LIVE

#左遷のオンナ


LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 / 内藤了(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内藤了・鳴瀬清花シリーズの二作目。
神奈川県警捜査一課から警察庁・特捜地域潜入班に左遷された鳴瀬清花が、
古巣の上司から奇妙な調査依頼を受け、班長の土井と共に現地・青森へ赴く。
山の中の旧家で起きた火災現場には、等身大の『花嫁人形』が14体が残され
ていた。あまりに美しく、リアルな人形に違和感を感じた清花たちは調査を
開始するが・・・という感じ。

前作で不幸のどん底へ叩き込まれた清花だが、新しい部署に徐々に馴染んで
行くところが微笑ましい。さらに、離婚が成立した今も同居中の夫や娘、さ
らに姑との関係が、どういうワケか好転(^^;)。閑職に追い込まれたことで
家族との時間が出来、家庭内が充実していくのは幸運か皮肉か(^^;)。個人
的には、あんまり仕事に没頭するのもどうだろう?とか思った。

肝心のストーリーだが、正直言えばインパクトに欠ける感。
まず、事件発覚から現場検証までの間で全体像が予測出来てしまうし、その
予測とラストが違う、ということも無かった。そしてこの事件、普通に考え
ればちょっとした猟奇事件なハズなのだが、いろんな事情が絡むことでそう
見えなくなってくるから、ハッキリと緊張感に欠けてしまう。”LIVE”という
タイトルに意味があったのはおもしろかったけど・・・。

新シリーズ開始で若干浮かれたが、コレは確実に今までと風味が違う、とい
うことを認識した。こうなったら清花さんの幸せを願うしかないかな、今後。

Mr.Akira Toriyama

#King of Fantasy


突然飛び込んできた訃報
漫画家鳥山明さんが3月1日に逝去。死因は急性硬膜下血腫。享年68

1980年に週刊少年ジャンプで連載開始となった『Dr.スランプ』は、本当
衝撃だった。これまでに見たことの無い洗練されたタッチに、美麗すぎ
るレベルの画風。ギャグマンガなのにしっかり練られたストーリーすら保
持しており、大袈裟で無く少年マンガは鳥山明以前・以降に大別される。

代表作の『ドラゴンボール』は世界各国で愛され、日本を代表するコンテ
ンツとされた。マンガ以外の大仕事は、なんと言ってもドラゴンクエスト
シリーズキャラデザインをほぼ単独でこなしたこと。おそらく鳥山さん
がこの仕事をこなさなければ、日本に「ファンタジー」は根付かなかった
気さえする。

久しぶりに、人の死で考え込んでしまった。
僕らを夢中にさせた天才たちが、どんどんこの世を去って行くのは寂しい。
まだまだいろいろなアイデアがあったでしょう、鳥山先生・・・。

続きはアチラで是非。だからまた必ず、どこかで。

ブラック・ショーマンと覚醒する女たち

#帰ってきた魔術師


ブラック・ショーマンと覚醒する女たち / 東野圭吾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東野圭吾新作
4年前にリリースされた『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』
続編で、今回は連作短編集。東野作品史上、最強のトリックスターである
マジシャン・神尾武史が、満を持して再登場を果たした。

全てのエピソードで、事件の勃発から決着までの起承転結がしっかりある。
その上で相変わらずホームズ&ワトソンライクな名コンビぶりを如何無く
発揮する武史とその姪・神尾真世が、縦横無尽の大活躍。短編集でこれだ
け読み応えのあるザ・ミステリーは、東野圭吾の真骨頂だと思う。

今作でもやはり魅力なのは、主人公である神尾武史のカッコ良さ
東野作品では珍しい、“明るめのダークヒーロー”っぷりは、間違い無く
唯一無二な上、スタイリッシュ。こういうユーティリティ性に富んだキャ
ラクターはかなり貴重だと思うので、他作品とのクロスオーバーにも期待
したいところ。

ちなみに、↓↓のムービーCMにも注目。
津田健次郎・水瀬いのり両名によるナレーションムービー秀逸で、続き
が観たくなるほど。この作品、アニメとかにならないかなぁ・・・。

FIND

#左遷のオンナ


FIND 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 / 内藤了(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤堂比奈子堀北恵平の双方に続く内藤了「女性警察官シリーズ」
今シリーズの主役、名を鳴瀬清花という。
清花は物語の冒頭に木下というで登場。オンナだてらに名門・神奈川県警
捜査一課班長を務める敏腕の女性刑事で、階級は警部補

DV禍を殺害した容疑者を追い詰め、まもなく起訴、というところで、
容疑者が獄中で自殺。原因は清花の取り調べ手法であったことは明白であり、
清花は敢えなく自宅謹慎処分。同じ頃、家庭内でも問題が勃発。仕事の仕方
を夫に責められ、離婚届を突きつけられてしまう。失意の清花は、半ば左遷
のように警察庁特捜地域潜入班という新設部署に異動。ここに土井という
風変わりな上司が現れて・・・というのが導入部。

特捜地域潜入班が担当するのが一風変わった『コールドケース』であるのが
ポイント。未解決事件を処理するのではなく、警視庁が「捜査し辛い」案件
を掘り下げ、これから起こるであろう犯罪を未然に防ぐ、という設定は斬新
で、この先に幾つもバリエーションが考えられる。さらにここのメンバーが
全員ワケアリ・クセツヨで、ココはハッキリと興味をそそられる。猟奇犯罪
を扱っているワケでも無いのに展開は重いが、それだけにクセになりそうな
予感がする。

ところで、シリーズ一作目なのにも関わらず、不幸が山のように降って来る
清花があまりに気の毒(^^;)。そしてこの人、若干「痛い」性格をしている
所為で、共感度もやや薄い気が。
比奈子も恵平もそれなりに人気のあるキャラだったが、清花はどうなんだろ
うか?と心配になる。この後に幸福が訪れればいいんだけど・・・。

とにかく、歓迎新シリーズ
既に次の作品も入手しているので、そちらのレビューも近いうちに!

アイズ

#贖罪の物語


アイズ 猟奇死体観察官・児玉永久 / 内藤了(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりの内藤了作品は、藤堂比奈子シリーズスピンオフ
かつて連続殺人を犯した“クローン”児玉永久が、センター法医昆虫学者
となり、猟奇犯罪捜査班と共に事件を解決する、という内容。

藤堂比奈子シリーズが終了して数年が経過するため、時系列にややあやふや
な部分がある。いちばん疑問だったのは、主人公が所属するセンター・・・知
的犯罪者隔離施設・・・が、知らぬ間に随分ユルくなったなぁ、ということ。
そもそもの事件は主人公の永久外出することから始まるのだが、それが
可能な設定はいつから採用されたんだろう?と。幾つかのスピンオフを読
んでいないので、詳細は謎。解る人が居れば教えてほしい。

今回は主人公・児玉永久の“心”の成長物語
もちろんかなりおぞましいレベルの猟奇犯罪は今回もちゃんと起こるのだ
が、それは絶対的に「不安定」な主人公が、人間的な感情を徐々に獲得し
て行く、という「プロセス」のための要素でしか無い。今回は幸か不幸か
ソレが良い方に転び、わりと読み応えの深い人間ドラマに仕上がっている、
と思う。

そして、新人を卒業した堀北ケッペーちゃん、猟奇犯罪捜査班の一員とし
再登場。今後の活躍に期待してます!