拳王という劇薬

#DDT×殺伐


全くタイムリーでは無いのだが、5月4日に後楽園ホールで行われたDDT
「MAX BUMP 2021」をチェック。なぜコレを確認したかったのかと言う
と、第三試合終了後に↓↓こういう場面があったことを知ったから。

同じ会社に属しながら、社長である高木三四郎を全く認めていないNOAH
拳王が、スーツ姿でリングへ。何をするかと思ったら、大嫌いな三四郎に
深く頭を下げ、自らがコロナにかかってしまったことを詫びたのだが・・・。

なんと三四郎は拳王にスタナーを浴びせ、予てから6月のサイバーファイト
フェスへの出場を拒否していた拳王に出場を強要。この暴挙に対し、拳王は
「学芸会の延長とオレたちを一緒にするな!」と暴言で返す。ここでリング
に飛び込んできたのは・・・。

坂口征夫見参!
拳王と火のでるような睨み合いをして見せたのだから、マジで恐れ入った。

拳王と征夫の絡みは、誰もが見落としていた絶妙のマッチアップ
この刺激的すぎる組み合わせは、久方ぶりにDDTに「殺伐」をもたらすかも。
こうなった時のDDTは本当におもしろい。過去の棚橋vsHARASHIMAを上回る
可能性すらある。

それにしても、拳王というプロレスラーは本当に「宝」だと思う。
彼が絡む全ての試合はいつも注目を集めるし、話題性だけでなく内容も凄く
なる。正直、NOAHは早いうちに拳王を中心に回すべきな気がする。

サイバーファイトフェス、楽しみ!
・・・開催制限がかからないことを、心より願う!

“IKEMEN” JIRO on WWE 205 Live

#イケメン


WWE Network5/7(現地時間)にオンエアされた205 Liveにて、また一人
日本人プロレスラーWWEデビューを飾った。

SMASHでデビューし、全日本W-1を渡り歩いた黒潮”イケメン”二郎
WWEでのリングネームはなんと【”IKEMEN” JIRO】。日本でファイトしてい
た頃から自信で真剣に構築したイケメンというキャラクター、見事WWEにも
認められた模様。

日本と違うのは、入場時にリングに入りそうで入らない、というムーブのみ。
ジャケットを着たままの笑顔いっぱいのファイトは、僕らが良く知っている
イケメンそのもの。中邑真輔以降、WWEで活躍する日本人選手たちは良い意
味で「そのままの姿」での輸出。日本のファンは思い入れを持ちやすい。

オーガスト・グレイと組み、トニー・ニース&アリーヤ・デバリを一蹴して
魅せたイケメン。もしかしたらコイツ、アメリカですげぇ受けるかもしれな
い、と思った。

NXTを経由せず、いきなり205でのデビューとなったが、コレは昇格も早い
かも。戸澤中邑とタッグ組んでもいいんじゃないかなぁ、と。
これは今後に注目。もしかしたら、とんでもないことをやらかすかも!!

WRESTLING DONTAKU 2021 Day.2

#njdontakuDay2


新日本プロレス「レスリングどんたく2021」二日日。
ある選手(明らかにされていない)が発熱し、接触のあった選手全員が
出場停止。その余波で、セミファイナルIWGPジュニア選手権中止に。
こういうことがあると、改めてコロナに憎しみを感じる。

メイン、IWGP世界ヘビー級選手権
二代目王者ウィル・オスプレイが、鷹木信悟の挑戦を受けた。この2人
の絡みは以前からずっと“鉄板”。好試合は約束されていたに等しい。

昨夜のオールドスクールとは打って変わり、今風のハイスパートな展開。
感心したのは世界王者オスプレイが、そんな試合の中でもしっかりと
「間」を作り、新日本のメインイベントに相応しい消耗戦をチョイスし
たこと。消耗戦なら鷹木に分がある、ハズなのだが・・・。

徹底的なチャンスを幾つも作った鷹木だが、最終的に勝利したのは王者
のオスプレイ。当たりの強い鷹木の攻めをほぼ受けきった上で、パワー
ですら鷹木を上回った。『完勝』と言って差し支えは無い。

オスプレイは世界で初めてIWGP世界王座の防衛に成功
昨年のG1あたりから個人的にオスプレイがIWGP王者になるべき、と思
っていたが、実際にそうなって改めてそれが間違いでは無いと確信した。
スピード・テクニック・スタミナ・パワー、どれを取っても他に引けを
取らない。次はドームでオカダ・カズチカの挑戦が決まっているが、僕
にはオカダが勝つ、というイメージが全く持てない。

チャンスがあるとすれば全くスタイルの違う内藤ジェイ、本命はやっ
ぱり初代王者の飯伏か? 強い王者が軸にいると、その先の展開を考える
ことすら面白い。長期政権を希望。なんなら来年のドームまで、ぜひ。

WRESTLING DONTAKU 2021 Day.1

#njdontakuDay1


新日本プロレス「レスリングどんたく2021」初日。
まずは今年、福岡でのビッグマッチが開催されたことに感謝。場合によ
っては2年連続の中止も充分にあり得る状況だったので・・・。

初日のメインはNEVER無差別級選手権
王者棚橋弘至に、ジェイ・ホワイトが挑んだ一戦。棚橋のシングル、
それもタイトルマッチが新日本のメインになるのはかなり久しぶりかと。

双方共に作り込んだ肉体を披露。若いジェイはもちろんだが、既に40を
超えた棚橋が、この身体をキープ出来るのは驚異的。棚橋の足の具合が
悪いのは動きを見ていれば解るのだが、下半身がダメでも上半身をこれ
だけ鍛えられる、というプロ意識。尊敬に値する。

試合は・・・。
いやもう、完全にオールドファンが唸るようなプロレスらしいプロレス
二人とも基本に攻撃の的を絞り、そこからヒリヒリするような削り合
を展開。最近の選手なのに、棚橋がすれっからしのファンからも支持
されるのは、相手の技を受けるだけ受けた上で得意技で逆転、という、
アントニオ猪木から続く【風車の理論】を実践出来ているから。こうい
「色気」は、棚橋ならではのモノだと思う。

しかし、挑戦者のジェイにも僕は同等の評価を持っている。
ジェイも相手の技をスカすタイプではなく、おおよそを受ける。しかし、
致命的と思われる攻撃だけはしっかり回避し、最後は汚い手を使ってで
も勝ちに行く。いわば【昔の世界王者】のプロレス。あれだけの若さで、
こういう試合の出来る選手を、僕は他に知らない。

結果、外道の介入をキッカケにブレードランナーを決めたジェイの勝利。
ジェイはこれで新日本のグランドスラム(IWGP・IC・US・NEVER)
達成したことになる。 現在ではUS王座が本当にアメリカで稼働するタイ
トルになっている上に、IWGP王座・IC王座が消滅しているが故に、コレ
を達成できる可能性のある選手はもうほぼ居ない。

おそらくジェイのNEVER王座も長続きはしないが、グランドスラマー
勲章は消えない。ジェイとオスプレイ、どちらが新日本の外人エースに
相応しいのか、これから先1〜2年の彼らに注目すべき。

そして百年に一人の逸材・棚橋弘至は、今後どこに向かうのか?
あまり寂しいことにはなって欲しく無いなぁ、本当に。

“黄金の虎”と”爆弾小僧”と”暗闇の虎”

#奇跡の英国トライアングル


▼”黄金の虎”と”爆弾小僧”と”暗闇の虎” / 新井宏

G SPIRITS BOOK VOL.14としてリリースされた作品。
著者の新井宏氏は、G SPIRITSで秀逸なインタビュー記事を幾つも手掛けた
人で、あのダイナマイト・キッド最後のインタビューを敢行した日本人
として知られる人。おそらく古今東西の英国マット事情に一番あかるいプ
ロレスライターである。

そんな新井氏が【タイガーマスク】を書く。そうなると絶対に外せないの
は、初代タイガーマスクこと佐山サトルと一緒に時代を築いた二人の偉大
な英国人プロレスラー。もちろん、ダイナマイト・キッドローラーボー
ル・マーク・ロコである。

佐山の新日本プロレス入門から現在に至るタイムラインの中に、キッドと
ロコの二人の人生をバランス良く織り交ぜているのがポイント。どちらか
と言えば主軸は既に故人となっているキッドとロコの二人であり、彼等の
凄まじいキャリアがストレートに入ってくる。文体は淡々としたドキュメ
ンタリーなのに、そこには確実に「熱い何か」が。恥ずかしながら、二人
が永眠する件を読んでいる時、嗚咽を交えて号泣してしまった。

『爆弾小僧』『暗闇の虎』も、もうこの世に存在しない。
そんな揺るぎない事実を突きつけられた上で、改めてキッドとロコの稀有さ
を思い知った。

この本を書いてくれた新井氏を心の底からリスペクトすると共に、感謝の
言葉を贈りたい。「傑作」をありがとう、と。

・・・そして残された佐山先生、お願いだから1日でも長く生きてください
『黄金の虎』は、僕らの最後の牙城なのだから。