フロンティアは終わらない

#有刺鉄線


▼フロンティアは終わらない / 武内正義(Kindle版)

Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来たプロレス本
サブタイは『有刺鉄線に捲き込まれた「神様」とFMWの日々』
著者の武内正義さんは、大仁田厚率いる旧FMW時代から外国人バスの
運転手を務めた方で、ボードバットなどの有刺鉄線アイテムを製作
していた職人さん。凄く期待して読んだのだけど・・・。

・・・いやぁ、この本はちょっと酷い構成(^^;)。
武内さんの本の筈なのに、巻頭・巻末で寄稿している関係者(^^;)の
件が異様に長い上に、武内さんの偉業に殆ど触れていない、という
体たらく。文中に差し込まれているプロレスラーたちのコメントは
しっかり内容に沿っていただけに、最初と終わりの無駄さが際立つ、
という最悪の結果。特に最後はマジで無い方が良かった、とハッキ
リ言える。

ソコに束を使うのであれば、もっと外国人レスラーたちのエピソー
ドが読みたかった。武内さん、ちょっと気の毒です・・・。

吉野正人

#SPEED STAR


2005年、東京・有明コロシアム
僕らの前の席、二階最前列に陣取っていた女性客が、ある試合の途中に
こう叫んだ。「マサト、がんばんなさい!」・・・。

試合は闘龍門ジャパンの大人気チーム、Crazy Maxに、対抗勢力である
T2Pのエースチーム、イタリアン・コネクションが挑んだタイトルマッチ。
僕らはもちろんC-MAXを応援していたのだけど、この一声でなんとなく
C-MAXに声援を送るのを止め、イタコネの応援に回った。

この試合に「マサト」という名前の選手は出場していなかった。
リングに居たのは、YOSSINOという名前の怪しいイタリア人(?)だっ
たのだけど、その選手を指した言葉であるのは明白。この女性客は、ど
うやら「マサト」のお母様だった気がする。

数年後、YOSSINOはリングネームを本名の『吉野正人』に改め、類い希
な運動神経を如何無く発揮し、中心選手に。いつのまにか「マサト」に
【SPEED STAR】という異名が付き、そこから20年近くSPEED STAR
を持続。そして昨日、SPEED STARはSPEED STARのままリングを降りた

ついこの間だった気がするのに、あれからもう20年以上が経過。
あの時のお母様の一言が、ずっとSPEED STARを応援するファンを一人
作った、ということを、出来れば吉野正人本人に伝えたい。

・・・お疲れ様でした
これから始まる新しい人生でも、ぜひプロレスに絡んでください。

JAPAN CHALLENGE on Greco-Roman Style

#グレコローマン


遂に始まりました、東京五輪・レスリング
長い間世界最強だった日本女子も、吉田沙保里・伊調馨という2大エース
を欠き、正直盤石では無い状態。だとするなら久しぶりに、男子に注目
していただこうではないか!!

↑↑、グレコローマンスタイル・60kg級“軽く”決勝進出を決めた、
文田健一郎のプロモ。相手の腰から下を攻めてはいけないグレコなので、
密着してからの技が重要なのだが、この人の得意技は『反り投げ』
ベリー・トゥ・ベリーの体制に入ったらほぼ100%投げに行く、すばら
しく華のある選手

今回は残念ながら投げるチャンスはほぼ無かったが、リフトからのロー
リングがおもしろいように決まり、全く危なげなく銀メダル以上が確定
前回の太田忍、そして永田克彦も銀で止まってしまったが、文田なら
の可能性があるかもしれない。

・・・試合前に僕が煽ると負けちゃう、というジンクスがあるのだが、彼な
らそんなものも軽々超えそうな気配。グレコでもし日本人が金メダルを
取ったら、マジで泣くかも。

ガンバレ!そして、軽く金メダルを取ってくれ!

独学のプロレス

#究極龍


▼独学のプロレス / ウルティモ・ドラゴン, 小佐野影浩(Kindle版)

究極龍こと、ウルティモ・ドラゴンプロレス人生が記された作品。
元週刊ゴングの小佐野編集長との共著であり、ウルティモの語り下ろしと
小佐野さんの状況分析の組み合わせで構成されている自伝本。

90年代獣神サンダー・ライガーグレート・サスケと共に、ジュニア
の黄金時代を創ったプロレスラーがウルティモ。浅井嘉浩としてユニバ
ーサルに初登場した時は、その華麗な空中殺法に度肝を抜かれたし、そ
の後の見事なまでの「成り上がり」っぷりも実に見事。何よりも評価に
値するのが今のドラゴンゲートに繋がる闘龍門を作ったこと。このプロ
レスラー養成学校が存在しなければ、冗談抜きで今のプロレスは存在し
なかった、と言って過言は無い気がする。

プロレスから離れたところでも、ウルティモのグローバルセンスに注目
すべき。海外を主戦場する選手は多々居るが、ウルティモほど様々な国
で活躍した日本人プロレスラーを僕は知らない。この本を一読すればよ
く解るのだが、海外に対する良い意味での「恐れの無さ」に関しては、
彼が持ち得た天賦の才だと思う。こういう感覚、出来れば僕も持って生
まれたかった。

とても良いドキュメントなのだけど、願わくばもう少し遅い段階でこの
作品を読みたかったかも。具体的には引退後、もうリングに立たなくな
った浅井嘉浩の口から語られる話であれば、普通に感動出来た気がする。
ココで引退を匂わせるのは、ちょっとだけ切ない。できることならこれ
から先もずっと、現役のプロレスラーでいて欲しいので。

Brazo de Plata

#LOS BRAZOS


偉大なルチャドール、ブラソ・デ・プラタ選手が死去。
死因は心臓発作。7月26日(現地時間)、メキシコで帰らぬ人となった
模様。享年・・・たった58

ファンに愛され、そして日本をこよなく愛してくれた名選手。
メキシコでは長くスペル・ポルキーのリングネームで活躍したが、日本
のファンにはプラタの名前の方が馴染みが深い。

初代タイガーマスクの全盛時が初来日で、その時はスラッとした若手だ
ったのに、数年後には今の体型に。そのコミカルさは他の追随を許さず、
多くの選手のお手本になった筈。

ただ、↑↑の試合のようにシリアス系のファイトでも存在感を発揮。
実際、ストリートファイトにおける鬼のような強さは有名で、プラタの
出る興行はマフィアも避けたらしい。そういうところも含めて、尊敬
値するプロレスラーであった。

・・・早すぎるよ、コレ。
これでロス・ブラソスの全員が天に召されたことになる。プラタにだけ
は長生きして欲しかった、本当に。

アチラではブラソスが復活することになる。
僕がそっちに行った時、いつものように皆を大笑いさせているプラタが
観たい。だから、また必ずどこかで。