「猪木」

#目撃者


▼「猪木」 / 原悦生

G SPIRITSムックvol.17「アントニオ猪木を撮り続けた男」こと、カメラ
マン・原悦生氏のノンフィクション。

原さんと言えば、伝説の猪木・アリ戦における「猪木のハイキックシーン」
を押さえたカメラマン。若かりし頃から一貫して猪木を撮り続け、この本の
記述によると猪木本人から【死に際の写真】を頼まれているらしい。

この本の中には、僕も足を運び、なんならリングサイド席で観戦した試合も
多々含まれている。にも関わらず、何故かリングサイドに入っている原さん
をイメージ出来ないのは、原さんがプロフェッショナルである証拠。猪木の
格好いい写真は、おおよそが原悦生撮影の作品なのが凄い。

いわゆる「猪木本」の類は、これまで何十冊も読んで来たが、この作品は
そのどれとも違う【迫力】、そして【説得力】おびただしく溢れている
なにしろ、プロレスラーのアントニオ猪木だけでなく、政治家のアントニオ
猪木の写真を世界中で撮影したカメラマン。元新聞記者だけに文章も上手く、
氏の切り取った“猪木”という概念が、リアルに届いてくる。

ビックリしたのは、サッカーの写真でも超高名なあの原さんが、今で言う
「カメラ小僧」(^^;)だったこと。
団体の許可を取らずに勝手にリングサイドで撮影を行う高校生、なんて、今
の世では絶対に許されない。そこから今の位置まで上り詰めたのだから、や
っぱりこの人も只者では無い。

考えたくは無いが、おそらく『アントニオ猪木の遺影』原さんの写真にな
ると思う。出来ればそんなシーンは観たく無いけど・・・。

DOMINION 6.12 in OSAKA-JO HALL

#njdominion #JustYourEra


新日本プロレス『DOMINION 6.12 in OSAKA-JO HALL』
最初に言っておくと、今回は珍しく注意力が散漫になるような大会で、途中
何度か眠くなった。初夏の大阪ビッグマッチでこうなるのは珍しいのだが・・・。

メイン、IWGP世界ヘビー級選手権
オカダ・カズチカの5度目の防衛戦の相手は、苦手のジェイ・ホワイト
とはいえ、米国遠征を控えた今、オカダが負けるとは微塵も思わなかったし、
トーンダウンしまくった大会はそのまま終わる、と決めつけていた。

終始主導権を握っていたのはジェイ
試合にメリハリを付ける反則パフォーマンス、そして説得力に溢れる
数々。誤解を恐れずに言えば、かつてのリック・フレアーのようなダーティ
ーファイトを展開しているのに、『弱さ』を全く感じない。

・・・今日に限って言えば、ジェイの方がよっぽどチャンピオンらしかった
オカダを怒らせ、技を出させまくった上での逆転勝ち。それでいて、得意技
のブレードランナーで決めて魅せるのだから、恐ろしい。

何年か前に、ジェイはあと4〜5年でケニー・オメガに並ぶ、と書いた覚え
があるのだが、正直今のジェイはあの頃のケニーを既に超え、中邑AJ
比較しても遜色ないプロレスラーになった気がする。

今のジェイを攻略出来、その上で今後の展開をおもしろく出来る選手・・・。
心当たりは2人居る。1人はウィル・オスプレイだが、まぁ外人(^^;)。
もう1人は・・・。タナ、出番が来たんじゃないの?

POUND FOR POUND

#PFP


遂に・・・。遂に、日本人プロボクサーが、世界最高権威を獲得!

米国『THE RING』こと、リングマガジンが独自に選定するPFPランキングにて、
バンタム級三冠王井上尚弥1位を獲得。これで尚弥はカネロウシク、もっ
と言うならアリタイソンと同じ位置まで上り詰めたことになる。

ちなみにPFPとは【Pound For Pound】の略で、凄〜くカンタンに説明すると、
「もし全員が同じ体重だった場合」ランキング。このランキングはESPN
ボクシングシーンなども選定しているが、歴史的に見てリングマガジンのラン
キングが世界でいちばん価値がある、とされる。

・・・一時期、山中慎介で夢を見たが、さすがに叶うことは無かった。
日本人がこの位置に行くなんてことはあり得ない、とある種諦めていたのだが、
井上尚弥の登場で夢が再燃。まさか、本当に実現するとは・・・。

正直、個人的には四冠統一よりもこちらの方が価値がある気がする。
井上尚弥の全盛期に生きてて良かったよ、本当に。

INOUE vs DONAIRE 2

#PFP #三冠王


さいたまスーパーアリーナ、井上尚弥ノニト・ドネア再戦
前回と違うのは、ドネアWBC王座を奪取し、しっかり再戦の資格を持つこ
とをアピールした上での【王座統一戦】であること。

尚弥のキャリアを振り返って考えてみると、間違い無くいちばん苦戦したの
がドネアとのWBSS決勝戦。それだけで充分ドネアに挑戦する権利はあると
思うのだが、世界王者にカムバックしたドネアはおそらく今が“最強”の状態。
いくら尚弥でも、さすがに苦戦する、と予想。

1R、ドネアがいきなり伝説の左フックを振るう。
尚弥は辛うじてガードしたと思ったが、後の談話ではガードを割って被弾し
ていたらしい。一瞬焦ったが、尚弥は逆に冷静になり、ジャブを上下に打ち
分ける丁寧なボクシング。これは長くなるかな、と思ったのだが・・・。

初回終盤、尚弥が離れ際に放った右ストレート・・・チョッピングライト・・・が
ドネアのテンプルを捉える。ドネアはたたらを踏んでダウン。明らかなダメ
ージを抱えたまま、2Rへ。

チャンスを逃さない尚弥は、2R初頭から鬼のラッシュ
見るだけで頭痛がしそうなくらい強烈な連打を食らったドネアは防戦一方。
尚弥は手を止めず、コーナーに押し込んで連打・連打・連打。ドネアがコ
ーナーでうずくまる前に、レフェリーが試合を止めた。

・・・圧巻、としか言い様が無い。
あれからドネアは凄く強くなっている、と思っていたが、井上尚弥はその
何倍も強くなっていたらしい。今日の尚弥の戦いを観る限り、バンタム級
に敵はもう居ない。WBO王者ポール・バトラーは正直格落ちの感はある
が、行きがけの駄賃でタイトルをいただき、日本ボクシング史上初の四団
体統一を果たした上で、スーパーバンタム級でも世界王者になって欲しい。
カシメロ?誰だっけ、それ??

BEST OF THE SUPER Jr. 29

#BOSJFinal


新日本プロレス『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア29』決勝、武道館
大会生中継をCSテレ朝チャンネルにて。

決勝は高橋ヒロム vs エル・デスペラード
2年前の決勝と同一、ある意味鉄板のカードだが、ハードルは上がっている。
まず、前回のシングルが「究極の名勝負」であったこと、そしてデスペ
があの試合を機にヒロムと同じかそれ以上のところまで上がったこと。そう
いう意味で、内容が問われる試合

前半はかなりじっくりした展開。かつての新日本プロレスの王道のような
せめぎ合いだが、観る方にある程度の観戦キャリアが無いとちょっと厳し
い気が。これはちょっとヤバいなぁ、と思ったのだが・・・。

中盤から後半にかけての削り合い凄まじいレベル
おそらく二人はあえて前半と対比させることを狙ったのだと思うのだが、
その狙いは正にドンピシャ。二人とも、なんと凄い選手になったことか・・・。

お互いにフィニッシャーを出し合い、更にロコモノ(パンチ)まで交歓
気が付いたら30分が経過しており、その時はもう画面から一瞬たりとも
目が離せない状態に。

最後はヒロムが新技のタイムボム2.5を決め、完璧な3カウント。
ヒロムはどちらもBOSJ史上初となる4度目の優勝三連覇を達成した。

今回はデスペが行く、と思っていた僕なので、コレは嬉しい誤算
藤波辰爾と並んでも全く格落ちしないヒロムを、本当に頼もしく思った。
こうなったら、ヒロムにはさらに前人未踏2つ達成して欲しい。一つは
ジュニア王者のままヘビー級王者になること、もう一つは東京ドームの
メインをジュニアの試合にすること。高橋ヒロムは、ソレをやるのに相
応しい選手となったのだから。