フィルム、時を止める魔法

▼谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法 / 柊サナカ

シリーズ2作目を当然の様に読む。
感覚的には前作とひとつなぎ。物語はゆっくりと、しかし怒濤の展開(^^;)に。

今回もかなりニヤっとする名器モチーフのエピソード多々。
ニコンF2チタン、ライカM3、プララウベルマキナ67、コンタックスIIaみたい
な、“ザ・レトロカメラ”的なチョイスに加え、スパイ用カメラのミノックスや
マジレトロなハンザキヤノンまで加えてくるあたり、実にマニア心をくすぐる。
そしてメインストーリーにはならないものの、僕自身も使っているローライ35
やプラモデルカメラが登場。正直心が躍った。

前作でマニア以外の反応を気にした僕だが、ここまで読むと逆の感情が芽生え
てきた。もしかしたら、この作品を読むことでフィルムカメラに興味を持つ層
が増えるんじゃないか? そんな気がしてきた。

なぜなら、各カメラから紡ぎ出される“ミステリー”が普通にキラキラしている
し、ゆっくりと着実に進むラブストーリー展開も若年層が絶大に支持しそう。
つまり「読み物」として非常に優秀。ドラマにしてもいいかもしれない。

コレ、シリーズ略称を付けるとしたらなんなんだろうね?
今後絶対に必要になると思う。誰かが良い呼称を考えてくれるといいな・・・。
とにかくこの3日間、このシリーズのおかげで本当に幸せでした。ありがとう!

願わくば、次作ではぜひOLYMPUS PEN-Fを採り上げて欲しい。
そんなエピソードが読めたら、きっと胸がいっぱいになると思うので。

谷中レトロカメラ店の謎日和

▼谷中レトロカメラ店の謎日和 / 柊サナカ

僕のtwitterアカウントはほぼカメラ・写真アカウント。
最近すっかりご無沙汰(^^;)になっているのだけど、クラシックなフィルムを
使うカメラをやたらたくさん集め、素人リペアするのが趣味になっている。

そんなtwitterのTLで流れてきたのが↑↑の本の新作。
カメラバカでありながら、こんな魅力的なタイトルのシリーズを知らなかった、
というのが悔しい。っつーか、このミスまで取ってんじゃん・・・。素人レビュア
ーとしても失格だ、こりゃ(^^;)。

そんなこんなで速攻で入手した柊サナカ著「谷中レトロカメラ店の謎日和」。
・・・最初にハッキリ言いましょう、どストライクですよ、コレは♪

パルナックライカ、ニコンF、ローライスコープ、ゼンザブロニカにシグネット、
更には110のハリネズミカメラまで、フィルムカメラバカならそこらじゅうを
のたうち回って悶えそうなネタが全篇に展開される。商品説明のディテールも
かなり細かく、それをかなりハイレベルなミステリーに昇華させているのだか
ら、文句の付けようが無い。いやもう、最高です!

ただし!
コレってクラシックカメラマニア以外の人はちゃんと理解出来るんだろうか?
という心配アリ(^^;)。まぁ、このミスを取ってるくらいだから、ある程度の
コマーシャリズムはあると思うのだが、そのへんの客観的な判断がカメラバカ
の僕にはちょっと無理(^^;)。だから同好の士にだけ、自信を持ってオススメ
しておきます。

さぁ、新作読もう!

ハーメルンの誘拐魔

▼ハーメルンの誘拐魔 / 中山七里(Kindle版)

「ヒポクラテスの憂鬱」後半にちょっと登場した古手川刑事の上司、犬養隼人。
僕が中山七里にハマったのは刑事犬養隼人シリーズ「切り裂きジャックの告白」
であったため、その登場に「うおおおお!」という感じになった。アチラ読了
の後、条件反射で犬養タイトルロールを読みたくなり、Kindleストアを覗いた
ところ、しっかり出てるよ新作が(^^;)。文庫まで我慢できずに購入しました・・・。

本当は恐ろしいと言われるグリム童話の中でも、その不気味さと恐ろしさ、そ
して救い様の無さに定評のある「ハーメルンの笛吹き男」を元ネタに繰り広げ
られるミステリー。次々にさらわれるのは全員女子高生、そして彼女らには全
員に共通点があって・・・という感じで展開される大規模な誘拐事件の顛末を描い
たもの。

犬養シリーズはどの作品もやや重いモノが多いのだが、今回も相当な「重さ」。
現実世界でも実際に起こった「子宮頸がんワクチンの副作用(副反応)」とい
う“薬害”がテーマとなっており、読中に始終どんよりした気分になる。娘も無
く、何なら女性でも無い僕でも漠然とした怒りが沸いてくる程のリアリティは
やはり極上。最初から最後まで持続する緊張感もさすがである。

ただ、今回は珍しく全体の半分を読んだところで犯人の目星がついた。
“どんでん返しの帝王”の異名を持つ中山七里の作品としては珍しい事態なのだ
が、この作品ではテーマ寄りのスタンスをチョイスしたのだと思う。この件に
ついて何も知らなかった僕のような人たちに関心を持たせた段階で、目的は果
たされているんだろうなぁ、きっと。

ところで、「ハーメルン」が伏線として機能していない、有効で無い、という
書評が幾つかあるが、“社会的な嘘”と“それに引き摺られる子どもたち”が相対
的に描かれている段階で充分なモチーフ。正直、そこに突っ込む必要は全く無
いと思うのだが・・・。

テーマがテーマだけに、読む人を少し選ぶ傾向があるかも。
社会派ミステリー好きには鉄板でオススメしておきます。

ヒポクラテスの憂鬱

▼ヒポクラテスの憂鬱 / 中山七里

何気に中山七里強化月間。
前作の「ヒポクラテスの誓い」がやたら面白かったので、思わず続編をハード
カバーで購入。本日よりWOWOWでオンエアされたドラマが始まる前に、無事
に予習完了!

前作同様、読み応え抜群の法医学ミステリー。
新作も連作短編なのだが、全てのストーリーに共通のキーワード「コレクター」
が絶妙に絡み、ちょっとした長編を読了したような手応えが。そして登場する
“遺体”の状況もバラエティに富み、起こる事件も謎がさらに深くなっている。
さらに主人公の医師・栂野真琴と、中山七里作品のロースターである刑事・
古手川和也の間にロマンスの予感が。いやぁ、全部入りだな、この本♪

もしかしたらこのシリーズ、医療ミステリーの大定番になる可能性大。
法医学をテーマにした他作品と比較しても、完成度は群を抜いて高い気がする。
次作が出たらすぐ読んじゃうな、きっと。

・・・WOWOWの連続ドラマWについてはまた稿を改めて。

暗闇の虎と東京プロレス

▼G SPRITS Vol.41

本日発売のMOOK「G SPIRITS vol.41」が凄い。
巻頭には初代ブラックタイガーこと“ローラーボール”マーク・ロコの2万字イン
タビュー。言われてみれば知名度は抜群のブラックなのに、これまでそのサイ
ドストーリーが語られることは無かった。現在のロコを捕まえたG SPIRITSの
スタッフに感謝すると共に、最高のリスペクトを表したい。

それだけでなく、今号の特集は「東京プロレス」。
本当に“伝説”となっているアントニオ猪木vsジョニー・バレンタインのカード
を組んだ幻の団体について、猪木を始めとしたレスラーや団体関係者がインタ
ビューに応えている。

上記の2本に加え、佳境に入った連載「WWE前史」や「リスマルク特集」など、
今回は飛ばすべきトピックが一つも無いすばらしい構成。出版形態はMOOKだ
が、これはもう上質な研究書である。

このMOOK、本当に末永く続いて欲しい。
リリースされるのであれば、どこまでも購入するつもりなので。