暗闇の虎と東京プロレス

▼G SPRITS Vol.41

本日発売のMOOK「G SPIRITS vol.41」凄い
巻頭には初代ブラックタイガーこと“ローラーボール”マーク・ロコ2万字イン
タビュー。言われてみれば知名度は抜群のブラックなのに、これまでそのサイ
ドストーリーが語られることは無かった。現在のロコを捕まえたG SPIRITSの
スタッフ感謝すると共に、最高のリスペクトを表したい。

それだけでなく、今号の特集は「東京プロレス」
本当に“伝説”となっているアントニオ猪木vsジョニー・バレンタインのカード
を組んだ幻の団体について、猪木を始めとしたレスラーや団体関係者がインタ
ビューに応えている。

上記の2本に加え、佳境に入った連載「WWE前史」「リスマルク特集」など、
今回は飛ばすべきトピックが一つも無いすばらしい構成。出版形態はMOOKだ
が、これはもう上質な研究書である。

このMOOK、本当に末永く続いて欲しい
リリースされるのであれば、どこまでも購入するつもりなので。

東京二十三区女

▼東京二十三区女 / 長江俊和(Kindle版)

お馴染みKindleストアのリコメンド作品。
長江俊和という作家の作品を読むのは初めてなのだが、その名前にどこか聞き
覚えアリ。調べてみたら、CXのカルト番組「放送禁止」の監督・脚本を務めた
演出家。あの番組の“逼迫する怖さ”に惹かれまくっていた覚えがあったので、
事前の期待値充分な状態で読み始めた。

・・・フリーライターの女性が先輩の男性と共に東京23区を巡る話。
今回登場するのは板橋区・渋谷区・港区・江東区・品川区の5区で、それぞれ
の区の“過去の因縁”が現代の事件にリンクする形式の静かなるホラー。

とにかくゾクゾクくる怖さに溢れており、ホラーとして秀逸なのは間違いない
のだが、それよりも各区の過去の蘊蓄の鋭さに思わず唸ってしまった。
「なぜお台場に”お”をつけるか?」とか、「渋谷の地名に”橋”が多いのはなぜ
か?」とか、「なぜこの場所は”深川”と呼ばれるのか」etc…。

東京で生まれ、人生の9割を東京で過ごして来たハズの僕が知らない知識が
存分に詰め込まれており、それを知ることが出来ただけでも読んだ価値アリ。
充実した読書をさせていただきました!

残り18区をフィーチャーした続編を期待すると共に、映像で観たい作品。
作者は以前CX系で「TOKYO23区の女」という恋愛系ドラマの一篇を演出して
いるが、ぜひこちらを連ドラに。深夜枠でもいいので♪

イモトアヤコの地球7周半

▼イモトアヤコの地球7周半 / イモトアヤコ(Kindle版)

日本テレビ「イッテQ」“珍獣ハンター”ことイモトアヤコの著書。
通常この手のタレント本はほぼ購入しないのだが、あのイモトがどんな文章を
書くのかちょっと興味があり、なんとなく購入。Kindleストアでセールになっ
ていた、というのも大きな理由なんだけど(^^;)。

内容は「イモト流グローバル論」といった感じで、失礼を承知で言えば意外と
しっかりしている感。さすがに1年の2/3は海外に出てる人の書いてる本だけあ
り、全体的な説得力はかなりのモノ。それまでほぼ海外旅行をしていなかった
人が、ある日を境に世界各国での仕事を余儀なくされてしまったのだから、
彼女の国際感覚が鋭敏になって行くのは当然。紹介文に「ワールドサバイバル
術」とあるが、そのキャッチコピーに偽りは無い、と思う。

イモトの普段の仕事については、純粋に尊敬しているし、本当にすばらしいと
思う。彼女に憧れて海外に出たくなる若者がきっとたくさん居る筈だし、そう
いう人たちにとっては本当に役に立つ指南書になるハズ。特に要所々々で語ら
れるいくつかの「心構え」に関しては、正しく心して読んだ方がいい。

僕がもう少し若かったら、この本に触発されて海外を目指したかも。
そういう年齢の時に読みたかったな、本当のところは(^^;)。

作家刑事毒島

▼作家刑事毒島 / 中山七里(Kindle版)

中山七里作品。
氏のこれまでの作品、どちらかというと「本格ミステリ」の色合いが濃く、
僕自身もその手のエキスパート、という感じで読んでいたのだが、ちょっと
考えを改めなければならないかも。ハッキリ言おう、大問題作です、コレ(^^;)。

誤解を恐れずに言うのなら、文壇系ブラックユーモアミステリー
元警視庁捜査一課で現在は売れっ子ミステリー作家毒島が、古巣の捜査協力
依頼を受けて活躍する物語。この作品で起きる事件は全て文壇・出版が関係し
ており、被害者・容疑者のほぼ全員が作家かその関係者。卓越した推理力と、
作家ならではの嗅覚で事件は次々に解決していくのだが、この毒島が超の付く
皮肉屋(^^;)。全編が黒い笑いに溢れており、つられてこちらも苦笑してしまう。

ここまで読んでお解りの通り、内容は文壇及び出版業界を強烈に皮肉ったモノ。
読んだ人なら誰でも解るくらい明確にラノベ作家・新人作家・素人書評家・作
家志望者などをディスりまくっている。もちろん直球では無く、ある程度オブ
ラートで包んだような表現を多用してはいるのだが、それはあくまで形式的
モノ。中山七里にこういう「毒」があるとは、夢にも思いませんでした♪

無論、この手のブラック系は僕の大好物。何人もの人間がかなり悲惨な死に方
をするにもかかわらず、最後までニヤニヤしながら読了してしまったのだから
凄い。“裏・中山七里”の世界、堪能させていただきました!

・・・しかし、ちょっとだけ胸が痛んだのは“素人書評家”の出てくる件。
僕が読んでいても「痛いな、コイツ」と思うような行為なのだが、ちょっと考
えてみるとコレは僕が今まさに書いているコレであったりする(^^;)。
・・・自重しとこうかな、ちょっとだけ(^^;)。

こち亀の終焉によせて

「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、通称“こち亀”が、先週土曜日に発売され
週刊少年ジャンプ最終回40年の間、一度の休載も無く続いた連載マンガ
が、遂に終焉を迎えた。

驚いたのは最終回に対する出版社の「演出」
ジャンプ本誌コミックス最終巻となる200巻を同時発売し、最終回の内容が
それぞれ違う、という、驚愕の仕掛けを施した。出版物としてはあまりに派手
既に国民的なマンガとなっているこち亀に対しての、集英社の「愛」を感じ、
思わずジ〜ンと来た。

ちなみにジャンプ本誌、そしてこの40周年記念特装版の200巻、双方共に軒並
売り切れ。僕は大手町駅構内の本屋でどうにか手に入れることが出来た。

最終回の内容については、多くを語る必要は無いと思う。
これまでのこち亀の在り方を考えれば、最後の回を無理に泣かせる必要は無い
し、物語にケリを付ける必要も無い。僕の考えでは、アレがベストだと思う。
あの終わり方ならば、あのメンバーがある日ひょっこり帰って来ても誰も文句
を言わないと思うので。

・・・ひとまず、ひとまず言わせて貰います。
秋本治先生、本当に40年間お疲れ様でした。もちろん休んで貰って全然構いま
せんが、今後こち亀を書きたくなるようなことがあれば、どの媒体でどんな長さ
でも構いません。書いてください
40年読んで来た我々は、普通にこち亀に再会出来ると信じているので。

▼40周年記念特装版・こち亀200巻 / 秋本治