あなたが誰かを殺した

#ミステリーど真ん中


あなたが誰かを殺した / 東野圭吾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東野圭吾の最新作は、約4年ぶり加賀恭一郎シリーズ
ちょっと読むのが遅くなった理由は後述。

舞台は軽井沢を思わせる別荘地。金持ちの集まる土地の一角で、今年も開
かれたバーベキューパーティー。それぞれ一癖ある人物がいつものように
参加したが、パーティー終了後にその参加者が複数殺される、という事件
が。犯人“死刑”を望んだ男で、自首した上で無差別殺人を主張。これに
納得の行かない被害者遺族たちは、「検証会」の名目でもう一度彼の地に
集合。そこで夫を殺された看護師は、オブザーバーとして加賀に出席を依
頼する・・・という内容。

久しぶりにミステリーらしいミステリーを読んだ、という手応えが。
“事件”は既に終わっており、犯人も名乗り出ている、という状況の“矛盾”
が明らかになっていく、という展開で、物語はほぼ会議室の中だけで進む、
というのが斬新な上にユニーク。知らぬ間に貼られていた伏線が続々と回
収されていく様は本当に心地よい。さすが、としか言いようが無い。

やっぱり東野圭吾の真骨頂ミステリーだな、と改めて感じた次第。
ミステリー好きは確実に押さえておくべき作品だし、読み応えはバッチリ。
コレはいつもの面子での映像化も期待だな、うん。

ところで。
この作品は昨年の9月にリリースされたモノで、実は発売日に書店で購入
している。にも関わらず、読了が今になったのは、冒頭部分を読んだとこ
ろでが厳しくなり、後回しになってしまったから。東野圭吾作品は速読
するのが常だった僕からすると、かなりレアなケースである。

・・・先生、お願いです!
主義に反するとは思いますが、老ファンの為に電子書籍での新作リリース
を検討していただけないでしょうか?結構切実です、コレ。

常識として知っておきたい裏社会

#ウラの教科書


▼常識として知っておきたい裏社会 /  懲役太郎・草下シンヤ (Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらもKindle Unlimitedのリコメンド。
おそらく共著の一人、草下シンヤ氏の小説を読んだのが原因かと。

懲役太郎氏も草下シンヤ氏も、いわゆるアウトロー系YouTuber
僕もそこそこYouTubeを観るほうだが、残念ながらこの系統には全く興味
が無く、前述の通り既に著書を読んでいる草下シンヤ氏の正体(?)を、
恥ずかしながらこの本で初めて知った次第。

二人の専門家「ヤクザ・半グレと外国人マフィア・闇バイト・薬物・警
察と刑務所・ヤクザの子ども」6つのテーマ対談。テクノロジーの進
化で多様化している『現代の裏社会』の状況が、非常に解りやすく解説さ
れている。

この本に書いてある全ての項目が縁遠い僕だが、確かに常識として知って
おくべき内容なのかも。特に薬物闇バイトに関する記述は、これまで正
しいと思っていた知識とかなり異なっていてビックリ。もしかしたら、の
状況もあり得るので、現状の情報を知ることが出来て良かったかも。

そういう意味で「ウラの教科書」として持っていて損の無い本。
興味深い内容な上に、対談を書き起こした文章の構成が絶妙で、読んでい
て飽きない。オススメです、コレ。

逃亡刑事

#あれ?


▼逃亡刑事 / 中山七里(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来た中山七里作品。
刺激的なタイトルから察するに、男臭いハードボイルドなエピソード、と
決めつけて読み始めたのだが、なんと主人公は女性刑事。まぁ、だからと
言って男臭いハードボイルドという予想はある意味当たっていたのだが。

千葉県警所属の刑事が殺害される、という事件が発生。女性ながらに捜査
一課で検挙率トップを誇る“アマゾネス”こと、警部・高頭冴子は捜査を開
始。偶然殺人現場を見てしまった少年・御堂猛から話を聞くうちに、とん
でもない事実が判明して・・・という内容。

諸々の要素を意外なカタチで絡め、そこから謎を深める、という手法は
確かに中山七里作品なのだが、この物語に関してはかなり「?」マーク
問題はクライマックス付近で起こる一発逆転の部分で、ここで起きる騒動
とその決着の付け方があまりにファンタジー(^^;)。そして、氏の得意技
であるハズの“どんでん返し”がすっかり影を潜め、物語の前半で怪しい
と思った人物がアッサリと真犯人(^^;)。う〜ん・・・。

残念ながら、これまで読んだ中山七里作品でいちばん手応えが無かった
もしれない。こういうこともあるんだなぁ、たまには・・・。

電子版Gスピリッツ

#電子書籍向きコンテンツ


▼電子版Gスピリッツ vol.01・vol.02(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和プロレスファンにとって”バイブル”とされる季刊誌、Gスピリッツ
最初はゴングの流れを汲むちょっと豪華なプロレス雑誌だったのだが、
ある時期から内容が『プロレス史』特化古き良き時代をデータとし
て叩き込みたい、という願望は、昭和からのプロレスマニアのサガ(^^;)。
もちろん僕も創刊号から1号も逃さずに入手しているのだが・・・。

古くて貴重な写真が多々掲載されている資料性に富んだ専門誌なので、
紙の本として手元に置いておきたいモノなのは間違い無いのだが、掲載
されている記事に関しては以前から「電子書籍向き」だと思っていた。
さすがに編集している皆様もこの点は理解しているようで、雑誌自体を
電子化するのを避け、数号に渡る連載記事をある程度まとめて電子書籍
にした模様。いやぁ、やっぱりよく解ってるなぁ、と感心。

現在、期間限定キャンペーン中で、vol01・02共におよそ半額で入手可。
内容はかなりマニアに寄ったモノなので読む人を選ぶと思う(^^;)のだが、
興味のある人はぜひ!佐山サトルに関する記述とか、かなり面白いので。

※追記
Amazonのアソシエイトが書影の提供を中止しやがった(–X)。
以前に書いたブックレビュー、全て書影が消えていると思いますが、
購入検討の方はタイトルで検索してください。お手数おかけします!

Malice Angle

#ストロベリーナイト


▼マリスアングル 警部補 姫川玲子 / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也・ストロベリーナイトシリーズの新作は、予想通り長編
シリーズ前作の『オムニバス』で予告されたとおり、捜査一課・姫川班
“ザ・所轄おばちゃん”こと、魚住久江が合流。対極とも言える姫川玲子と
魚住、最初は「混ぜるな危険!」と思っていたのだが・・・。

基本は年下の上司である姫川が魚住を立てる展開(^^;)。
あの姫川玲子にそういう人間的な感覚があった、という事実が新鮮な上に、
魚住がその姫川の掌の上を縦横無尽に泳ぐ。思ったよりすばらしいコンビ
ネーションは、かつての鶴龍コンビを彷彿とさせる見事なタッグワーク

おもしろいのは、鶴田の立場が姫川であり、天龍魚住であること。
おかげでこれまで地味だった魚住が圧倒的に目立つ構成になっており、こ
の状況が非常に新鮮。コレ以降も長く続くタッグチームになって欲しいの
だが、鶴龍も短命だったんだよなぁ、実は(^^;)。

この二人の動向に注目が行きがちだが、ストーリーもかなり・・・。
前作の『ジウX』“中国”に踏み込んだ誉田哲也だが、今作でスポットが
当たるのは“在日”際どいところを突きながら、骨太スリリングなスト
ーリーを展開してしまうのが、最近の誉田哲也のスタイル。正直ヒヤヒヤ
するのだが、読み応えは抜群。個人的には大きく評価する。

少なくとも、次作までは姫川&魚住コンビが楽しめそう。
この展開が、少しでも長く続きますように!