という、凄まじい興行だった。

メインイベント、四団体統一世界スーパーバンタム級選手権。
王者の井上尚弥に挑んだのは、チャンピオン同様PFPにランクインしている
元バンタム級統一世界王者、中谷潤人。世界的に観てもこの日本人ボクサー
対決は“夢のカード”であり、負けた方に初黒星がつく、ある種残酷な闘い。

僕の戦前の予想は中谷勝利。
何度も書いてきたが、井上尚弥という不世出の名選手が敗れるのであれば、
それは中谷潤人以外にあり得ない、と思っていたから。もっと理由を付ける
のであれば、リーチ・体格・年齢など、フィジカルの全てで中谷に分がある、
と思わざるを得なかった。しかし、心情的にはやはり井上。この予想を覆し
て欲しい、と願いながら、この世紀の一戦を見守ったのだが・・・。

・・・すばらし過ぎる試合。
12ラウンドに渡るせめぎ合いは、正にボクシングの神髄。両選手にダウンは
無く、お互いが持ち味を充分に発揮した“ザ・ボクシング”。フィジカルでは
劣っていた筈の井上尚弥のテクニックはちょっと表現の仕方が見つからない
ほど”完璧”であり、あの中谷を圧倒したのだから凄い。

さらに凄いのは、中谷も自らの価値を全く落とさない試合をして魅せたこと。
井上尚弥とあそこまで高度なボクシングが出来た選手を、少なくとも僕は知
らない。タラレバの話になってしまうのだが、もしこの世に井上尚弥が存在
しなければ、中谷潤人がその位置に君臨していたのは間違い無い、と思う。

そして、試合の展開も予想外過ぎた。僕の展開予想は、
“中谷が序盤から飛ばし、3ラウンドまでに左の打ちおろしを当ててKO勝ちを
狙う”、そして、“もし3ラウンドまでに井上が倒れなければ、その後は動きを
覚えた井上がペースを握り、後半でKO、もしくは判定勝ち”という流れ。
しかし展開は全く逆で、中谷は得意の左を後半まで温存し、9・10ラウンド
で大鉈を振るった。逆に井上は前後に出入りの激しい基本に忠実なボクシン
グを全編で展開。自分の見る目の無さが情けなくなると共に、二人の偉大な
ボクサーを改めて心からリスペクトしてしまった。

井上尚弥、3-0の判定勝利。
KOこそ無かったモノの、観ていた全員が納得できる結果。こんな凄い試合、
一生のうちに一度観られるかどうかだと思う。

この試合、充分間を空けた状態で再戦して欲しいところ。
願わくば、フェザー、もしくはスーパーフェザーの王者になった井上尚弥に
中谷が挑戦し、王者になる、というパターンが理想。そう、ハッキリ言えば、
井上尚弥のラストマッチの相手に相応しいのは、やっぱり中谷潤人しかあり
得ない、との思いが、より強くなってしまった。

井上も中谷も、今後の展開が非常に気になる。
しかし、今は少しゆっくり休んで欲しい。あれだけの試合を魅せてくれたの
だから、それくらいは我慢するので(^^)。

Africa

#ONGAKU-SENKA


『今日のiPod「POP」から流れた曲』。
言わずと知れたTOTOの名曲カバー作品で、7〜8年前にスマッシュヒット。
あの超絶テクニカルバンドの曲を見事にカバーしたのは・・・。

Africa by Weezer.
リヴァース・クオモ率いるウィーザーはL.Aのロックバンドで、90年代中盤
のデビューの頃から影響力を発揮。Windows 95の付録としてMVがバンドル
されるなど、世界的に知名度の高いバンドらしいのだが、僕はこのアフリカ
で初めて存在を知った(^^;)。

このカバーの完成度が異様に高く、それ以来ウィーザーを追いかけることに
なったのだが、まぁすばらしいセンス。TOTOとは全然違った意味で“テクニ
カル”なバンドが、TOTOを演ってしまう、というギミックが最高である。

ただまぁ、僕の様にこの曲がウィーザーの入口になった人は多いと思われる
が、バンド本来の魅力はこの曲と全くテイストが違う、と思ってくれた方が
良いかもしれない(^^;)。出来れば↓↓この名曲も聴いて貰えれば。

とはいえ、↓↓のカバーアルバムが名盤、ということも間違い無い。
ハマるといろいろ大変なんだよなぁ、このバンド(^^;)。

▼Weezer (Teal Album) / Weezer

武尊、史上最高のラストマッチ

#唯一無二


昨日、有明アリーナで行われた『ONE SAMURAI 1』のメインイベントにて、
元K-1三階級制覇王者の武尊がラストマッチ。対戦相手は昨年1RKO負けを
喫しているムエタイの強豪、ロッタン・ジットムアンノン。戦前の予想は、
大方でロッタン。僕も個人的に、武尊は玉砕して終わる、と思っていた。
・・・が!!!

最後の最後で、武尊は全盛期を取り戻していた。
あのロッタンを相手に距離を詰め、背筋が凍り付くような打ち合いを選択。
時折被弾こそするモノの、全く動じずに倍返し。驚いたことに、試合が進
むうちに武尊の表情が変化。数多の強敵をビビらせた『武尊スマイル』ま
でもが、完全に復活していた。

武尊はロッタンから2Rに2度のダウンを奪った。
ロッタンはダメージを否定したが、タイミングで2度ダウンなどしない。
それでもさすがにムエタイ最強の男だけあり、3R・4Rはロッタンが攻勢。
それでも武尊の表情は全く変わらず。この段階で、武尊の勝利を確信した。

しかし、最後はさらにドラマチックに。
5R、武尊の右フックがロッタンの顎を捉えた。ロッタンは深刻なダウンか
らなんとか立ち上がったモノの、武尊はコーナーでロッタンをタコ殴り。
レフェリーがすぐにストップを掛け、武尊のTKO勝ちが宣言された。

・・・何度でも言う。相手は、ロッタンである。
戦績を調べると、キャリアのごく初期にKO負けの記録こそあるモノの、そ
の後はダウンの記録が無い(と思う)。天心やスーパーレックに敗れてい
るが、負けも殆どが判定。つまり武尊は、あのロッタンにKO勝ちする、と
いうとんでもない勲章を、最後の最後で手に入れたことになる。

・・・どれだけカッコイイんだ、このキックボクサー。
天心戦での痛恨の敗北と、その後の低迷をこの一試合で完全に払拭し、な
んならタイトルまで獲得した上での引退。こんなラストマッチ、武尊以外
に誰が出来るというのか?

いやもう、泣きました。
そして、武尊には最大限の感謝とリスペクトを。もし武尊が居なければ僕
は新生K-1を追うことは無かったし、天心とのTHE MATCHが無ければ、お
そらく格闘技自体を見限っていたと思います。本当に、お疲れ様でした。
心から「ありがとう」を言わせてください。武尊、最高!

レスリング肥前の国

#njHIZEN


新日本プロレス『Road to レスリングどんたく2026』SAGAアリーナ。
今日の大会は「レスリング肥前の国」というタイトルが付いており、この
前の広島大会同様に単なるシリーズの一戦に納まらない特別な大会。
この大会の“主役”として、本当に久しぶりに抜擢されたのが・・・。

7月に引退を控えている四代目タイガーマスク。
極悪の限りを尽くし、長期政権を築いているIWGPジュニア王者・DOUKIに
ケンカを売り、「佐山サトルのストロングスタイルで潰す!」と宣言した
四虎の、おそらく最後のビッグマッチ。
さすがにインパクトの強い試合が期待出来る、と思っていたのだが・・・。

僕は随分昔の段階で四虎を見限っている。
佐山の直弟子としてみちのくプロレスでデビューし、新日本に移籍してか
らも数年間は期待しつつ応援していたのだが、NOAHとの対抗戦、具体的
には丸藤正道との一戦での内容があまりに非道く、大いに落胆。その後は
全く巻き返すことが出来ず、伝統の虎の仮面を被りながら中堅、もっとハ
ッキリ言うのなら“ジョバー”としてここまでダラダラ現役を続けて来た。

しかし、今回の試合は前哨戦等でしっかりお膳立てが出来上がっており、
挽回出来る最後のチャンス。僕も最後くらいはかつての「強いタイガー」
が観られるのでは?という淡い期待を抱いていたのだが・・・。

・・・期待した僕がバカだった(^^;)。
キャリアは四虎の半分以下なDOUKIにゲームメイクを頼り切り、ピリッと
したところが一切無い。正直、勝てるとは思えない試合ではあったのだが、
負け方も試合の内容も、新日本プロレスのメインに相応しいとは思えない。
必死に試合を組み立てたDOUKIが、ちょっと気の毒に思った。

ライガーや棚橋も、晩年の勝率は当然良くは無い。
しかし、勝ち負けを超えたところで強烈な印象は残し続け、結果惜しまれ
ながら引退した。もちろん、四虎にそこまでは望んでいなかったのだが、
この内容はどうなのか?あと2ヶ月、しっかり考え直す必要があると思う。

TAKAみちのくと激しくやり合ったデビュー時、難敵のドス・カラスを破
って優勝したふく面ワールド、UFOのリングで当日のベストバウトと評さ
れた日高戦など、印象的な試合が幾つもあったんだけどなぁ、四虎には。
マジでガッカリしました、今日は。本当はもう、あんまり酷いことを言い
たく無いんだけど・・・。

52ヘルツのクジラたち

#52Hz Whale


▼52ヘルツのクジラたち / 町田そのこ(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年の本屋大賞を受賞した町田そのこの出世作。
未だ昨日のことのように感じる(^^;)のだが、今年の1月の緊急入院時、まと
めて購入した電子書籍の中の1冊。言ってしまえば「読み忘れ」。どうして
コレだけ忘れていたのか、全く原因が解らないのだが・・・。

もの凄くザックリ言うと「虐待」、そしてそこから立ち直る人たちの物語。
ハッピーエンドにこそなっているが、正直内容はやたら重く、読むのがかな
り苦痛な部分も多々ある。しかし、文体に良い意味での軽妙さがあり、その
重さが丁度良く緩和。当然、虐待に関する描写がメインとなるのだが、スパ
イスとしてトランスジェンダーや認知症などの近年型社会問題がさりげなく
入っているところが凄まじい。そんな最悪とも言える状況の中で「確かな友
情」もしっかり表現。緩急の付け方は満点、と言って良い。

そして、印象的なタイトルがしっかりと伏線になっており、かなり意外な形
で回収されるのも見事。初めての町田そのこ作品だが、「読ませる」技術に
長けた作家であるのは間違い無い。そりゃあ本屋大賞取るよな、と素直に感
じた。

もしこの作品を読んで感じるところがあれば、今もどこかで実在する「世界
でもっとも孤独な鯨」の声を聴いてみることをお勧めする。
機会があれば他の作品も読んでみたいなぁ、この作家さんは。