IOKA vs NIETES 2

#THE BOXING


TBSの生中継にて、WBO世界スーパーフライ級選手権をライブ観戦。

王者井岡一翔に挑んだのは、3年7ヶ月前井岡に土を付けている元王者
フィリピンのドニー・ニエテス。井岡にとってはリベンジマッチであり、
一度勝利しているニエテスにとっては王座返り咲きの絶好のチャンスである。

2年前の田中恒成との一戦以来、僕の中で評価が爆上がりの井岡。
井上尚弥のような派手さこそ無いモノの、しっかりしたディフェンスと、
絶対に自分のペースを崩さないメンタルの強さは、ある意味ボクサーの
完成形と言って過言は無い。今日ももちろん期待して観たのだが・・・。

・・・唸った
井岡は接近戦に持ち込みたいニエテスの攻撃を悉くいなし、丁寧にを突い
て距離を稼ぐ。時折炸裂するボディと左フックのコンビネーションは確実に
ニエテスにダメージを与える。何が凄いのかと言うと、井岡がこの攻撃を
しっかり12Rに渡って続けたこと。恐ろしいスタミナである。

もちろんフルマークの判定、しかもジャッジの一人が12点差を付ける程の
ワンサイドゲームで井岡は五度目の防衛に成功、完璧なリベンジを果たして
魅せた。今日の井岡は間違い無く『THE BOXER』だった。

今後は他団体王者との統一戦を目指す意向の井岡だが、井上尚弥が階級を上
げるのを待ってバンタム級に転向するのもいいかもしれない。今の井岡一翔
と、ドネアカシメロが闘ったら、井上とは違うジャンルの名勝負を残しそ
うな気配。どうあれ楽しみだな、今後も。

“館長” 青柳政司

#誠心会館


初期のFMW新日本プロレスプロレスリング・ノア等で活躍していた
空手家・プロレスラー青柳政司さんが永眠。死因は今のところ明らかに
されていない。享年65

現役プロレスラーとして活動中だった故人に敬意を表し、ここからは敬称
を略させていただきます。

・・・館長『日本人同士の異種格闘技戦』という概念を作った人。
もし館長が空手家として大仁田厚の前に立たなければ、後のFMWブーム
あり得なかったし、その後新日本に参戦してくれていなければ、越中詩郎
の再ブレイクも無かった、と断言出来る。

そして青柳政司は、誰よりもプロレスが好きだった・・・気がする。
自分より一回り身体の大きい選手に蹴り突きだけで果敢に挑み、気持ち
いいくらい鮮やかに玉砕する。プロレスの歴史を鑑みると、空手家は基本
「敵」でしか無かったが、青柳政司本人と、館長が率いる誠心会館が排出
した選手たちは、最初からしっかり“プロレスラー”だった。

館長の最大の功績は、プロレスのリングに「独特な緊張感」を持ち込んで
くれたこと。自信の技術を信じ、その上でプロレスとプロレスラーをリス
ペクトし、真っ向勝負で相手の技から逃げない空手家。こんな選手を、
好きにならないワケが無い

館長、ちょっとだけ早いです・・・。
まだまだリングで闘う館長の姿を観ていたかった。少しだけ休んで、また
強烈な蹴りを魅せてください。だからまた必ず、どこかで。

ALI vs INOKI

#MMAの始まり


▼アリ対猪木–アメリカから見た世界格闘史の特異点 / ジョシュ・グロス

以前からずっと読みたいと思っていた本をようやく入手。
日本では色々な作品で語られている【世紀の一戦】アントニオ猪木
モハメド・アリ異種格闘技戦を、アリ側・米国側の視点に立ち、その
実現の背景から試合内容その後に及ぼした影響までが細かく記述され
ているドキュメンタリー

この試合のことを考える度に、「ボクシングの”現役”世界ヘビー級王者」
が、【”真剣勝負”の他流試合】に臨んだ『奇跡』を意識せざるを得ない。
今では絶対にあり得ない状況であり、こんなことを「やりたい!」と言
える世界王者が存在するのなら、心の底から応援したいくらい。それく
らい、モハメド・アリは今を以て特別であり、唯一無二。だからこそ、
アリ側から書かれたドキュメントを、しっかり読んでみたかった。

・・・その希望は、しっかり叶った
あの異様な試合は、アントニオ猪木はもちろん、モハメド・アリも自ら
が望んだ闘いであった、ということが感じられたのが本当に嬉しいし、
その後に世界的に発展していくUFC・PRIDEを始めとする【MMA】
大きな影響(ほぼ反面教師ではあるが)を与えた事実も嬉しい。

解説柳沢健氏は、この作品を「1976年のモハメド・アリ」と評した。
出来れば氏の名著である「1976年のアントニオ猪木」と併せて読むこ
とをオススメする。

なんちゃらジュニアとは、レベルが違うんだよ、アリは。

天心 × 武尊

#遅すぎた決着


『THE MATCH 2022』、閉幕

全戦レビューをアチラに書いたので、他の試合についてはご参照を。
ここではメイン、那須川天心 vs 武尊頂上決戦について。
スクショをたくさん撮って試合展開を細かく追おう、と思ったのだが、それ
でもきっと伝わらない気がするので、諦めて文章にて記載します。

試合開始前、リングでコールを受ける時の武尊の顔
K-1で対戦相手を完膚なきまでに叩きのめす時の武尊は必ずこの顔をしており、
恐ろしさが増した。思わず「天心大丈夫か?」と思ったが、天心も引き締まっ
た恐ろしい表情。この段階で、既に名勝負は確定していた。

1R、武尊は恐ろしい顔で笑いながら天心を挑発する。しかし、武尊は大きめ
のパンチを連発し、空振りを繰り返す。このミスを天心が見逃すワケが無く、
見事なカウンターを決めてあの武尊からダウンを奪って魅せた。あの武尊の
笑顔に動じずに攻撃できる天心の精神力が凄い。

一貫して天心を応援していたつもりの僕だが、武尊のピンチに顔を歪めた
武尊はけして諦めず、終盤には挽回したのだが、その時は天心を心配してハッ
とする、という自分の本末転倒な心持ちに呆れてしまった。

KO決着こそ無かったモノの、万人が納得する天心の完勝
天心は最高のカタチでキックのキャリアを終え、ようやく国際式ボクシング
の世界に飛び込める。これまで本当にありがとう。ボクシングでも世界を取
ってくれたら、こんなに幸せなことは無い。

武尊、は・・・。
やっぱりタラレバの話をしないワケに行かない。

もしこの試合が少なくとも5年前に実現していたら、結果が違うことも充分に
あり得た筈。その件は何度もココに書いて来たが、僕から言わせれば「タイミ
ングを逃した所為で噛ませ犬になった」気がしてならない。
今出来る最高の試合を魅せてくれた、とは思うが、もしあの時に・・・と思うと、
なんとも言えない悔しさが残る。

もしかしたら、僕が大いに興味を持って格闘技を観るのは、今日が最後かも
しれない。だからこそ、世紀の一戦が実現しれくれた事実には感謝したい。

天心も武尊も、本当にお疲れ様でした!

武藤敬司、引退表明

#SPACE LONE WOLF


先週、新日本大阪大会同日にさいたまスーパーアリーナで行われたCyberFight
グループのビッグマッチ『Cyber Fes.2022』にて、NOAH武藤敬司引退
表明した。

武藤のデビューは1984年だから、単純に38年も現役を続けていることになる。
デビュー当時からその才能はズバ抜けており、早くからメインに抜擢されてい
たが、その“特別扱い”ぶりにファンが難色を示した。実際にブレイクしたのは
WCW遠征からの帰国時。そこから先は、名実共に日本プロレス界全体の主役
して活躍してきた。

僕が武藤を認めるようになったのは、実は結構最近で2000年を過ぎてから
90年代の武藤は頑なにアメリカンプロレスに傾倒しており、UWF的な流れ
期待する僕にはなんとも消化不良(^^;)。だから、あのUインターとの対抗戦
の時も、心の底から高田を応援していたりした。

今にして思えば、武藤の「凄さ」は明確に解る。
どんな相手を前にしても、確実に『自分の試合』が出来るのは、プロレスの
技術やスター性はもちろん、【強さ】でも他を凌駕していたからなのは明白。
でなければ、絶対にどこかで誰かにシュートを仕掛けられていた筈。

正直武藤敬司の40周年を観たい、という気持ちもあるのだが、身体のことを
考えると、さすがに認めざるを得ない。最後の対戦相手に誰を選ぶのか、ちょ
っと注目しておく。誰なんだろうなぁ・・・。